ブロックチェーン最前線1

ブロックチェーン技術で出来ることを回数を分けて解説してゆきます。

ブロックチェーン最前線1

ブロックチェーン技術で出来ること

ひと頃に比べると、ブロックチェーンに対する過度な期待感は後退した。
スタートアップ企業を見ても、ビジネスの内容に「ブロックチェーン」という魔法の言葉を盛り込めば、ベンチャーキャピタルからいくらでもお金を引っ張れる状況だったが、どうやら「期待したほどではない」という声も、方々から聞こえ始めてきた。
卑近な例としては、ビットコインなど仮想通貨の送金、決済が挙げられる。仮想通貨を流通させるうえで、ブロックチェーンは欠くことのできないプラットフォームであり、仮想通貨の将来性と共に、ブロックチェーン技術に対する関心度が一気に高まったものの、実際、仮想通貨を取引すると、たとえば送金するのに30分もの時間が掛かってしまう。あるいは、ビットコインの価格が高騰したことで、送金などにかかるコストが当初、言われていたほど安く抑えられないなど、いくつかの課題が浮かび上がってきた。
結果、「ブロックチェーン技術を用いれば何でもできる」といった過度な期待感が後退し、ブロックチェーン界隈にはどことなく停滞感が漂っている。

もちろん、ブロックチェーンがこのまま「使えない技術」とみなされて、消滅の道をたどるようなことには、絶対ならない。
確かに、今は課題が残されている技術ではあるが、その解決方法を見出だそうとしているベンチャー企業が、徐々に現れてきた。これは順を追って触れていくが、ある仕組みを用いることによって、瞬時に送金できる技術が開発されているし、送金などに掛かるコストも、技術が進化すれば、現状よりもはるかに安くなるはずだ。人間が考えることを止めない限り、テクノロジーの進化は続く。現状は、あくまでも短期的な停滞期であり、ブロックチェーン技術の課題はやがて解決へと向かうだろう。
こうした技術的進化と同時に今、ブロックチェーンの界隈で注目されているのが、活用法の多様化だ。

「ブロックチェーン=仮想通貨」と思っている人は結構多いようだが、仮想通貨は、ブロックチェーン技術を用いることによって実現できる各種取引、サービスのひとつに過ぎない。「過去の取引内容がすべて記録され、記録されたデータは過去に遡って改竄出来ず、ブロックに書き込まれたデータは、誰でも取り出すことが出来る」のが、ブロックチェーン技術の特徴であり、その特徴をもっとも有効に活用できる用途として、たまたま仮想通貨が当てはまったわけだが、ブロックチェーンを記録媒体として考えると、他にもさまざまな用途が考えられる。

たとえば医療カルテ。スマートウォッチなどのウェアラブル端末で心拍数、血圧、体温、その日の歩数、血中酸素濃度、睡眠状況、活動量などを把握し、そのデータをブロックチェーンに記録すれば、そのデータは極めて確度の高いものとなり、医療ビッグデータとの組み合わせによって将来、どのような病気になるリスクがあるのかを事前に把握できるようになる。
物流も大きく変わる。たとえばどのような原材料を、どのように調達して製造したのかなどのデータをブロックチェーン上に記録することで、トレーサビリティが確保できるだけでなく、製品として出荷した後、荷物が現在、どこにあるのかをトラッキングできる。このトラッキングに、運送会社は多額のコストをかけているが、ブロックチェーンをベースにして、この仕組みが完全実用化された時、運送業界はどうなるのか。
荷物の運送は、無人トラック、ドローンが担ってくれる。今、ドローンがどのあたりを飛んでいるのかは、ブロックチェーンでトラッキングできる。

もちろん、この手のテクノロジーは、まず運送会社が導入して、新しいサービスとして提供するだろうが、よく考えてみると、別段、運送会社ではなくても、同じようなサービスを提供できることに気付く。ドローンの値段もピンキリだが、大型トレーラーに比べれば格段に安い。この手のコストは送料に組み込まれるので、掛かるコストが安いほど、送料が安価に設定できる。このような時代を迎えた時、既存の運送会社はどのように対応していくのだろうか。
また、個人的に今、最も注目しているのは、難民支援にブロックチェーン技術が使われていることだ。作家で起業家のエミリー・パーカーが「現代ビジネス」に寄せた記事によると、国連のWFP(世界食糧計画)がブロックチェーン技術を用いて、1年間でヨルダンにいる40万人ものシリア難民に、900万ドルを送ったという。
シリア難民がヨルダンに到着すると、国連難民高等弁務官(UNHCR)がシリア難民一人一人の生体情報をスキャンして登録する。その後、UNHCRはWFPに対して、誰がどのような支援を必要としているのかを伝えると共に、デジタルウォレットを作り、そこに食費を配分する。

これにより、今までは銀行を介して行われていた取引の管理、正確に支払いが行われたかどうかの確認作業が不要になるのと共に、不正行為を防げるようになる。経済的支援が必要なのに、さまざまな障害によって資金が行き届かない、経済的谷間にいる人々にきちんと資金を届けることが、ブロックチェーン技術を用いれば可能になるのだ。
このように見ていくと、「ブロックチェーン=仮想通貨」というのが、いかに近視眼的な見方であるかが分かる。ブロックチェーン技術は、確実にこれからの時代にとって、重要な社会インフラになっていくだろう。

関連記事

ページトップへ戻る