ビットコインの価格分析:『CME先物市場でネットショートポジションは本年3月以来の高水準に』

ビットコイン円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。

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ビットコインの価格分析:『CME先物市場でネットショートポジションは本年3月以来の高水準に』

1. 概況(ファンダメンタルズ分析)

1.	概況(ファンダメンタルズ分析)

ビットコインの対円相場は、3/13に記録した約1年ぶり安値44.2万円をボトムに反発に転じると、①世界的な外出規制緩和に伴う楽観ムード(新型コロナ収束後のV字回復期待→株高・原油高を受けたリスク選好ムード)や、②世界各国による新型コロナ景気対策(金融政策と財政出動の組み合わせ→投資家心理改善→リスク選好ムード)、③大規模量的緩和を受けた世界的なインフレヘッジ需要(大規模量的緩和→過剰流動性相場→法定通貨のインフレ懸念→インフレヘッジを目的としたビットコイン買い需要)、④デジタル人民元やデジタルドルなどCBDCに関する相次ぐポジティブ報道、⑤改正金商法・改正資金決済法施行に伴うマーケットの健全化期待、⑥4年に1度の半減期通過に伴う安堵感(ハッシュレートは乱高下しつつも底堅さを維持。一部で警戒されていたようなハッシュレートの急低下を通じた大手マイニングファームの撤退観測は後退)

⑦米中対立再開に端を発した逃避目的のビットコイン買い需要(中国当局による人民元安容認観測→人民元下落→対中依存度の高い国々による通貨安志向の高まり→ビットコインへの逃避)が支援材料となり、6/1には、一時110.5万円(2/24以来、約2ヶ月半ぶり高値)まで上昇しました。

しかし、年初来高値115.0万円(2/13高値)に一歩届かず反落に転じると(短期筋の見切り売り)、⑧新型コロナ第2波リスクへの警戒感の高まり(米国や中国で感染再拡大の兆候)や、⑨上記⑧を受けた資産現金化需要の高まり(新型コロナ第2波リスク→リスクアセットを売却して米ドルに戻す資産現金化の流れ→株安・原油安に端を発したリスクアセット売り→ビットコイン売り)、⑩暗号資産オプション市場に見られるダウンサイドを織り込む動きが重石となり、6/15には一時95.6万円まで急落する場面も見られました。本稿執筆時点(日本時間6月27日午前9時現在)でも、98.5万円前後で推移するなど、上値の重い展開が続いております(⑪今週はPayPalによる暗号資産売買開始報道や、⑫SECのJay Clayton長官退任を巡る報道=市場では同氏が退任することでビットコインETFの認可が近づくと見る向きあり、⑬金(ゴールド)価格の高騰などビットコイン相場にとってポジティブな材料が複数見られたものの、相場の反応は限定的となりました)。

本稿では、以下テクニカル分析の観点でビットコイン円相場の先行きを考察いたします。

2. 移動平均線(テクニカル分析)

2.	移動平均線(テクニカル分析)

ビットコインの対円相場は、21日移動平均線をレジスタンス(抵抗帯)に上値の重い展開が続いております(16日間連続で21日線を下回るなど、地合いの弱さが浮き彫りに)。来週以降は、90日移動平均線(92.2万円)や200日移動平均線(90.2万円)に吸い寄せられる軟調な展開に注意が必要です。

3. ボリンジャーバンド(テクニカル分析)

3.	ボリンジャーバンド(テクニカル分析)

ビットコインの対円相場は、ミッドバンド(赤線)より下側(弱気ゾーン)での推移が継続中です。トレンドの方向性を示唆するミッドバンドの傾きも右型下がりに転じており、「中立→下落」へのトレンド転換の可能性が意識されます。バンド幅の縮小状態が1ヵ月以上続いていることもあり、突発的なボラティリティ上昇に伴うダウンサイドリスクの高まりに警戒が集まります(大陰線の発生に注意)。

4. 一目均衡表(テクニカル分析)

4.	一目均衡表(テクニカル分析)

転換線と基準線のデッドクロス及び、遅行線のローソク足下抜けを経て、強い買いシグナルを示唆する三役好転(①遅行線のローソク足上抜け、②転換線と基準線のゴールデンクロス、③ローソク足の一目均衡表雲上限突破が全て揃う状態)は終了しました。これまでサポートとして機能してきた一目均衡表転換線や基準線も下抜けしており、テクニカル的にみて、「地合いは弱い」と判断できます。目先は一目均衡表の分厚い雲(90.2万円−100.5万円)をクリアに下抜けられるか否かに注目が集まります。

5. RSI(テクニカル分析)

5.	RSI(テクニカル分析)

既存ポジションの手仕舞い(クローズ)のタイミングを示唆すると言われるダイバージェンス(逆行現象)の発生を経て、ビットコイン価格・RSI共に下落基調に転じました。RSIは44.5%程度まで低下するなど、3/30以来、約3ヵ月ぶり低水準に達しております。但し、過熱感(売られ過ぎ感)を表す30%水準まではまだ距離が残されており、もう一段の「下げ」に注意が必要でしょう。

6. CME先物ポジション

6.	CME先物ポジション

米CFTC(商品先物取引委員会)が6/26に公表した6/23時点のCME先物ポジションを確認すると、ネットショートが本年3/3以来の高水準へ膨らんでいることが確認できます(ネットショート11,915BTC=2383枚)。新型コロナ第2波リスクの高まりを背景に、リスクアセットを売却する動きが水面下で着々と進行している可能性もあり注意が必要です。

7. まとめ

ビットコインの対円相場は、6/1に約2ヶ月半ぶり高値110.5万円まで急伸するも、年初来高値115.0万円をバックに反落に転じると、6/15には、一時95.6万円まで下げ幅を広げました。この間、21日移動平均線やボリンジャーミッドバンド、一目均衡表基準線及び転換線を下抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転も終了するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります(心理的節目100万円割れも達成)。

ファンダメンタルズ的に見ても、①新型コロナ第2波リスクの高まり(投資家心理の悪化ムード)や、②欧米株及び原油先物価格の不安定化(リスク回避ムード再燃→資産現金化需要を背景としたリスクアセット売り→ビットコイン下落)、③暗号資産オプション市場に見られるダウンサイドを織り込む動き(短中期リスクリバーサルが下落を織り込むBTCプットオーバーへ深化)、④ハッシュレートの不安定化(難易度調整大幅難化後のマイナーの動き)、⑤CME先物ポジションのネットショート拡大等、ビットコイン相場の下落を示唆する材料が整いつつあります(本年2/13から3/13にかけて、僅か1ヵ月で115.0万円から44.2万円まで急落したことは記憶に新しい)。

以上の通り、ビットコイン円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。新型コロナ第2波リスク(米国や中国で見られる兆候が世界的に波及するリスク)を巡るヘッドラインや、欧米株及び原油先物価格の動向、資産現金化需要に伴うリスクアセット売却の動き、金価格の動向(ここ最近は金価格が上昇する一方で、デジタルゴールドと称されるビットコインは上値重く推移)、ハッシュレートの動き、先物市場やオプション市場の動向を睨みながらも、当方では引き続き、ビットコイン円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(※新型コロナ第2波リスクの高まりを背景に、リスクアセット総売りの展開に警戒。来週の予想レンジは一時的な下髭リスクを考慮の上、ダウンサイドを広めに呈示させて頂きます)。
来週の予想レンジ(BTCJPY): 85.0万円−105.0万円

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