ビットコインの価格分析:『悪材料噴出で大幅下落。対ドルの節目2万ドル割れは時間の問題か』(6/18)

ビットコイン円は11/10に記録した史上最高値779.0万円をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、約1年6ヵ月ぶり安値となる268.2万円まで急落しました

関連通貨:

ビットコインの価格分析:『悪材料噴出で大幅下落。対ドルの節目2万ドル割れは時間の問題か』(6/18)

『悪材料噴出で大幅下落。対ドルの節目2万ドル割れは時間の問題か』

『悪材料噴出で大幅下落。対ドルの節目2万ドル割れは時間の問題か』

今週のビットコイン円相場(BTCJPY)は、週初381.7万円で寄り付いた後、早々に週間高値383.4万円まで上昇しました。しかし、心理的節目400.0万円をバックに伸び悩むと、①上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売りや、②米FRBによるタカ派傾斜観測(先週末金曜日に発表された米5月CPIが約40年5カ月ぶり高水準を記録→米インフレがピークアウトするとの期待感後退→米FOMCで市場コンセンサスとなっていた50bpを上回る75bpの利上げ実施)、③上記②を背景とした米長期金利の急上昇とそれに伴う過剰流動性相場の逆流懸念(米10年債利回りは2011年4月以来となる3.49%へ急上昇。米ダウ平均株価は1年5ヵ月ぶりに30000ドルの大台割れ)、④資産現金化需要のドル買い圧力(6/10に発表された米為替報告書でも日本などの金融緩和継続を批判せず→米政府・当局はインフレ抑制に繋がり得るドル高に容認のスタンス→米ドルと逆相関性の強いビットコインに下押し圧力)、⑤オプション市場のショートガンマ(25000ドル割れに伴うオプション勢のストップSELL)、⑥暗号資産レンディング会社大手セルシウス・ネットワーク社による出金停止報道(暗号市産レンディング市場のアンワインドや信用伸縮に繋がるとの警戒感→先月のテラUSDショックに続き、セルシウスショックが始まるとの警戒感)、

⑦テクニカル的な地合いの弱さ(強い売りシグナルが複数点灯)、⑧ビットコインを大量保有するマイクロストラテジー社の株価暴落(ビットコイン関連損失が10億ドルに接近するとの報道や同社が暗号資産を担保に借り入れていたローンに追加担保が発生するとの警戒感)、⑨世界的な金融引き締め政策(米FRBによる75bp利上げに続いて、英中銀が25bp、スイス中銀も50bpのサプライズ利上げを実施→スタグフレーション懸念が燻る中での金融引き締めは景気への逆風→世界的なリセッション懸念→市場心理悪化)、⑩シンガポールの暗号資産ヘッジファンド大手スリーアローズ・キャピタル社の債務超過疑惑(同社がレンディング企業に証拠金として預けていた4億ドル相当が清算されたとの一部報道)、⑪米暗号資産取引所大手コインベース社のリストラ発表(全従業員の18%を削減)、

⑫暗号資産レンディングを手がける米ブロックファイ社のザック・プリンスCEOによる「従業員の20%を削減する」との方針発表、⑬米暗号資産取引所大手のジェミニ社による「従業員の10%を減らす」との方針発表、⑭ベイリー英中銀総裁による「暗号資産に本質的な価値はない」との悲観的な発言、⑮暗号資産市場全体時価総額の節目1兆ドル割れ(暗号資産マーケット全体に広がる悲観的なムード)、⑯ビットコイン価格暴落に伴う断続的な追加証拠金支払い(マージンコール)の動き、⑰米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー委員長による「最近の暗号資産の動きは投資家保護策の緊急性を浮き彫りにしている」との規制強化を滲ませる発言などが重石となり、週後半にかけて、週間安値268.2万円(2020年12月以来、約1年6ヵ月ぶり安値圏)まで急落しました。週末にかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6/18午前8時30分現在)では、276.5万円前後で推移しております。

本稿では、以下テクニカル分析の観点でビットコイン円相場の先行きを考察いたします。

2. 移動平均線(テクニカル分析)

2.	移動平均線(テクニカル分析)

ビットコイン円相場の急落を受けて、ローソク足はこれまで2週間に亘り絡んでいた21日移動平均線をクリアに下放れしました。SMAベース(単純移動平均線)、EMAベース(指数平滑移動委平均線)共に、強い売りシグナルを示唆する弱気のパーフェクトオーダー(下から順番に短期移動平均線・中期移動平均線・長期移動平均線が並ぶ状態)が継続しており、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。

3. ボリンジャーバンド(テクニカル分析)

3.	ボリンジャーバンド(テクニカル分析)

ビットコイン円相場の急落を受けて、強い下落トレンド入りを示唆する弱気のバンドウォーク(ローソク足がボリンジャーバンド下限に沿って下落し続ける状態)が実現しました。同シグナル点灯中はオシレータ系インジケータに基づく逆張りが機能しづらくなるため、テクニカル的に見て、地合いの更なる悪化が警戒されます(-逆張り勢のストップSELLが更なる下落を促す悪循環)。また、バンド幅急拡大が示唆する通り、ボラティリティ・ブレイクアウトが実現したため、来週もボラタイルな相場展開に注意が必要でしょう(予想を超える値幅に警戒)。

4. 一目均衡表(テクニカル分析)

4.	一目均衡表(テクニカル分析)

ビットコイン円相場の急落を受けて、これまで絡んでいた一目均衡表基準線や転換線をクリアに下放れしました。強い売りシグナルを示唆する三役逆転(①遅行線の26日前のローソク足下抜け、②ローソク足の一目均衡表雲上下限下抜け、③一目均衡表転換線の基準線下抜けが全て揃う状態)も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。

5. RSI(テクニカル分析)

5.	RSI(テクニカル分析)

オシレータ系インジケータのRSIは22%台半ばへ低下するなど、過熱感(売られ過ぎ感)を示唆する30%割れが実現しました。但し、前述の通り、弱気のバンドウォーク発生中(強い下落トレンド発生中)は、オシレータ系インジケータの逆張りシグナルが機能しづらくなる傾向にあるため、値頃感に基づく安易な逆張り=ロングエントリーには注意が必要でしょう(下落トレンドが明確に出ているため、ポジション造成時は戻りを待ちつつショートから入ることを心掛ける必要性あり)。

6. まとめ

6.	まとめ

ビットコイン円相場は11/10に記録した史上最高値779.0万円をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、約1年6ヵ月ぶり安値となる268.2万円まで急落しました(わずか7カ月で約3分の1の水準へ減価)。この間、主要サポートポイントを軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する弱気のパーフェクトオーダー、一目均衡表三役逆転、弱気のバンドウォーク、ダウ理論の下落トレンドの全てが成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。ファンダメンタルズ的に見ても、①世界的な金融引き締めを背景とした過剰流動性相場の逆流懸念(米国のみならず、英国・カナダ・ニュージーランド・オーストラリア・南アフリカ・メキシコ・チリ・ポーランド・マレーシア・ペルー・フィリピン・ハンガリー・韓国・ユーロ圏・スイスなども金融引き締め政策に転換→スタグフレーション懸念が燻る中での金融引き締めは世界経済に逆風→市場心理悪化→リスクアセット下落)や、②暗号資産投資家の逆資産効果(暗号資産マーケットの暴落を背景に投資家の逆資産効果が顕在化→新規投資意欲減退→ポジション手仕舞い)、③世界的な規制強化の思惑(先月のG7財務相・中央銀行総裁会議で「暗号資産市場における最近の混乱を考慮し、G7は金融安定理事会に対し一貫した包括的な規制の迅速な策定と実施を促す」との見解発表。

テラUSDショックやセルシウスショックを背景に暗号資産を取り締まる動きが活発化。今週は米SECのゲーリー・ゲンスラー委員長からも「最近の暗号資産の動きは投資家保護策の緊急性を浮き彫りにしている」との言及あり)、④オプション市場のダウンサイドを織り込む動き(リスクリバーサルがBTCプットオーバーに急拡大)、⑤暗号資産関連事業者の撤退観測(採算性が合わなくなってきた為、マイナーや取引所、ヘッジファンドなどを中心に暗号資産業界から撤退する事業者が今後急増する恐れ)など、ビットコイン円相場のダウンサイドリスクを意識させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ビットコイン円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(目先は心理的節目20000ドル割れを試すシナリオを想定)。尚、オプション市場で取引されている1週間物インプライドボラティリティ96.0%(スポット前提276.5万円)で計算した向こう1週間のビットコイン円想定レンジは239.7万円−313.3万円となっております。

来週の予想レンジ(BTCJPY): 230.0万円−310.0万円

関連記事

ページトップへ戻る