取引量大幅減で厳しい暗号資産業者、コインチェックも四半期ベースでは赤字(22/5/10)

ゴールデンウィークを通過したことで、国内上場企業の決算発表が続々と伝わっている。

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取引量大幅減で厳しい暗号資産業者、コインチェックも四半期ベースでは赤字(22/5/10)

取引量大幅減で厳しい暗号資産業者、コインチェックも四半期ベースでは赤字

ゴールデンウィークを通過したことで、国内上場企業の決算発表が続々と伝わっている。暗号資産界隈でも、コインチェックを傘下に持つマネックスグループとGMOコインを傘下に持つGMOフィナンシャルHDが4月末に決算発表済だ。まずはこの2社の業績を紐解いてみたい。

マネックスGは過去最高の営業収益だが・・・

マネックスグループは、4月27日に2022年3月期本決算を発表している。結果は、営業収益は対前年同期比14%増の887億円(過去最高)、税引前利益は同2.3%減の208億円と増収減益の内容だ。決算説明会資料によると、コインチェックの口座数は、グループ入りした2019年3月期が83万口座だったのに対して、現在は162万口座まで増加したほか、営業収益は同21億円から286億円に急成長している。そして、コインチェックグループを新設し、2022年内にナスダックでの上場を目指すとのことだ。マネックスグループの連結税引前利益の7割をコインチェックが占めていることや、口座数も国内トップクラスであることなどを見る限りバラ色のようだが、細かく見ると厳しい現実がはっきりと見えてくる。

トレーディング収益がガタ落ち

同日HP上にアップされたデータ集の「セグメント別業績四半期推移(クリプトアセット事業セグメント)」の2022年3月期の四半期ベースの「トレーディング損益」を見ると、1Qが121億円、2Qが70億円、3Qが44億円、4Qが24億円と急激に細っており、4Qは販売費及び一般管理費に43億円投じたこともあり赤字に転落している。4Qは広告宣伝費を多少抑えた一方、人件費が大幅に増加していることから何かしら特殊要因が影響して販管費が増加したようにもみえるが、根本的には収益の柱であるトレーディング収益の急激な減少が問題である。コインチェックはレバレッジ取引サービスを行っていないことから、ここの収益源は、板取引の手数料と販売所のスプレッド収入と推測する。つまり取引量が大幅に減少していることがトレーディング収益の急激な減少要因と考える。

一般社団法人 日本暗号資産取引業協会(JVCEA)が公表している国内交換所の現物取引高上位暗号資産のリストでは、2022年期1Q(4-6月)のビットコインの取引金額月額平均2兆円に対して、4Q(1-3月)に含まれる1月は9000億円、2月は8400億円と半分以下である。クアンタム、BAT、ステラルーメンに至っては10分の1程度の取引金額に落ち込んでいることも考慮すると、コインチェックだけではなく、ほとんどの国内交換所の収益は低迷していることだろう。

GMOコインの営業収益は対前年同期比81%減

この傾向は、GMOフィナンシャルHDの決算内容でも確認できる。同社は4月28日に2022年12月期1Q決算を発表している。2022年12月期1Qの営業収益及び各利益は、対前年同期比では大幅な減少となっており、暗号資産事業のGMOコインの営業収益は50億円に対して9億円と対前年同期比81.3%のきつい減少だ。決算説明資料では、売買代金が同69.8%減、つまり3分の1まで減っている。国内暗号資産交換業者の収益構造が、売買代金の影響をもろに受けることが確認できた。投資信託などストック収益を確立する前の株式売買手数料の一本足打法だった証券会社とまるで同じだ。

国内暗号資産交換業者はどこも厳しい決算か

なお、LINE BITMAXを持つZホールディングスも4月28日に2022年3月期決算を発表している。ただ、暗号資産事業が含まれる「その他金融」のセグメントに、「LINE Pay」、「LINE証券」、「LINEスコア」、「LINEポケットマネー」、「LINE NFT」と多くの事業が入っており暗号資産の収益を読み取るのは難しい。今後、BITPointを持つリミックスポイント、SBI VCトレードを持つSBIホールディングスの数字も確認したいが、コインチェック、GMOコイン同様、厳しい内容であるのは間違いなさそうだ。

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