仮想通貨/暗号資産遍歴 第6回 -亀田勇人さん-

第6回のインタビューは、不動産のブロックチェーン登記や円建てのステーブルコインを発行している亀田 勇人さんです。

仮想通貨/暗号資産遍歴 第6回 -亀田勇人さん-

仮想通貨(暗号資産)遍歴 第6回

亀田勇人さん 経歴
株式会社ZWEISPACE JAPAN 創業者であり代表取締役CEO

京都大学理学部物理学科卒
国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員
オープンハウス/SBIホールディングス株式会社
ソフトバンク・グループ/ローム株式会社などに在籍したのち
不動産屋名鑑株式会社 他数社の取締役

株式会社ZWEISPACE JAPANのプレスリリース
不動産のブロックチェーン登記(権利記録)、日本国内でも大手司法書士法人が運用開始
世界初、次世代遺言スマートコントラクトを作成できるシステムを開発。

--まず、亀田さんのビットコインとの出会いについて教えてください。

2013年のキプロス・ショックの際に、ビットコインの高騰について報じられている頃にはもう、僕はビットコインを知っていました。飛行機のチケットをビットコインで買っている人とかいましたから。チケットを売ってビットコインを受け取った人に「そのビットコインをどうしているの?」って聞いたら、「受け取った瞬間に米ドルに換える」って言っていましたので、「なるほど、まぁ、そうだよね」と当時思いました。

そして、その頃ソフトバンクの方に「ビットコインっていうのがある」とお伝えしました。ちょうどその頃にロボットのペッパー君が発表されまして、ソフトバンクを訪問して「ペッパーくんに絡みに行こうかな」というのがあり、ついでにいくつか儲かりそうなネタを持っていこうという中で、そのひとつに「ビットコイン」の話をしました。

また、アメリカの当時FRB議長だったイエレンが「ビットコインを知っているか?」「ビットコインを使わないのか?」という質問を議員から受けていた際、「私達が通貨を管理しているのだから、そういうのがあるのであれば、まず私たちに先に話をすべきでしょう」と言っていた映像をよく記憶しています。基本、シニョレッジ(Seigniorage)をいじる人っていうのは歴史上、時の権力者にいじめられるんですよ。実際、ビットコインの場合は、キプロス・ショックの事件で資金を逃がすのに使われていましたからね。
結局、アメリカ人にとって、普通に『通貨』と言えばドルベースで問題ないなわけですよ。第二次世界大戦後の現在、アメリカはドイツと日本と両方に勝ちましたから。従って、アメリカが「ドルとビットコインとを交換してもいいか?悪いか?」を法律で決めたら、それに従うしかないと。そのリスクはありますが、「どこかで、ビットコインのブームが来るかもね」という話を当時しました。

もっと言うと、本当は「スカイプでポン」って送金できればデジタル通貨は別にビットコインじゃなくてもいいわけですよ。というリスクも自覚したうえで、「まあこういうのもあるよ」という話を当時していたわけです。

話は戻りまして…ペッパー君が少しまだ「”会話認識”の辺りで調整が必要そうだ」という状況だったので、僕は「じゃあもう少しの間、別の業界を回ってみようと」ということにしました。そこで、その頃に東京オリンピックも決まったので、一度は把握しておきたかった不動産業界をみておこうと思い、新興とはいえ伸びている東京の不動産会社に少し入社させいただき、勉強させてもらいました。

その不動産会社は、5億円で買ったビルをリノベーションして7億円で売るような収益部門が、ちょうど立ち上がるところでした。僕が入った当時、数ある物件の中の一つに神奈川県の某大学のキャンパス前辺りにある、148室の上場企業の元寮を買っていた状況でした。

買ったときから全て空室だったのですが、それらを埋めようという話になり、知り合いに当時学生マンションを手掛けていた会社の役員がいたので聞いてみたら、「入居が学生の場合、その物件だと50%ぐらいしか埋まらないよ」って言われたんです。じゃあどうしようとなったのですが、その物件の担当者と相談して「シェアハウスにしよう!」と決めたんです。今度はシェアハウス最大手のオーナー社長…その方の方がだいぶ先輩なんですけど、僕と同じ京大出身で、元IBMのトップ営業の方だったのですが、その縁もありその方と一緒に「やりましょう!」っていう話になったんです。

だいたい学生は毎年2~3月に入居してくるのですが、その物件は2月末になってもまだ7人しか入居していない状況でした。しょうがないので僕も一緒になってテコ入れした結果、そこから2カ月で満室になったんです。焼肉パーティーなどのイベントをポケットマネーで開催して人を集めたり、外国人や面白い人に入居してもらったりと、他にもいろいろやりました。その結果6億円で買った物件が9億円で売れたんです。

この当時、僕個人の物件もAirbnbで貸していたのですが、スーパーホスト※だったので通常の3倍くらいで貸すことができたので、一般のホテルと同じぐらいのレベルの賃料を受け取れていました。
※ゲストに最高の体験を提供し、全ホストに模範を示す経験豊富なホストに与えられる称号

その大規模物件を賃料を2倍にしても埋めることができた経験から、不動産を買って『2倍』までは無理かもしれないけれども、自分としては「工夫すれば2割ぐらいは利益を上げられるだろう」ということが確認できました。もし埋まらなければ、その大規模シェアハウスの空室はAirbnbで貸そうかとも思ったのですが、結果、Airbnbで貸す必要もなく、独自で満室にできたのです。
…で、この話がどこでビットコインに関係してくるかというと…(笑)

このシェアハウスに最初に入居してくれた人が、一番広くて一番いい部屋を借りてくれたんです。管理してくれている人に、「どんな人が入居している?」って聞いたら、「外国人です」と教えてくれたので、僕はその人と話してみようと思ったんです。

当時、僕は不動産業界・建設業界向けに『ロボット研究会』も自分で主催していて、その会で、ソフトバンクが買ったアルデバランロボティクス社製の二足歩行ロボット『NAO』も取り上げて、話題になっていました。そこで僕はその最初の入居者の方とお会いした時に、話のネタにその『NAO』を持って行って画像をみせた見せたら「あっ知ってる」っておっしゃったんですね。

理由を聞くと「元いた会社の社長が『NAO』を好きで、会社に置いてあった」とおっしゃるので、「なんて会社?」って聞いたら、「Bitcoin.com」だということでした。その人、Bitcoin.comの第一号社員の方だったんです。今でこそよく会いますが、その時僕はまだ、Bitcoin.comもロジャー・バーさんも知りませんでした。(笑)

その後、僕は色々と工夫したとはいえ、あまりにも早くシェアオフィスを埋めることができたので、そのシェアハウス最大手の創業社長さんから「うちの社長やらないか!」って誘われたんです。聞くと「700室ほどの空き部屋がある」ということだったので、僕が「埋めましょうか?」って言ったら「埋めてよ!」って話になりました。そして僕は「ビットコインで住めるようにしていいですか?」って創業社長さんにお願いしたんです。僕にはマーケティング力がありますし、何よりも最初に住んでくれた人がビットコイン好きの人でしたからね。(笑) そして僕は、どうせ空いているんだから、最初の2か月を無料にして、1か月=1ビットコインで住める『ビットコイン・レジデンス』っていうプロモーションをやったんです。当時の額で、『1BTC=5万円ぐらい』で住める部屋を700室募集したんです。今のレートだと、1室100万円とかになっちゃいますから、伝説のプロモーションページですね。(笑)

おしゃれで綺麗な家具付きの部屋を、ツバイスペースのサイトに地図と写真を付けて掲載して、Twitterで拡散したら、150人ぐらいのエンジェル投資家が集まったんです。「すごいなこれは」と思いましたね。

クリスラーセン(Chris Larsen)さんや、その他にはドッジコイン、まだほのぼのとしていた頃で(笑)、ドッジコインの方がツイートしてくれたりしていましたね。クリスラーセンさんは、当時まだイーサリアムもなくてビットコインの次、2番手となったリップルの創業者です。SBIの時に彼の一つ前のプロジェクトで一緒に役員をやっていましたので知っていたのですが…クリスラーセンさんの話は、また後で出てきます。

そんな感じでビットコインの反応が良かったので、ビットコインのミートアップが東京で開催されていたので行ってみたんです。そのミートアップ、当時は宍戸健さんが主催していて、ロジャー・バーさんが時々来たりしていましたね。そこで外資系投資銀行に勤務していた外国人などがいて、なかなかパンクな人にも会いました。(笑) 彼は「オレは政府を信じない!」「ビットコインは金(GOLD)と一緒だ!」って言っていて、パンクなんだけど、なかなか話の筋は通っていたんです。

そもそも、1996年くらいから、オンライン上でコインを作ろうと思ったら、『Windowsコイン』でも何でもいいので、やればすぐにできるのに、(国・政府・中央銀行等に)遠慮して誰も作らなかったと僕は思っているんですよね。SWIFTとかもあるし。だけども、その日はどのみちいつか来るわけですよ。それで、これだけパンクな人…というか、頭もいい人たちがミートアップに集まって「ビットコインだ!」って言っているわけですから「これは、そろそろはじまるかも!」って思いました。

ただ、僕は京大なんですが、僕の大学時代の知り合いには今も政府の中にいる人もいます。その人たちは無茶苦茶勉強して、お金に関わる法規制、証券に関わる法規制…金商法(金融商品取引法)を作っている側にいるわけです。その人たちの勉強量を考えると、パンクな人たちの知識では全然かなわないわけですよ。色々な利害関係があるので『金融システムを守る』ためのことも考えないといけないと、僕は思ってはいるけれども、そういった考えは彼らには全くないわけですね。

まぁでも、これだけパンクな人たちが揃えば、「もしかするとうまくいくかも?!」って思って、それから少し真面目に仮想通貨/暗号資産のことを見始めました。

そして、ちょうどその時、東京オリンピックも決まったし、景気もいいし、最後にいたのが不動産業界で、縁も新しいしということで、2016年1月に『PropTech(Property Tech):不動産テック』をやることにしたんです。当時はまだ、そういう言葉もなかったですが。

その直後2月にある会合で、とある偉い人が「ビットコインはアフリカとかで使われるもので、日本のような先進国では必要ない」って言っていたので、僕は質問して説明したんです。2か月前、友人とビットコインで出資して、会社を登記しました。それに対してシンガポールは「ビットコインだと税金はかからない、消費税もかからない。Cryptocurrencyとかフィンテックは大歓迎です」と言っていたよ、と。それに比べると日本では税金はかかるし…当時はビットコインには消費税もかかるという話もあり、シンガポールのように登記は早くできないしで、「やっぱり考えちゃいますよね」っていう話をすると、参加者の皆さんが結構ザワザワし始めたのです。

そして、その2週間後に新聞で、『仮想通貨を「モノ」ではなく「貨幣の機能」を持つと認定』したことで、ビットコインの売買に『消費税はかからない』となったんです。で、僕も結構そこから知り合いとかに仮想通貨/暗号資産、ビットコインについてワーワー言い始めました。あの頃…2016年2月頃から、たくさん参加してきた気がしますね。そしてしばらくすると今度は、仮想通貨/暗号資産交換業の登録をという話になってきました。

--よく「興味を持ったきっかけはビットコイン(仮想通貨/暗号資産)か?ブロックチェーンか?」といった話題になりますが、そうすると亀田さんの場合はビットコインからこの世界に入った感じですね。

そうですね。
仮想通貨/暗号資産だとビットコインだけではなく、当時SONYの会場を借りて「イーサリアム(Ethereum: ETH)の勉強会」というボランティアの会があって、それに参加したんです。そこでたまたま知り合った人が、「OTC(Over The Counter:相対取引)で仮想通貨/暗号資産のアービトラージ(裁定取引)やっている」って言っていたんです。その人が当時、ビットコインやイーサリアムのアービトラージで「価格差が3%~5%あって儲かる」って言っていて、僕は「もうプロがいるのか!」と驚いたんです。けど、周りで20人ぐらいその話を一緒に聞いていたのですが、他の人は「ふ~ん」って感じで、その凄さがよくわかってなかったです。(笑)

あと、当時はAugur(REP:2018年6月までコインチェックにて取引できていた仮想通貨/暗号資産)などのいろんな企画が出てきた時でした。Augurの若い創業者と話したことがあるのですが、Betfair(オンライン専門のブックメーカー/ベッティング・エクスチェンジ)と比較してプロジェクトを説明していたりしましたね。

Betfairは『ベッティング・プラットフォーム」『ブックメイキング』のインターネット版で、イギリスでは合法なので珍しくイギリス発のネット会社だったのですが、僕がソフトバンクにいた当時、Betfairで事業を担当していた伯爵などとお会いしていました。そして2006年にソフトバンクがBetfairの株式に投資した経緯もあるわけです。

Augurは、そのBetfairを真似して『仮想通貨/暗号資産』版にしたプロジェクトなわけですが、Betfairのようなオンライン・ブックメーキングはイギリス国外では法的に違法で、Betfairはイギリス国外には進出できませんでした。それが「ブロックチェーンだからできる」と言われても…それは、「違法でもできる」っていうだけっていうことなのですが…。(笑) Augurが、いいアイデアなのもわかるし、技術的にも「それなりにはできるかも」というのはわかりましたけれども…。
まぁでも、そういう視点を持っている僕の方が特殊なので、ほとんどの人たちにとっては、わからないので「Augurすごいかも?!」となったわけでしょうね。なので、『インターネットで、なんか別に普通にやればいいじゃん』という中で、『やっちゃあいけないから、出てきていない』ものが、仮想通貨/暗号資産を使った『クリプト・プロジェクト』として出てきているという印象は当時ありましたね。

あと、長くなるので話は途中省略しますが、2015年末に、セキュリティー・トークナイゼーション(Securities Tokenization)の話があって、僕も「絡まないか?」と誘われたんです。そして弁護士事務所に呼ばれて打ち合わせをしてたら、先ほど出ました、クリス・ラーセン※さんの名前が出たんです。
※クリス・ラーセン:Chris Larsen リップルの共同創業者で元CEO

その時、彼の名前を聞いて思い出したのですが…

僕はちょっとだけですが、2007~2009年頃にSBIにもいたんです。クリス・ラーセンさんが、まだリップルを始める前ですね。彼は、最初に成功したベンチャーがオンライン融資のE-Loan社で、次がP2P金融のProsper社を創業していて、上場させていたんです。北尾さんとクリス・ラーセンさんとの信頼関係もあって、「2社目も日本でやろう!」って話があり、僕が当時アジアの企画系の担当だったということで、クリス・ラーセンさんと一緒に仕事しました。当時の印象としては、カリフォルニアの起業家はやっぱりスピードが速かったですね。仕事が仕事だったので、孫さんと一緒にジャック・マーさんとか、ビル・ゲイツさんとかにも僕は会ったこともあり、いろんな人をみてきました。なのでインターネット業界の経営者のレベル感はわかっているつもりでした。クリス・ラーセンさんはカリフォルニアでは珍しく金融系のベンチャー起業家ですが、やはり日本のベンチャー起業家と比べるとだいぶ速かったですね。

そんな過去がありまして、弁護士事務所での打ち合わせで彼の名前を知らなかった参加メンバーが「クリス・ラーセン」で検索したら、同じ会社の役員をしていた「亀田」の名前も出てきたわけです。「すごいじゃないですか」とか言われたのですが、僕の方は「いま何やってるんだ、クリス・ラーセンは???」ってなったんです。(笑)
そしたら、参加メンバーが「リップルを作ったんですよ」って教えてくれて、知らなかった僕は「リップルって何?」って質問したら、「銀行間の…うんぬん…」って教えてもらったんです。

ビットコインはその時すでに値段が上がっていて…銀行間では確かにブロックチェーンなんか必要ないし…普通にアメリカ人的に考えると「消費者よりも、大手金融機関に寄っている方がいい」という発想になるだろうから、なるほどクリス・ラーセンはそういうポジションをとって新たなビジネスを始めたなというのは理解できましたね。ビットコイン的なやつですが、アメリカ版をまともに考えた結果のソリューションですね、リップルは。

僕がクリス・ラーセンさんと知り合いだってわかると、仮想通貨/暗号資産業界の人を紹介してくれようとして、皆すごく丁寧に対応してくれましたね。その中で「イーサリアムの代表を、ついこのあいだ辞めた」って人を紹介されて会ったんです。

そのイーサリアムの元代表ですが、不思議だったのはウィキペディアでは彼のことを「MITの教授」「NSAのエンジニア」とか紹介してあって、僕も最初は「そうなんだ」と思って会ってたんですけど、後からそれは全部ウソで、ウィキペディアにその当時瞬間的に書き換えてたっていうのがわかりました。本人がやったんじゃないんでしょうけれども。(笑) 彼のセミナーでもそう紹介されていたのですが、彼の物言いは面白かったですね。セミナーもうまかったです。

僕らがBetfairに投資していたことを知ると「30カ月分ぐらいの資金はあるんだけど…」と、いわれたりしました。そのキーワードですぐ反応するっていうのが、まず日本ではないのですが、そこを理解してさっと立ち回れるイーサリアムの元代表の力量が、どのくらいのレベルなのかはわかりましたよね。彼は今、そのコインのヘッドをやっていますね。どういうコインなのか調べてないので未だによくわからないんですが。

「仮想通貨/暗号資産」投資の話になりますと…
2015年末ぐらいに…その頃初めて「何かアプリとかを動かすのに、とりあえずビットコインを少し持っといた方がいいでしょう」って話になって、1BTC=4万円ぐらいの時に少しだけ買ったんです。結局その時の価値からそのまま今は増えてます。ビットコインをアプリに使っても、せいぜい100円ぐらいしか使いませんし、、使ったのは500円ずつとか、飲み物が飲める程度の額をミートアップに来た人等に分けてあげるぐらいでした。まぁ、使い切る程の使い道もなかったのですが。その時、同時に「イーサリアムも買いませんか?」「買った方がいいですよ!」「昔のビットコインと同じで、今ならまだ1ETH=1円ですよ!」って言われたのですが、僕は、買わなかったんですよ。まだ使い道もアプリもなかったですからね。イーサリアムは、その後トークンを作るのに少し分けてもらいましたが。当時買っていたら今、数万倍になっていますね。けど、その後もこれといったアプリがないので、未だに買おうとは思いませんけどね。(笑)

--亀田さんが今行っているビジネスについて教えてください。

今は不動産テックに始まり、地震センサーシミュレーションもやっています。日本はやっぱり地震が多いので。ビルの中にセンサーを入れて、地震がきた時の揺れを測って「通常の揺れ」の場合と「問題が起きた時の揺れ」の差分を取っています。千葉方面で地震が起きたときに、赤坂方面にどのくらいで伝わってくるかっていうのは、今は統計がとれているのですが、例えば断層が入った場合、その前後ではまた揺れ方が変わるんです。従って、東京の地層や過去のデータをとって理論を作っても、実はある地震の後、次にどうなるかはわからないんです。そうではなく、センサーをたくさん置いて、リアルに機械学習させた方がよいのです。

例えば現状でも、普通に構造力学とかでやっても、実際に建物で測ると、その通りにならないんです。今までは、建てるのが仕事で建てた後はほとんどの建物は地震の構造への影響を計測していないので、わからない。だから、「わかろうよ」って話なのです。測ってみて、後はマシーンラーニングとシミュレーションで答えを出させればいいじゃんってことなんです。

--ビル一棟一棟に、たくさんセンサーを設置するのですか?

一戸建てだったら、とりあえず地下にひとつ、2階、天井や屋根に4か所設置すればいいですかね。ビルの場合だと高さ方向がわかればよくて、機械はスマホでできます。
ソニー・エリクソンさんが「スマホがたくさん揺れたら地震だ」ってみる特許を出してます。弊社の取得した特許は『揺れる』と言ってもて歩いて揺れている時もあるので、止まっている時だけカウントしましょうとなっています。また、高さ方向がわからないので高さ方向のシグナルをビル内から発信するようにしています。例えば8階にあるスマホは、ビルの8階から出ているシグナルを受信して、そのスマホが『ビルの8階にある』とわかるようにします。またそれだけではなく、50m位の範囲で隣のビルにあるスマホにも「あなた8階にいますよ」とシグナルを送ることができて、そして「あなた、今からこのぐらい揺れますよ」ってことがわかります。つまり、千葉の地震が赤坂に届く時刻とそのときの8階の揺れが、予測できるってことです。ちょっと揺れるだけですと、建物の正確な『揺れ』の数字はわからないので、スマホも活用して、色々な家電にそういうチップを入れていくと、正確な数字を取れるようになります。そういうチップを500円ぐらいで発表した会社もありまして、日本はやはり地震が多いので、こういう企画がされていきますね。

やっと、ここからがブロックチェーンの話なのですが…(笑)
この計測した『揺れたデータ』って、なくなったり、改ざんしたり、隠したりしたいっていうのがあるんです。なので、それができないように『ブロックチェーンに書き込もうよ』という話です。ブロックチェーンに書いておいて、そのブロックチェーンに記録された情報を、ビルのオーナーさんが次の買い手さんに渡すっていう風にして継承していけばいいなと思っているのです。そうすると買い手さんは「買う前に知りたい」って思えば、キーをもらえば正しいデータを見せてもらえるわけです。
そのキーは、ブロックチェーン上に書かれているわけで、弊社ツバイスペースが特許を取った『マルチシグ(マルチ・シグネチャ)』になっていて、トリプルの署名が必要となっています。オーナーさんと不動産屋さんとか複数人のキーがそろわないと実行できないようになっています。また、当然ブロックチェーンなので、二重売買ということもなく、キーは一人にしか渡せないんです。
海外でよく、色々ネタで「不動産の登記をブロックチェーンに入れました!」って出ていますけど、これはまぁギャグでしかないわけです。(笑) わかる人にはわかるのですが「それで何になるの?」「それで何かいいことあるの?」って感じなんですけど。(笑) 実際には、大事なデータをセキュアにやり取りしたいので、このキーが欲しいわけです。

また「スマートコントラクトで3億円分の不動産を取り引きしました!」ってニュースでも見るのですが、実際3億円もの額の不動産取引をスマートコントラクトで取引するわけがないんですよね。今はまだ不動産取引は、やっぱり人を見て、書類にサインでの取引で『オンラインでクリック』だけでは買わないです。

ただし『スマートコントラクトで不動産取引』であれば、やっぱりキーが必要となりますので、『不動産データ』や先ほどの『地震データ』などいろいろなデータがキーに入ると、ペーパーではなく『スマートコントラクト』にも意義がでてきますよね。まぁこの地震等のデータとをセットにした取引を僕は2年以上前から狙っていて、特許申請も出して2018年末に取れました。その前の段階として、ブロックチェーンに関係する不動産登記やIOTやスマートコントラクトなどの特許も取りました。

もうひとつ別の話で…先ほど、『地震センサー』の話をしましたが、どうせ家電にセンサーを入れるのだったら、『家電のセキュリティ管理」もしようという試みもあります。NDAあるので詳しくは話せないのですが。(笑) ブロックチェーン業界は家電メーカーさんに比べると、セキュリティの専門家が多くて強いので、セキュリティは専門家に『ファームウェアアップグレード』してもらって、家電メーカーさん達はそれに乗っかるだけでいいというアイデアです。
あと、不動産賃貸ポータルサイトがございまして、賃貸の情報をブロックチェーンにて暗号化して書き込むというものです。
また、ブロックチェーンではないですが、ロボット建築士…『オートカルク』と言うのですが、土地の形状を写真に撮ると、その土地で一番儲かるアパートプランを作成してくれるというアプリです。単に数字だけではなく、実際の建物が画面上に建つのです。

このように、結構いっぱいやっているんですよ。(笑)
それで結構、ブロックチェーンじゃなくて、AI関連のアプリの方もシリコンバレーなんかでも大変受けがよく、昨年2019年の秋に不動産テックソリューションで、アジア太平洋地域でNo.1を受賞しました。

それで不動産業者さんに使ってもらっていたのですが、それだけじゃなくて一般の人にも、そうしたアプリを使うためのユーティリティートークンとして『ZWEICOIN(ツバイコイン)』を発行しはじめました。早速好調です。

このトークンにはいくつか特徴があって、最大の特徴はこのトークンから発生するサープラス(余剰金)の一部を不動産の購入に充てて、それを不動産ブロックチェーンに登記します。賃貸収入がグローバルにみるとまあ5%程度入ってくるのですが、その分もブロックチェーンに登録して、皆が確認できるようにしておくというものです。

ZWEICOINの場合は、ヤフーBBの回線スピードのときのように、ベストエフォート(最大限の努力)なのですが、一方で『ZWEINOTE(ツバイノート)』といって基本的に不動産そのものを想定したトークンも、日本の不動産屋金融の免許を保有しているパートナーと発行します。まぁ、これはもう5年前から考えていて、このために不動産のブロックチェーン特許を取ったようなものですが。

もちろん世界中でこういう動きが出でてくると思いますが、不動産のブロックチェーンまわりの特許をかなり取っているのと、海外でも取れていて、不動産テックアプリ群でもNo.1になっているので、ここは弊社がやらせていただこうと思っています。実際、facebookのコイン(Libra/リブラ)よりは、安心でわかりやすいと思いますし。

それから、もう一つの特徴はウォレットの中で『フォージ(FORGE)』と呼んでいて、別のコインに合成することができるようになっています。これはヨーロッパの中世のゲームの中であったりしますが、『ZWEICOIN』から『Thaler token』や、『Gem token』あるいは『LEGAL Token』などを合成することができるようになっています。

『Thaler token』は、発行額と同額のUSD:米ドルを銀行口座においています。米ドルは昔Thalerといわれていた名残があるので、そのまま『Dollar:ドル』という名前ではないですが。『Gemはtoken』、Germany、ドイツではないですが、EUR:ユーロです。そして『LEGAL Token』は、LegalTech:リーガルテック(法律×テクノロジー/IT)のアプリを使うためのトークンで、こちらは海外のブロックチェーン企業などとも連携して、これも最先端のNo.1アプリ群をつくっていく予定です。

ですので、これまでのいわゆる『仮想通貨/暗号資産』とは違ちがって、本当に価値がありそうなものにつながるシリーズをリリースしていこうと思っていまして、NDAも多いですが、海外の仮想通貨/暗号資産取引所とも話がどんどん進んでおります。 

それから、最近の機能ですが一般に流通している仮想通貨/暗号資産を保有している場合、病気などによりパスワードがわからなくなったり、保有者が亡くなったりした場合に『移動(出金)できなくなる』問題がありますが、ZWEICOINのウォレットでは、そうならないように『承継アカウント』を設定できるようになっています。また、その際に保険ではないのですが、『お見舞いコイン』が発行されるようになっています。

こちらは外資系保険会社で保険商品を開発していた、同世代の京大のOBが全体の設計を担当してくれています。彼は不動産も世界レベルのプロ投資家です。保険も結局のところ不動産で運用しているわけですが、海外の方が投資効率もよく料率が非常に有利なので、そのあたりも世界一レベルの腕をみせられればと思います。

まぁあくまでも『ユーティリティートークン』の中での話ですが、好評であれば保険会社さんと協力するなどして、実際に保険を作ることも検討しますので、是非、ご期待、応援してください。それ以外にも楽しい工夫があるのですが、それは今後のお楽しみということで。(笑)

--今後、仮想通貨/暗号資産・ブロックチェーンはどのように使われていくと思われますか?

不動産登記なのですが、日本だと1週間ぐらいで登記されるのですが、国に承認されるまで、アジア圏だと6カ月ぐらい、アフリカだと2年ぐらいかかったりするんですね。お金の受け渡しはするけれども、6カ月後までわからないんです。一週間程度の日本でも起こってしまう、二重売買される恐れもあります。

なので、そういうところに『不動産ブロックチェーン登記システム』を導入するっていうのは非常に意味があると思っています。軍事政権でいきなりなくなったり、無理やり「それは俺のだ!」とか言われてしまったりする国もあるわけですから。そういうのはやっぱり、ブロックチェーンが非常に適していると思いますので、どんどん海外に話を持っていっています。

ブロックチェーンってやっぱり、『デジタル』なんですよ。その『デジタル』に『フィジカル』をくっつけるというのは難しいのです。「オリーブオイルの経路」だったり、コーヒーや肉とか言われているのですが、それってくっつかないので入れ替えられます。だけど、不動産は『入れ替えられない』んですよね、「あの土地を入れ替えました」とか「あるビルを入れ替えました」とかできない。

なので唯一、不動産だけは物理的なモノの中で「ブロックチェーンに書き込んでも大丈夫かな」と思っていて、逆に文字通り『不動産』以外には動かないものはない。なので不動産のブロックチェーンの特許を取って、アプリの開発を進めたわけです。そこに可能性があると思っています。車も車庫証明を取るので「住所に紐づいている」、家電商品も「部屋に紐づいている」とすると、最終的にはブロックチェーンに繋げられる…そういう方向性で僕らは考えています。

あと不動産のポータルサイトを運営していると、不動産の写真がすごい量あるんです。プログラムとか書かずに普通にAWS(Amazon Web Services)上で右から左に移そうとしたら70時間ぐらいかかるんです。それほどのビッグデータを、ブロックチェーンのノードに乗せると大変なわけです、1台のマシンでは無理ですし。
それを「ビッグデータに特化した特殊なノードを我々は運営します」って宣言して、ブロックチェーン…プライベートチェーンでもパブリックチェーンでもどちらでもいいのですが、ひとつの特別に大きなノードを運営していくという案もあります。最初は、僕ら自身がそれを必要としているので、自分たちのために作った後、皆さんが持っているビッグデータを、そこに「入れたい」って人達がいたら、各自でノードを立てていたら大変なので、「このノードに入れてください」と。

弊社のように大量のデータを持っているところは、他にあまりないと思うんです。例えば銀行さんの場合は数字だけですから。なので最初に弊社を実験として使いましょうと。今、IPFS(Inter Planetary File System)とか言っても、よくわからないので、とりあえず『株式会社』である弊社で、ノード2つか3つできっちりやるというのは、ありかなと思っています。

あとは、また地震の話になりますが、地震は『ナノ・セカンド』『ミリ・セカンド』での同期が重要なのです。「9階と5階とで、どの程度右にずれているか」というのが大事で、『ミリ・セカンド』よりもう少し細かくないといけないのです。

ビットコインの1ブロックの生成が10分ぐらいだとすると、この10分間は「このぐらい揺れたよ」というのはわかります。ただそれでは、例えば、「ミリよりナノ」の世界でHFT(High Frequency Trading)のトレードなんかをしている人たちにとっても、「使えない」になってしまいます。光ですら1秒間に地球7周半ですから、位置によって発注に遅れがでてしまいます。まあ、高周波で同期したブロックチェーンのようなシステムは、多少工夫しなければならないですが、やり方次第で「なんとかなるかな」と思っています。

インターネットを深いところまで勉強すると、『時間の同期』っていう問題は、難しくて誰も解決しないところが最後まで残るんです。もちろん物理的にも相対論からもわかるように、同期はしないわけですが。ビットコインのブロックチェーンは、そこをうまい感じで「10分に1回」という設定にしてありますけど。

「ミリ・セカンドまで必要」となると、それを同期できる補完的なシステム、そしてチェーンに書き込む機能をもったノードを、僕らが必要なので作らなければならないかもしれません。せっかくなので、それを僕らが作ったら、他の人たちにも使えるようにしたいというのはあります。こういう話は、結構アメリカだとすぐに取り上げてリツイートしてくれたりします。

--「プライベートチェーンでもパブリックチェーンでもどちらでもいい」とのことですが、これら2つのチェーンに関してどのようにお考えですか?

僕らはこういった『プライベートチェーン』を作っていますが、例えばトークナイゼーションで使用されるような『パブリックチェーン』は残ると思います。今後『ブロックチェーン』的なものの上に色々なビジネスが乗ってくると思います。僕らは不動産ですが他のビジネスをされたい方は、その業界のチェーンのようなものができると思います。その中で例えば「大容量のデータを入れたい」というニーズも出てくるでしょうから、僕らはそれを用意しようかと考えています。どの道同じロジックで、多少インターフェースは変える必要があったとしても動くので、それはシェアしたほうがいいかなと思っています。

インターネットでは最初にhtmlが出てきて、その後にJavaScript、Flash、PHP、などが出てきましたが、後になるほど何かこうごちゃごちゃ複雑にした『ごっつい』ものをつくっていったわけですよ。今は単にブロックチェーンの単純なノードだけで一緒くたになっていますけど、データベースみたいなところ、ウェブソケットみたいなところを、わけるなどして、もっとスムーズに動くようなものができればいいなと思っています。

後は言っていいのかわかりませんが、金融のシステムは変わるでしょうね。
よく言われる「ブロックチェーンは金融で使えるわけがない」というのは、確かにそうなんです。「別にオラクルでいいじゃん」って。(笑) そんな、ポスト・イットみたいなのを、10枚も20枚も繋げて、そこにわざわざ勘定を…しかも、1枚のポスト・イットには1000取引分しか書けないのに…それをわざわざ紐で繋げて…なんでそんなことやるのか?みたいなね。(笑) 
それだったら別に、「大きなノートに書いたらいいでしょう!」と。(笑)
不動産だったら登記はゆっくりで、1個・1億円で、登記代100万円ぐらいかかるのが現状だったら、そのぐらいでもいいかなと。1回書き込んだら、10年ぐらいはそのままな訳ですから。『書き換えられない』っていうのが大事であって「まっ、それはブロックチェーンでもいいじゃん」って。

それで僕は不動産の方が使えると思っていたわけですけど、意外とニューヨークの人たちは、ブロックチェーンをホワイトペーパーのまま『P2P金融』の世界で使おうと話していて、金融側フィンテック側の特許をたくさん出願していました。2016年の春ごろですね。もちろん、Facebookのリブラ(Libra)もどうなるかわからないですが、それにブロックチェーンが使われる必要があるのかどうかも、わからないですけどね。

『送金が無料になる』っていうのは、わかるじゃないですか。Gmailが無料で使えているのに、送金が無料でできないわけがないと。送金なんかは「口座」「時間」「金額」だけのデータでいいわけですから。(笑)
『送金』がなくなると、あと残るのはアセットのマネジメントですね。

例えば、ある銀行が口座開設している人の、「株を持っている」「車を持っている」「ローンがある」「教育費支払っている」という情報を入手でき、「この人はお金持っている」と判断すれば、銀行はその人に、低金利でお金を貸すことができます。そういう情報を全部持っていれば、スコアリングすればいいわけです。
ただし、情報を持っていても、スコアリングを出すのが、上手な人と下手な人といると思います。そうすると僕らは銀行にお金を預けるのではなく、その『上手な人』にお金を貸した方がいいわけです。インターネットでガラス張りにしてそういう市場を作ると、それはもう『金融機関のブランド力』ではなくその人『個人のブランド力』になるのです。

今の銀行は、今はそれがわからないのでとりあえず損しなかった人が、最終的に貸し出しのトップになっていく。そのトップに僕らはお金を貸せればいいのですが、それがわからないので、とりあえずみんなまとめて預金にしているわけです。今後、オンラインでAIが貸し出しを選択するようになったら、そのトップの人がファンド作って、その人に貸しとけば、安全で高金利ってことになってしまうわけです。これができる環境がインターネットですね。

そして、事務的な『フィナンシャル・サービス』は、プログラムでシステム化できてしまうので、そちらの方がコストがかからなかったら、「今後どうしますか?」ってことになりますよね。今のままのオペレーションというわけにはいかず、変革を迫られて金融の立て直しが行われるでしょう。ただ、金融庁もそれは考えていて、次のビジネス・モデルみたいなものをちゃんと用意している感じではあります。

そういったこともあり、ブロックチェーンは、新しいビジネス・モデルとか、新しいテクノロジーが生まれてくるきっかけになると思います。

今のインターネットは、ウェブサーバーから始まりましたが、他にもDNSサーバーや、メールサーバーといった、大事な役目をもったサーバー(分散システム)が存在します。それに匹敵するものになるかはまだわかりませんが、そうしたものと並列に新しくでてきたものがブロックチェーンという分散サーバーシステムだとおもいます。ICOで多くの人たちが色々なアイデアを出してきて、その中で「あっ、これいいな!」と思えるものが育ってきています。インターネットは今、広告だけじゃないですか。それが、ブロックチェーンによって変わってくると思います。

まぁ、広告の時代は簡単だったけど、そのあとを作るのはこれまでよりは難しいですけどね。(笑) ZWEISPACEは日本発の企業なので、日本の感度の高い仮想通貨/暗号資産ファンの皆様とも一緒に盛り上げていければと思っています。一昔前の自動車業界や家電業界のように、日本人として海外に出て誇りに思える産業を、インターネット上にも作りきれるようにがんばりますので、ぜひ、仮想通貨/暗号資産、金融機関、政府の方々、士業の方々等、日本の皆様からの応援、温かいご支援いただけますよう、よろしくお願い致します。

--本日は、長時間にわたって貴重なお話をお伺いさせていただきまして、誠にありがとうございました。
これからも、どんどん新しいアイデアを出して、おもしろいビジネスにつなげていってください。

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