ブロックチェーン最前線2

仮想通貨で海外送金すれば、送金手数料は各段に安くなるし、何といっても着金までにかかる時間を短期化できる。

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ブロックチェーン最前線2

次世代金融の進化は新興国から始まる?

ブロックチェーン技術は、世の中のあらゆる部分に応用され、徐々に社会のインフラとして広まっていく・・・・・・。前回は、このような話をしたが、社会インフラという観点からブロックチェーンを見た場合、やはり「金融」に触れないわけにはいかないだろう。

金融は営利企業だが、同時にインフラ的な要素を多分に持ち合わせている。金融機関は経済の血流であり、金融機関があるから、世の中の隅々までお金が行き渡る。日本はかれこれ20年ほど前に経験したが、金融不安が起こると、この血流に異常をきたし、経済活動は停滞を余儀なくされる。
だから金融機関、とりわけ銀行については、参入障壁が非常に高く、同時にたやすく破綻させないために、政府による指導も厳格に行われている。

【銀行が手放さない「固有業務」決済と為替】

では、銀行が銀行たるゆえんはどこにあるのだろうか。
投資信託や保険商品の販売は、銀行の本業ではないし、これはすでに証券会社や保険会社が扱っていたものを、金融自由化の流れの中で、銀行にも販売が認められたものである。銀行法という法律でも、投資信託の販売は銀行の固有業務ではなく、付随業務として位置づけられている。

固有業務は預金業務、貸出業務、為替業務だが、「貸出=借手の資金調達手段」として考えれば、銀行貸出以外の方法はいくらでもある。株式のIPO、私募債発行といった旧来からの資金調達手法に加えて、最近ではクラウドファイナンスが注目を集めているし、いささか問題ありだが、ICOも資金調達手段になりつつある。そう考えると、銀行が銀行たりえる業務は何なのかと考えてしまうが、さまざまな機能のアンバンドリングが進むなか、恐らく銀行が最後の最後まで手放さない機能は、決済と為替だと思う。

実際、決済や為替に関連した手数料を、私たちはどのくらい負担しているのかを考えてみれば良い。銀行によって多少の差はあるが、本支店の窓口で他行宛ての送金を行うと、送金額3万円以上で864円取られる。海外送金になると、さらに金額は跳ね上がる。海外の他行向け送金にかかる手数料は、何と5500円だ。これでは、たとえば1万円から数万円程度の少額資金だと、海外送金に際してコスト負担が重すぎてしまう。

ブロックチェーン技術を用いた仮想通貨は、まさにこの分野に楔を打ち込むものとして期待された。確かに、仮想通貨で海外送金すれば、送金手数料は各段に安くなるし、何といっても着金までにかかる時間を短期化できる。便利なこと、この上ない。

しかし、この分野における仮想通貨の利便性が今後、急速に改善される可能性は低いと見ている。確かに現状、仮想通貨取引所を通じて、商品・サービス購入における決済、海外送金などが出来る仕組みは取られているが、同時に仮想通貨取引所の参入要件が厳格化されており、今後、新規参入の壁は一段と高まるものと考えられる。古くはマウントゴックス、直近ではコインチェックのように、仮想通貨が何者かによって引き出される事件が起こっており、利用者保護の観点からすれば、規制強化は自然の流れだが、それは新規参入のハードルを引き上げるだけでなく、この分野におけるイノベーションを停滞させてしまう恐れがある。

いささか勘ぐった見方をすれば、銀行にとって収益の柱である業務を、銀行以外の何者かにみすみす渡すわけにはいかないという、銀行業界の意向を汲んだ規制強化の流れではないかとさえ思えてくる。特に日本や欧米先進諸国のように、銀行機能が社会インフラとして緻密にワークしている国々においては、この銀行による壁を打ち破るのは、容易なことではない。

【金融未開の地域では法定通貨代替の可能性】

では、仮想通貨は今後、法定通貨を代替する機能を持たないまま、縮小の一途をたどっていくのだろうか。

ここで興味深いのが、新興国における動きだ。
私は今年5月、あるプロジェクトのため、東アフリカのルワンダ共和国に行った。実は、ルワンダはICT立国で、「Mobile Money(モバイルマネー)」というモバイルウォレットサービスが普及している。簡単に言えば、携帯電話のSMS機能を利用することによって、銀行口座を持たずとも、送金、預金、引き出し、支払いが出来るモバイルバンキングサービスだ。もともとケニア発のサービス「M-PESA(エムペサ)」で、ルワンダでも普及しているのだが、なぜこのサービスが誕生したのかというと、銀行口座を開くことが出来ない低所得者層でも、銀行機能を利用したいニーズがあったからだ。

このスキームでは、いわゆるキャッシュのやりとりは一切発生しない。バーチャルマネーが、正統な銀行口座を経由することなく、人々の間でやりとりされている。日本ではなかなか普及しないお金の流れが、新興国であるルワンダ、およびケニアでは実現しているのだ。これは、ケニアやルワンダにおいて、銀行を中心とする金融機能が、発達していないからだと考えられる。デリバティブをはじめとする最先端の金融技術は、これまで先進国を中心に開発・普及してきたが、決済や為替といった、オーソドックスな金融取引の進化において、金融機能が脆弱な新興国での動向は、無視できない流れになりそうだ。

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