米経済指標で一喜一憂、一段安は無いと信じたいが?
暗号資産市場は、時価総額トップのビットコインが2万ドル割れ後に反発したこともあり、やや持ち直しが見られる。これといったポジティブな情報が伝わっていないことから、短期リバウンドの域を脱していないが、とりあえず保有ポジションを投げる「陰の極」は抜けた可能性がある。もっとも、暗号資産とは負の相関であるドル・インデックスの右肩上がりが一服するか、正の相関であるナスダック総合指数の反発が確認できないうちは楽観視できない。こうした指数が途転となるには、米国のインフレスピードを確認する必要があろう。
7月一段安のシナリオも
6月14日から15日に開催されたFOMCでは、事前の市場コンセンサス通りの0.75%の利上げとなった。直前に発表された5月の消費者物価指数が前年同月比8.6%増と市場予想を上回ったこともあり、「1.0%の利上げもありうる」という声が聞かれたなか、何とか市場コンセンサスでの着地となった。とはいえ、消費者物価指数の発表前は、0.5%の利上げが市場コンセンサスだったことを考慮すると、消費者物価指数は一国の金利を左右する重要な指標といえる。日本時間7月13日の21時30分発表の6月の米消費者物価指数の内容が大きなポイントとなる。
仮に、5月同様、市場予想を大幅に上回る結果となった場合、7月26日、27日に開催される米FOMCでのコンセンサスは現在の0.75%から1.0%に引き上がる可能性はある。そうなった場合、ドル・インデックスは一段高、つまり世界的なドル高となるだろう。日本円は対ドルで140円台突入という地合いも想定しておいた方がいい。となれば、ナスダック総合指数は年初来安値を大幅に更新しており、Web2.0関連のグーグル、アマゾン、アップル、テスラはもちろん、Web3.0関連のコインベース、ロビンフッドなどもきつい下げとなるだろう。
リスク資産のボス的な存在である米株が全面安となれば、暗号資産市場は抵抗のしようがない。暗号資産全体の時価総額は1兆ドルを大幅に下回り、ここ数日、リバウンド狙いで拾いに行った投資家は投げざるを得ない地合いになるだろう。まさに阿鼻叫喚といった状況だが、恐らくはこのシナリオが最悪の展開ではないだろうか。
経済指標によるきつい下げ相場は既に経験済
実際、このような展開になる可能性は低いと思っている。理由として、消費者物価指数の市場予想上振れ→米国金利の大幅引き上げというシナリオを既に経験しているからだ。ほとんどの投資家は想定外の展開に陥った際、パニック的な売買を実行してしまう。6月、きつい下げ相場だったが、投資家の多くは7月の米国による大幅な利上げを頭にインプットしているため、ある程度、ポジション調整など準備はできているはずだ。
明確な方向性は出にくい一ヶ月か
もちろん、2008年のサブプライムショック、2010年のギリシャ危機のように「もうこれ以上、ひどい状況は無いだろう」という市場コンセンサスに往復ビンタを喰らわしたこともある。世界で最も洗練された国の重要経済指標である消費者物価指数、政策金利の発表なだけに2か月連続で市場をカオスに導く結果は出ないだろうと信じたい半面、もしかしたらに期待する強烈な逆張り発想が交錯する。となれば、様々な暗号資産交換所の信用問題に揺れるなか、少なくても後一ヶ月は右往左往する地合いは続くと想定する。
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