今週の暗号資産レンジ
時価総額が大きい3つの暗号資産の週間レンジを示しています。始値は日曜東京午前9時、高値・安値は始値から金曜始値までのレンジのため、それ以降日曜午前9時までのレンジは含まれていません。なお、各レートとも特定業者のレートは示さず対ドルでの気配値となっていることにご留意ください。
Crypto Index=暗号資産インデックスの詳細は、トップページのサイト右側メニューの「暗号資産分析情報」から「暗号資産インデックス」をクリックしてご覧ください。算出の基準日は2017年9月1日です。また「到達確率チャート」も併せてご利用いただけます。
今週の振り返りと来週の見通し
今週もドル建てビットコイン(BTC/USD)について、前回執筆時点以降の値動きを振り返りつつ、今後の見通しについて純粋にテクニカルな観点から分析を加えます。使用チャートは、ドル円とユーロの週報で使っているものと同じものです。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の振り返り(週足)
ビットコインは大きく下げ昨年安値も割り込む動きとなってきましたので今週は週足チャートから見て行きます。
現在の水準は2020年安値と2021年高値との61.8%押しの水準であり、昨年の安値圏とも重なっていて、チャートの形としては非常に悪いものがあります。トピックスでも取り上げますが、売買高が激減していることやステーブルコインがステーブルでないなど、色々なニュースがいったんブームが去ったことを示唆しているのではないか思えますが、テクニカルにも日柄的にも(後述)下降相場が続きやすいことを示しています。
中期的にはフィボナッチリトレースメントの78.6%(61.8%の平方根)押し17755ドルがターゲットということになりそうです。
短期的には日足チャートで拡大して見てみます。
ここからの見通し(日足)
長期上昇チャンネルを下抜け下降チャンネルの動きをも下抜ける大きな下げとなっていますが、年初来安値36665ドル(ピンクの水平線)を下抜けたことで現在はこの年初来安値が大きなレジスタンスとなってきていると言えます。
いっぽうで下値は先ほどの週足で見た17775ドルがサポートとなりますが、まだ距離は遠く、今は上下ともに節目となる大台を参考にした方がよさそうです。来週は25000ドルをサポートに下抜けた年初来安値に近い33000ドルをレジスタンスと、上値の重い一週間を見ておきます。
今週の主なトピックス
今週の暗号資産関連のニュースの中から、筆者が気になった内容をコメントともに「主なトピックス」として毎週2本取り上げていきます。
取り上げた元記事を確認できるように、ピックアップするソースを日経新聞に絞っています。日経新聞の朝刊と電子版の別と日時を併記してありますので、ご自身の目でお読みいただくと良いと思います。
*筆者コメント
今週は株式市場をはじめリスク資産全般に下げていますが、上昇相場に比べて下降相場では急落時を除くと売買高は減少する傾向が見られます。ビットコインでも同様の動きが見られ、3月と比べ4月の売買高は激減しており、主要な取引所で半減、ナスダックの調査では世界の取引高は7割減という数字も出ています。
背景には金融市場全体のリスクオフの動きがありますが、それ以外では変動が大きいビットコインに比べてステーブルコインの取引が増えていることがあるようです。ここでいうステーブルコインはビットコイン資産を裏付けとするものですが、ステーブルコイン自体も問題を抱えていることを考えると、昨年からのブームがいったん下火になってきた可能性を考えた方が良いようにも思えます。
ロシアのへの制裁も当初はビットコインの取引増に動きましたが、ビットコイン口座凍結も加わったことで悪材料となってきました。この記事の最後にある通りですが、流動性の低下は将来性への期待低下につながることは間違いなく、米金利上昇による株式市場低迷が一段落するまでビットコイン市場も低迷しやすいと言えそうです。
*筆者コメント
代表的なステーブルコインにテザーがありますが、テザーも一時裏付けが米ドルではなくビットコインが多いといったことによる調査が入ったこともありましたが、今回急落したテラはアルゴリズムによって米ドルと連動するというものです。
しかしアルゴリズムで連動させる手法がテラの供給量が中心となっていて、テラが1ドルを割り込むと供給量を減らすことで維持するというコンセプトですが、5月に入りテラは急落し11日には1テラ23セントにまで価値が下がり、資金調達に追い込まれた上に依然として価格は1ドルを大きく下回ったままの状態です。
そもそも法定通貨に連動させるのに米ドルは持たず供給量による価格操作など客観的に考えてうまく行くとは思えません。ましては下降相場の中では困難なものになるでしょう。しかも一定の裏付け資産があっても、それが果たして価値を担保するのかどうか、FRBも9日にステーブルコインへの警鐘を鳴らしました。
もうひとつのトピックスで取り上げた売買高の急減も含め、色々なニュースが短期的にはブームの終焉を示しつつあるように思えてなりません。
今週のコラム「水星逆行」
以前、水星逆行中のビットコインは一方向のトレンド相場となりやすいことを書きましたが、今回の水星逆行は5月10日から6月3日です。5月10日から本日までの動きを見ると明らかに下げています。
ディスクレーマー
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