ビットコインとチューリップバブル
ビットコインの最近の急騰でもって、ついにチューリップバブルの急騰率を更新したとのヘッドラインを目にしました。チューリップバブルというのは、オランダで1636年から1637年2月にかけておきたチューリップ球根のバブルです。
チューリップバブルでは球根1個が熟練した職人に年収10年分にも達した史上最大のバブル劇です。その後もさまざまなバブルがありましたが、このチューリップバブルを超えるバブルは今までありませんでした。ニュースサイトではグラフだけ出ているものが多いのですが、実際に調べていくと新たな疑問がいくつも出てきてしまいました。
まず、チューリップバブルでは価格が50倍になったという記事を目にしましたが、この50倍というのは何を基準にしたのがはっきりしません。ここでは当時のチューリップ取引記録から得たチューリップ価格指数を用います。バブルが発生する2年前の1634年末の指数は22です。バブル前に落ち着いていた価格としてこの22を参考にするのは妥当と思われます。
次にチューリップバブルの始まったのがいつかは議論が分かれるでしょうが、1636年6月の指数が38とざっくりと倍程度になっています。このあたりからバブルがスタートしたと考えて良さそうです。7月に51、8月に61、11月末にいったん100の大台に乗せ、12月1日が97、そして12月12日には176とほぼ倍になります。
そして1637年2月3日にピークの202をつけます。202と22を比較しても10倍にもなっていないので、仮に50倍とするなら元の価格4は何処から引いてきたのか、これは確認できませんでしたが、1634年末よりは相当前であろうことだけは想像できます。その後の下げは悲惨なもので、2月5日に178、9日に148、5月には11まで18分の1にまで急落劇を演じています。
さて、本題ですがビットコインの急騰劇が始まったのは、過去のコラムでも書いた今年1月の1000ドル超えではないかと思います。そういう点ではチューリップバブルをはるかに超え20倍近くにまで急騰したことになりますが、これがバブルかどうかとなるとチューリップとは全く時代も商品も異なりますし、そもそも過去の商品には比較するようなものは無いと言ってよいでしょう。
ひとつだけ確かなことがあるとすれば、チューリップバブルは最後の急騰時に2か月で倍になっていますが、ビットコインの上昇スピードはそれをはるかに超える急騰であるということです。ここまでの急騰には間違いなく投機的な資金が入っていることは過去の金融商品の例から考えても明らかです。12月7日のように今後も大きな揺り戻しは何度も見ることになると思います。そうした時に慌てることが無いように、短期間で倍になるような動きの後にはいったん大きな調整が入りやすそうだということだけは気を付けておいた方がよいかもしれません。
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