Symbolローンチ延期のXEM、思惑相場は続く
新型コロナウイルスの猛威が振るうなか、年末から加速的に上昇していたビットコインが、11日から急落し、イーサリアムなどアルトコインも続く格好となった。ビットコインの前日比での下落率は20%超。11日の値幅は取引所にもよるが、軒並み100万円超の値幅となっている。急ピッチな上昇に対する過熱感が売りを誘った格好だが、売り材料といえば、英国の金融行動監視機構(FCA)が暗号資産関連企業に向けて、ライセンス登録を申請していない企業は、1月10日までに事業を停止する必要があると警告したぐらいか。正直、米国証券等監視委員会(SEC)などの様々な指摘に比べるとインパクトには欠ける内容のため、これを売り材料視したという説明は無理があろう。
結局のところ、大口投資家による売却で値が崩れたタイミングで狼狽売り及びショート筋が参戦し下に走ったと考える。強烈なふるい落としではあるが、ビットコインはこうした乱高下を繰り返し、今に至っている。このダイナミックな値動きがビットコイン投資の醍醐味だ。レバレッジに対する規制強化でかつての20倍台で投資を楽しむことはできなくなっているが、これだけのボラティリティが有れば、リスク・リターンを楽しむことができる(リスクマネジメントが重要なのは当然)。
一方、12月31日の大晦日にローンチを2月に延期したSymbolだが、運営母体であるNEMのTwitterを見ると、元々1月14日に予定していたスナップショット(株でいうところの権利確定日)の延期を日本時間1月9日の7時頃、決定している。今のところ2月にSymbolローンチを予定しており、その前にスナップショットを行うとの見込み(NEM側からスケジュールの発表はしていない)だが、Symbol獲得の権利確定日が延期されたことで、XEMホルダーは今しばらく保有する必要性がある。ある意味、XEMに対する思惑相場はまだまだ続くという状況なので、値動きや出来高を見ている分にはとても面白い。
きついのは取扱いを検討している交換業者だろう。恐らく、自主規制団体の一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)に対して、取扱いに関する書面は提出済だろうが、Symbolローンチがまだ先である状況下、取扱いに関する様々なリスクの算出は非常に難しい(決まっていないものをどうリスク判定するのだろうか?)。どこまでのリスクを落とし込んでJVCEAが審査してGOサインを出すのかはわからないが、Symbolのようなリスクの算出が難しい暗号資産(厳密にはXYM)の取扱いを当局が認めるのかどうか非常に興味深い。XEMを扱っている既存の国内交換業者が一社もまだSymbol取扱いを明確に言及していないのは、このような難しい問題があるのではないかと考える。
どちらにせよSymbolに絡んだXEMの思惑的な相場展開は今しばらく続くのは間違いない。急落したビットコインのボラティリティも魅力だが、こうしたビッグイベントを控えている暗号資産の投資も今しかない面白味といえよう。
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