2022年のポイントは米国の金融政策、年後半に昨年暗号資産全体の時価総額ピーク(3兆ドル)を上回る

2022年の暗号資産市場は様々な重要イベントが控えており、年後半に上昇トレンドが発生すると予想している。

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2022年のポイントは米国の金融政策、年後半に昨年暗号資産全体の時価総額ピーク(3兆ドル)を上回る

2022年のポイントは米国の金融政策、年後半に昨年暗号資産全体の時価総額ピーク(3兆ドル)を上回る

2022年1月、暗号資産市場は主要通貨、アルトコイン、ミームコイン総じてさえない年明けを迎えている。米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利上げ観測など、米国の金融引き締めの影響を受けて様子見姿勢が強まっている。Twitterなどの要人発言や目立ったイベントが存在しないこともあり低空飛行といった状態にある。

そんな年明けではあるが2022年の暗号資産市場は様々な重要イベントが控えており、年後半に上昇トレンドが発生すると予想している。今年想定されるイベントと2022年の大きなシナリオを紹介したい。

米国の金融政策正常化

1月25日から26日まで米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。今年3月から利上げが行われるとの見方が強まっているなか、今年初めてのFOMCでFRBのパウエル議長が会見でどのようなコメントを発するかが注目されよう。1月5日に公表された昨年12月開催のFOMC議事要旨では金融政策の正常化に積極的なタカ派色が感じられた。オミクロン型の新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっているなか、タカ派の姿勢が維持されるかどうかがポイントだ。年明けの暗号資産市場の軟調な展開はこの5日公表の議事要旨でのタカ派色が影響していることから、今年最初のFOMCは伝統的金融市場だけではなく暗号資産市場にとっても注目となる。

今年3回程度の利上げが3月から始まることはすでに伝統的金融市場、暗号資産市場ともに織り込んでおり、先を見ている投資家は米国の利上げから資産圧縮にポイントが移りつつある。まず量的緩和縮小(テーパリング)を早く切り上げ、3月には利上げを開始するといったシナリオが実施されるか注目だ。米国の金融政策正常化のストーリーを確認するまでは、リスクを積極的にとる投資家以外様子見姿勢を強めると考える。

デジタル人民元に関する公式発表は2月あたりか?

2月4日から20日、3月4日から13日までそれぞれ冬季オリンピック、パラリンピックが北京にて開催される。新型コロナの影響は多少出そうだが開催自体は行われる見通しだ。北京オリンピック・パラリンピックのタイミングで中国がデジタル人民元に関する公式発表を行うとの思惑は2021年からあった。実際のところ、中銀デジタル通貨(CBDC)なので暗号資産市場に与える影響は限定的だと考えるが、ブロックチェーン技術という共通項に着目し「暗号資産の将来性を見直す動き」が入る可能性はある。そして中国がデジタル人民元に関する公式発表を行ったあと、欧米各国が進めている議論が加速するか注目したい。なお、現金神話がまだまだ根強い日本は現在行っている実証実験の枠を越えることはないと考える。

エルサルバドルの「ビットコイン・シティ」設立

2021年、ビットコインの法定通貨化という衝撃的な決定を行ったエルサルバドル。2022年もブケレ大統領の一挙手一投足には注目が集まる。年明け早々今年発行する予定のビットコイン債券の実現に向けた法案整備を行っていると伝わった。法案の提出時期は明確ではないが、法定通貨化発表からわずか3か月ほどで法案を施行したスピード感は意識しておきたい。ビットコイン債券発行(10億ドル)は、今年予定している暗号資産推進特区の「ビットコイン・シティ」の設立資金に充当する構想のため、ビットコイン債券発行は「ビットコイン・シティ」設立に向けての大きなポイントだ。この債券発行に失敗すると「ビットコイン・シティ」構想は瓦解する可能性はあるが、良くも悪くも強権を有するブケレ大統領の突破力に期待したいところだ。仮に2月に法案提出となれば昨年のスケジュールに合わせると3か月後の5月頃に法案施行となるだろう。

2021年の顔であるイーロン・マスク氏の影響力は健在か

2021年、テスラ株のみならず暗号資産市場にも大きな影響を与えたテスラCEOのイーロン・マスク氏の指先介入には引き続き注目となる。昨年はミームコイン、つまりネタコインのドージコイン(DOGE)やシバコイン(SHIB)の急騰が目立った。こうしたミームコインは各コインのプロジェクトよりも価格の値動き(ボラティリティ)の大きさが売買のベンチマークとなっている。一攫千金を夢見る投資家(投機家)が多いのは事実でこれこそ暗号資産投資の醍醐味とも言えよう。一方、マスク氏自身は暗号資産のポジションをほぼ持っていない(過去Twitterからの推測)が暗号資産価格への影響力の大きさから「相場操縦」といった指摘が入らないかは懸念事項として挙げておきたい。

ビットコイン現物ETFへの厳しい道のり

ビットコイン先物の上場投資信託(ETF)が2021年米国でも上場したことから、2022年はビットコイン現物のETF上場を期待する声は非常に多い。ただ、「先物が上場できたのだから現物もできるだろう」と考えがちだがここが非常に難しい。ビットコイン現物ETFの申請を米証券取引委員会(SEC)が却下している大きな理由は、


「取引所法及び取引委員会規則が要求する「詐欺や価格操作」を防止し、「投資家と公共の利益を保護しなければならない」という義務を暗号資産交換所は果たしていない」

つまり、米国ではビットコイン先物市場は規制が存在するがビットコイン現物市場は規制されていないのでダメということだ。そもそもビットコイン先物はビットコイン現物が裏付けとなっているのでロジックはおかしいような気はするが、天下のSECがこのロジックで却下していることから、米国の暗号資産交換業者はビットコイン現物取引において価格操作の規制などを明確に設けない限りビットコイン現物ETF誕生は難しいだろう。日本の暗号資産交換業者に対しては自主規制ルールなどで「不公正取引」「相場操縦行為等」「禁止行為」などが規制されているが、米国はSECのゲンスラー委員長が昨年「まず、どの規制当局が暗号資産を監督するのかを法律で決める必要がある」と発言しているレベルだ。この議論の状況を考慮すると今年ビットコイン現物ETF上場を期待するのは無理と考える。とは言いながらも昨年、世界最大の暗号資産投資会社グレイスケールが同社のビットコイン投資信託(GBTC)をビットコイン現物のETFに変更するという届け出をSECに出しているので、可能性は低いながらも「もしかして」と思ってしまう。

国内暗号資産交換業者に対するAML/CFTの規制強化

2022年春からFATF(金融活動作業部会)によるトラベルルール(マネーローンダリング及びテロ資金供与対策(AML/CFT)の一環として定義されたFATFからの勧告で、暗号資産の送金時に送金先と受取り側の個人情報を記録するといった厳しいルール)の導入が国内暗号資産交換業者には求められる。そして2022年夏にかけて、金融庁は金融事業者を対象にAML/CFTに関する集中検査を行う予定だ。銀行、信用金庫、信用組合、スマートフォン決済事業者だけではなく暗号資産交換業者も対象に入っていることから、国内の暗号資産交換業者はAML/CFTの観点での諸々の整備が待った無しの状況だ。一部の犯罪者の動きを止めるために真っ当な利用者の正当な行為にも制限をかけなくてはならないのは残念だが、2022年はAML/CFTに関するニュースが多く聞かれることとなるだろう。

【2022年の大きな予想】

以上が今時点でイメージしている大きな2022年の流れである。上記のなかで最も暗号資産全体に影響があるのは「米国の金融政策正常化」だろう。他の内容もそれなりに影響するだろうが、米国の金融政策の転換はマネーの流れを変えるインパクトがある。「米国の金融政策正常化」のストーリーが明確に見えるであろう3月(FOMCは15日から16日)もしくは5月(5月3日から4日)ぐらいまでは、2021年夏以降に見られた暗号資産全体の時価総額がじりじりと押し上がる強い暗号資産市場の動きは見えず、時価総額の小さいミームコインなどを中心とした局地戦のような地合いを想定する。つまり、マスク氏のような指先介入主体のイメージだ。ただ、米国の金融政策の正常化の道筋が明確になった後はリスク許容度の見直しを行った機関投資家(暗号資産ファンド会社やヘッジファンドなど)が暗号資産市場に資金を入れてくると考える。

暗号資産全体の時価総額は昨年11月に3兆ドルを超えたが、足元は2兆ドルほどで推移している。時価総額3兆ドルの水準で保有暗号資産の利益確定を行った強者がどれだけいるかわからないが、テザー(USDT)の時価総額が昨年11月比で1割ほど(約70億ドル)増加していることから、ニュートラルのポジションにしている投資家はそれなりにいるはずだ。こうした資金が「米国の金融政策正常化」のストーリーが固まりつつあるタイミングで再度、暗号資産市場に流入すると考える。今年の10月から11月にかけて暗号資産全体の時価総額は昨年11月の水準(3兆ドル)を突破すると予想する。

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