【ビットコイン原論文17】Proof-of-Work:プルーフ・オブ・ワーク1
タイムスタンプサーバがハッシュ値を生成して配信することを、「新聞やUSENET(ニュースグループ)への投稿」に例えました。
実際には、peer-to-peer(P2P)による分散型タイムスタンプサーバーを実行するために、暗号学者のアダム・バック(Adam Back)博士が考案・開発した、『ハッシュキャッシュ(Hashcash)』と同類の『プルーフ・オブ・ワーク・システム(proof-of-work system)』を、ブロックチェーン技術では使用する必要があります。
『ハッシュキャッシュ』とは、1997年にスパムメールの対策としてアダム・バック博士が考案した技術です。従って、これもまたブロックチェーン/ビットコインのために新しく考案された技術ではありません。
大量のスパムメールが送信される理由のひとつに、技術や法律の問題ではなく、ほぼゼロに近い低コストという経済的理由が挙げられます。送信者側に1通1円であってもコストが発生すればスパムメールは減るはずですし、受信者側はコストを負担してまで送信されているメールであれば、無料のメールより信用できるだろうという心境になります。
よって、1990年代に送信者にコスト(課金・罰則・罰金)を発生させることでスパムメールを減らす方法が思案される中、送信者にお金(キャッシュ)を負担させるのではなく、コンピュータの処理能力を負担させる「ハッシュキャッシュ」と呼ばれる方法がアダム・バック博士によって考案・開発されました。送信者のパソコン(CPU)にて複雑な計算をさせることで、送信前に時間とコスト(CPU・電気の消費)による負荷をかけ、送信能力を落とさせてスパムメールを減らそうというアイデアです。しかし、残念ながらスパムメール対策で「ハッシュキャッシュ」が実用化されることはなかったようですが、ブロックチェーン/ビットコインによって、このアイデアと技術は『プルーフ・オブ・ワーク・システム』として日の目を見ることとなりました。
[ビットコインのホワイトペーパー原文は、bitcoin.org様より転載させていただきました。
Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System]
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