国内暗号資産市場のさらなる成長にはAML・CFT対応がマスト

ビットコインは5万ドルにタッチした後、多少上値は重くなっているが、500万円台でしっかりとした推移が見られる。

国内暗号資産市場のさらなる成長にはAML・CFT対応がマスト

国内暗号資産市場のさらなる成長にはAML・CFT対応がマスト

ビットコインは5万ドルにタッチした後、多少上値は重くなっているが、500万円台でしっかりとした推移が見られるほか、イーサリアムも5月以来となる40万円台到達に向けた動きが見られるなど主要通貨は安泰といった相場状況である。多少ボラティリティがあった方が参加者増加で出来高も増えるのだろうが、価格が安定していることで落ち着いて相場を見ることもできる。

そのようななか、金融活動作業部会(FATF)は、8月30日、暗号資産領域を含めた第4次対日相互審査報告書を公表した。既に、不正送金件数が高止まりする日本は金融機関の内部管理態勢などの不備が指摘されると伝わっていたことから、ある程度想定線の内容だったが、日本に対する総合的な評価は実質的な不合格となった。

FATFは、マネー・ロンダリング対策(AML)やテロ資金供与対策(CFT)について、暗号資産を含めた高いリスクの分野に対応しようとしていることは評価しているが、日本の政策と戦略は、AML・CFTの活動に特化したものではないなどと説明しており、まだまだ改善の余地があると指摘している。

今回の第4次対日相互審査の結果は、2019年秋に実施した内容が対象となっている。2008年の第3次対日相互審査は、金融機関全体のAML・CFTにおいて49項目中25項目で要改善という厳しい評価となったが、今回、日本は、「重点フォローアップ国」に区分けされた。同区分に該当する国は、日本のほか米国や中国など計19カ国で、事実上の合格となる「通常フォローアップ国」は英国、ロシアなど8カ国に留まった。

今回、「継続的顧客管理」がポイントとされている。具体的には、国内金融機関の多くは、口座開設時、本人確認書類の提出を求めているほか、目的などのヒアリングも行っているが、開設後、取引に不審な点はないかなどの継続的なチェックが不十分とされた。日本は評価が最も低い「観察対象国(アイスランド、トルコ)」は回避できたが、今後5年間で改善状況をFATFに3回報告する必要があり、改善が進まなければFATFから名指しで対応の遅れを批判される。実際、日本は前回、改善の進捗が遅いと名指しで批判された経緯があることから、金融庁及び日銀の担当者は戦々恐々といったところだろう。

なお、今回、国内暗号資産交換業者に対する主だった指摘は無かったようだ。ただ、日本に対する「重点フォローアップ」という厳しい評価を見る限り、業界としてAML・CFTに関する国内水準を一段も二段も引き上げる必要はある。個人投資家など一般的な投資家はAML・CFTに対する前向きな取り組みはさほど関心はない。個人投資家は自身のリスクの範囲内で売買を行えば問題なく、正直ボラティリティが大きい方が投資を楽しめるからだ。一方、国内外の機関投資家は、預かった資金を投資する際、その投資対象が健全な市場を形成しているかどうかが重要となる。犯罪の可能性が少しでもある市場に投資することを出資者に対して論理的に説明することはできない。様々な投資家を集め国内暗号資産市場をさらに発展させるためには、AML・CFTへの前向きな対応が必須と考える。

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