MTGOX 管財人が保有ビットコインを一部売却(18/3/7)

本日午後東京地裁において第10回の株式会社MTGOX(マウントゴックス)債権者集会が開催されました。

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MTGOX 管財人が保有ビットコインを一部売却(18/3/7)

民事再生手続き移行の申し立てに対する裁判所の判断は示されず

本日午後東京地裁において第10回の株式会社MTGOX(マウントゴックス)債権者集会が開催されました。

前回9月の債権者集会の後、一部の債権者から破産手続きを中止し民事再生手続き開始の申し立てがなさました。(これは、今回の破産手続きにおけるビットコインの債権が、破産手続き開始時の1ビットコイン約5万円程度で固定されていて、その後見つかった残存ビットコインの価格上昇分のほとんどがこのままでは債権者ではなく、株主の元社長に渡ることになるためです。民事再生手続きへの移行により、ビットコインを保有していた債権者は破綻時の保有ビットコインの現在価値に応じた配当を受けられる道が開ける事になります。)

申し立てを受けて昨年中に裁判所により、申し立て事由棄却の有無を調査するための調査委員が選任され、委員からは2月末に条件付きながら「棄却事由がない」(すなわち民事再生手続き移行が可能)との調査結果が出ています。そういう事情から今回はいつになく注目度が高く、参加者も多い債権者集会となりました。

今回、民事再生手続き再開の可否について、裁判所側からの説明はありませんでしたが、管財人もこのまま破産手続きを進めた場合に生ずる問題意識を理解していて特段民事再生手続き移行に反対しているわけではないとの立場を表明、参加した債権者からは民事再生手続き移行を希望する意見も表明されており、今後の裁判所の判断が待たれるところです。

管財人は12-2月の期間に約2割の保有ビットコインを平均価格約106.7万円で売却

また、冒頭配布された資料には、前回債権者集会後、破産管財人が同社に残されたビットコインの約17.7%に相当する35,841.00701BTCと34,008.00701BCC(ビットコインキャッシュ)を売却し429億8,804万4,343円の現金に交換していたことが記載されていて、参加者を驚かせました。

管財人によれば、裁判所とも相談の上、配当金確保のため保有する仮想通貨の一部を昨年12月から今年2月にかけての期間に取引所を通じ売却したとのことです。
詳細な時期および手法は明らかにされませんでしたが、12月から2月といえばビットコインが史上最高値の231万円台をつけてから、64万円台まで暴落した時期を含んでおり、ビットコイン約106.7万円、ビットコインキャッシュ約14.0万円の平均売却価格になぜこのタイミングで売るのか、数的にも売りすぎではないかとのため息とも悲鳴ともつかない債権者の意見も出ていました。

ビットコイン売却は民事再生手続き移行への準備か?

ただ、管財人側にしてみれば、価格の乱高下する仮想通貨を簿外の破産資産として保有している以上、最低限確定している金銭債務額相当の現金を確保するのはある意味自然な行動とも考えられ、そのため、売却代金をあわせた現時点での残金約441億円が現時点で認められている破産債権届出額約456億円に近い金額になっているものと思われます。(但し届出額はビットコイン@5万円の債権額を含むもの)

また、上記の調査委員の意見には全債権者(特に金銭債権を有する債権者)が当該破産手続きにおいて既に得ていると見込まれる利益を確保する措置が民事再生手続き移行への前提との条件がついています。
これはビットコインを保有しない債権者あるいは、ビットコインでの配当を望まない債権者が民事再生手続きに移行することにより不利にならないよう、何らかの事前の対応を求めている内容と思われます。

その意味で法律的な可否はわかりませんが、条件クリアのためには、例えばこれら債権者への弁済を優先的に実施する、あるいは最低限金銭債権分の引き当て原資を確保する等が必要になることも想定され、今回の仮想通貨売却による現金の確保は、売却数の多寡の問題はありますが民事再生手続き移行の前提として必要な手続きであったとも考えられます。

次回債権者集会は半年後の9月ですが、それ以前には裁判所も何らかの判断を示すのではないかと思われ、今後の成り行きが注目されます。

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