SECとの訴訟抱えるリップル、さすがに年内横這いか?
留まることを知らないビットコインが600万円の大台をつけるなか、イーサリアムなどアルトコインも史上最高値を更新している。暗号資産市場は「我が世の春」を謳歌しているような状況である。過剰流動相場恐るべしといったところだ。日経平均やNYダウなど先進国の株価指数が高止まりしている一方、暗号資産は機関投資家や法人の投資資金が流入しており価格は右肩上がりである。とは言っても、一本調子の上昇は少々怖く、投資家は高所恐怖症でチキンレースのような展開といったところだろう。そんなイケイケとヒヤヒヤの暗号資産市場で、時価総額7位のリップル(2月23日、コインマーケットキャップ調べ)が米規制当局ともめている話は、以前ご紹介しているが、その続報を少しお伝えしたい。
米規制当局である証券取引委員会(SEC)とリップル社の訴訟に関して、リップル社の顧問のホワイト氏は、SECの提訴は「完全に間違っている」と指摘した。ホワイト氏は2013年から2016年までSECの長官を務めた経歴を持っている弁護士だ。日本に例えると証券等監視委員会のトップを務めた弁護士が国内暗号資産交換所の顧問を務めているといったところだろう。非常に頼もしい存在だ。ホワイト氏は、SECの訴訟は「法的にも、事実に基づいた場合にも完全に間違っている」と説明しており、リップル社はXRPを2013年から未登録証券として販売していると主張するSECの説明を全面的に否定している。そして、早ければ10月には略式判決が下される可能性があるとホワイト氏はコメントしている。
一方、サンフランシスコに本拠を置くリップル社は、ワイオミング州で事業登録をしていたことが判明している。登記記録は今まで通りサンフランシスコのため、ワイオミング州に移転するかどうかは不明だが、ワイオミング州は、米国内で最も暗号資産関連に積極的な州である。2019年2月に、米国で初めて、暗号資産を法的な財産と認める法律を可決した。それ以降、暗号資産・ブロックチェーン関連企業の銀行口座へのアクセス権利など様々な環境整備の支援を行ってきた。ただ、今回の訴訟で、SECの主張が通った場合、暗号資産に理解があるワイオミング州に移転していてもリップル社のビジネス継続は難しい。そもそもリップル社は今回の訴訟で負けることはあまり想定していないのだろう。となれば、法整備が明確な日本にリップル社が移転するというストーリーも難しそうだ。実現すれば、かなり面白い話ではあったので残念ではある。
この騒動が発生する前の昨年末、リップルは時価総額4位だったが、他の暗号資産が右肩上がりのなか、一人取り残された状況にある。先のホワイト氏の話では、早くても10月とのことで、まだ時間はかかる見通しだ。出遅れ感が強いという見方もできないことはないが、さすがに規制当局との訴訟を抱えている暗号資産は積極的に買いにくい。リップル社からすると、右肩上がりの暗号資産市場を考慮すると凄まじい機会損失を被ったと考えることもできよう。その機会損失は数千億円ではなく兆単位になるかもしれない。そのような訴訟がリップル社からでるとSECはどのような反論をするのか楽しみでもある。
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