FATF対応で規制強化の暗号資産、利用者フレンドリーではない残念な日本(21/11/24)

11月中旬、財務省から「FATF第4次対⽇審査結果と外為法における対応」というリリースがあった。暗号資産について外為法の資本取引規制の対象に加える方針を示した。

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FATF対応で規制強化の暗号資産、利用者フレンドリーではない残念な日本(21/11/24)

FATF対応で規制強化の暗号資産、利用者フレンドリーではない残念な日本

財務省がFATF第四次対日審査の一部対応を発表

11月中旬、財務省から「FATF第4次対⽇審査結果と外為法における対応」というリリースがあった。内容を簡単に整理すると、財務省が、暗号資産について外為法の資本取引規制の対象に加える方針を示した。早い話が、マネーローンダリング・テロ資金供与対策の国際基準(FATF勧告)を策定し、その履行状況について相互審査を行う多国間の枠組みであるFATFによる第四次対日審査にて指摘を受けたマネーローンダリング対策強化のため、暗号資産の規制を強化するといった話だ。

ロシアよりも位置付けが下の日本

FATF第四次対日審査において、日本は「通常フォローアップ国(英国やロシアなど)」の一段下の「重点フォローアップ国(米国、中国など)」と位置付けられており(ロシアが「通常フォローアップ国」であることがいまだ信じられない)、⾦融機関等に対する監督や、マネロン・テロ資⾦供与に係る捜査・訴追等に優先的に取り組むべきとされた。「FATF第4次対⽇審査結果と外為法における対応」を確認すると、下記3つの観点から、外為法を見直すこととなった。

・北朝鮮の核・ミサイル開発の進展やアフガニスタン情勢の悪化等により、テロや⼤量破壊兵器の拡散防⽌は、⽇本のみならず、国際社会において喫緊の課題
・また、ブロックチェーン技術の発展により、匿名性の高い暗号資産を悪⽤した不正な資⾦調達等のリスクが顕在化
・こうした脅威やリスクが⾼まる中、FATFは、国連安保理決議に基づく資産凍結措置の適切な履⾏の確保を勧告。また、FATF第4次対⽇審査では、銀⾏等や暗号資産交換業者がFATF基準に従い、資産凍結措置に係る義務を果たせるよう、⽇本の制裁枠組みにおける義務を明確化すべきと指摘

上段は暗号資産に関係は無いが、二段目、三段目は暗号資産に直結する話だ。こうした整理を受けて、財務省は見直す方向性を3つ挙げている。

1.暗号資産取引を外為法上の資本取引規制の対象に追加
銀⾏等の預⾦取引等と同様に、居住者と⾮居住者との間の暗号資産に関する取引を資本取引規制の対象とし、資産凍結措置を可能とすることを検討。
2.暗号資産交換業者の確認義務
2019年6⽉に改訂されたFATF勧告は、制裁対象者への資⾦その他資産の流れを遅滞なく止めることについて、銀⾏等に加えて暗号資産交換業者に対しても要請。外為法上、銀⾏等が取扱う顧客の送⾦については、制裁対象者に対する送⾦に該当しないことを確認する義務が課されているが、暗号資産交換業者が⾏う顧客の暗号資産の移転については、このような確認義務が課されていないことから、暗号資産交換業者が⾏う顧客の暗号資産の移転について、制裁対象者に対する移転に該当しないことを確認する義務を課すことを検討。

3.資産凍結措置遵守のための態勢整備義務
銀⾏等や暗号資産交換業者等による、資産凍結措置の適切な履⾏を確保するため、制裁潜脱リスクの評価を行うことや、その低減措置を講ずることを含めた遵守基準を定める。また、 当局が、銀⾏等や暗号資産交換業者等による同基準の遵守状況についてモニタリングを⾏うとともに、必要に応じ、指導・助⾔や勧告・命令を行うことができるようにする。

といった改善策である。

2022年は国内交換所が試練の年に

2022年春から、FATFによるトラベルルール(マネーローンダリング及びテロ資金供与対策(AML/CFT)の一環として定義されたFAFTからの事実的な強制力を持つ勧告で、暗号資産の送金時に送金先と受取り側の個人情報を記録するといった厳しいルール)の導入が国内交換業者には求められているし、マネロン対策の立ち入り検査も行われる。資金決済法という法令の枠組みに暗号資産を世界でいち早くいれた日本は、様々な観点から暗号資産を法対応しなくてはならなくなった。つまり法対応がビジネス上再優先で、利用者フレンドリーでは無いのが国内の暗号資産交換所の実情である。規制強化で不透明な取引の排除はウェルカムだが、多くの真っ当な利用者が不便を強いられることは残念である。

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