エルサルバドルはデジタル通貨発行も視野に、国際機関との攻防は9月までか(2021/7/21)

エルサルバドルがビットコインを法定通貨とする法案を可決、同年9月7日に発効する予定であるが、この可決に対して、各国、国際機関から懸念が相次いでいる。

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エルサルバドルはデジタル通貨発行も視野に、国際機関との攻防は9月までか(2021/7/21)

エルサルバドルはデジタル通貨発行も視野に、国際機関との攻防は9月までか

エルサルバドルがビットコインを法定通貨とする法案を可決したのは、2021年6月9日のことで、法案は同年9月7日に発効する予定であるが、この電光石火の可決に対して、各国、国際機関から懸念が相次いでいる。40歳になったばかり(誕生日は1981年7月24日)の若きナジブ・ブゲレ大統領からすると想定線の反応だろうが、大きな波紋を呼んでいる。

国連のラテンアメリカ・カリブ経済委員会の事務局長は、エルサルバドルにおけるビットコインの法定通貨採用は「多くのマクロ経済的、財政的、法的な課題を提起するため、注意深い分析を必要とする」とし、ビットコインの採用におけるリスクや利益についての知見を提供するような既存の研究はないと指摘した。また、この法律が施行されると、各国・地域のマネロン対策を調べる国際組織である金融活動作業部会(FATF)の何らかの介入を受ける可能性が高いとも発言している。FATFといえば、8月に、2019年秋に実施した日本の審査結果を公表する予定で、前回08年の国際審査では本人確認などの項目で日本が厳しい評価となった経緯がある。今回の対日審査でも複数の不備が指摘されており、実質的な不合格を意味する「重点フォローアップ国」と評価される可能性が高いとされている。

暗号資産交換所最大手のバイナンスが、英国や日本から注意勧告を受けている背景も、本店の所在が不明といったAML(アンチ・マネーローンダリング)の観点であることを考慮すると、ビットコインの法定通貨化というアグレッシブな選択をしたエルサルバドルをFATFがターゲットとする可能性は極めて高い。

一部報道では、ブケレ大統領の兄弟であるイブラヒム・ブケレ氏とユセフ・ブケレ氏は、大統領の代理として行った投資家向けプレゼンテーションにおいて、ステーブルコインの仕組みが利用されるデジタル通貨『コロン・ドル』を2021年末までに発表する予定があると発表したようだ。ビットコイン法定通貨化との両軸で進めるつもりなのだろう。中南米でのデジタル通貨となれば、2018年に誕生したベネズエラの『ペトロ』が思い出される。ペトロは反米の元、スタートしたが、2021年になっても流通は広がらず鳴かず飛ばずといったところだ。

エルサルバドルは法案が発効される9月までが、様々な国際機関との勝負の期日と見ているはずだ。これだけの包囲網が敷かれたなか、デジタル通貨という奇策も用意しているとなれば、ブゲレ大統領の本気度合いは半端なものではない。国民がビットコインを法定通貨としてさほど支持していないという状況下、若き大統領がどのような方向性にエルサルバドルを導くのか目が離せない。

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