暗号資産週報「続落リスクが一段と高まる」(6月第4週)

どこまで戻せるのかが当面の注目材料等となっています。

暗号資産週報「続落リスクが一段と高まる」(6月第4週)

今週の暗号資産レンジ

時価総額が大きい3つの暗号資産の週間レンジを示しています。始値は日曜東京午前9時、高値・安値は始値から金曜始値までのレンジのため、それ以降日曜午前9時までのレンジは含まれていません。なお、各レートとも特定業者のレートは示さず対ドルでの気配値となっていることにご留意ください。

今週の暗号資産レンジ

Crypto Index=暗号資産インデックスの詳細は、トップページのサイト右側メニューの「暗号資産分析情報」から「暗号資産インデックス」をクリックしてご覧ください。算出の基準日は2017年9月1日です。また「到達確率チャート」も併せてご利用いただけます。

今週の暗号資産レンジ
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チャート(上段から上記表の順番)は、到達確率チャートと同じ1時間足・週7日のチャートです。上記レンジに含まれていない前週金曜9時~日曜午前9時の2日間もチャートには表示されています。

今週の振り返りと来週の見通し

今週もドル建てビットコイン(BTC/USD)について、前回執筆時点以降の値動きを振り返りつつ、今後の見通しについて純粋にテクニカルな観点から分析を加えます。使用チャートは、ドル円とユーロの週報で使っているものと同じものです。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の振り返り(週足)

今週の振り返り(週足)

今週も週足から見ますが、先週指摘した1年半かけて形成された高値圏でのリバーサルパターンをネックライン(昨年安値)を下抜け、コロナショック時の安値と史上最高値に対して78.6%(61.8%の平方根)押しの水準が17806ドルも達成しと、いったん下げに対しての達成感も出てきた水準です。ただネックラインとなっている28000ドル水準への戻しは期待できそうもなく、どこまで戻せるのかが当面の注目材料等となっています。日足チャートで拡大して見てみましょう。

ここからの見通し(日足)

ここからの見通し(日足)

ごく短期的には安値を見たように思うものの、ここまでの大きな下げを考えると買いでつかまっている投資家も多く少しでも戻したら売りたいと考える向きはまだまだ多そうです。その場合、5月末の戻り高値32401ドルと今週安値17567ドルとの半値戻し24984ドルが参考になりそうです。
いっぽうでサポートはいったんは今週の安値圏と見てよさそうですから、来週は17500ドルをサポートに、25000ドルをレジスタンスとする流れを考えておきます。

今週の主なトピックス

今週の暗号資産関連のニュースの中から、筆者が気になった内容をコメントともに「主なトピックス」として毎週2本取り上げていきます。

取り上げた元記事を確認できるように、ピックアップするソースを日経新聞に絞っています。日経新聞の朝刊と電子版の別と日時を併記してありますので、ご自身の目でお読みいただくと良いと思います。

今週の主なトピックス

BIS(国際決済銀行)が21日にデジタル通貨に関する報告書を公表しましたが、価格変動が激しい暗号資産は構造的な欠陥があるため通貨システムの基盤には不向きだとしました。暗号資産を仲介する会社への規制が不十分なまま投機が過熱すれば金融システムの安定を損なうとしました。
これは直近のステーブルコインの急落やセルシウスの出金停止といったことを反映しているかはわかりませんが、ビットコインの史上最高値から最近までの急落について、世界的な金融緩和で暗号資産に流入した資金が逆流しているという指摘は、通常の株などのリスク資産にも言えることですが、暗号資産の場合、そもそも価値の根拠を欠いた取引が行われているという点も問題視しています。
いっぽうでCBDCについては期待しており、技術的背景や価値の根拠が明確で誰もが金融サービスを受けられる利便性は肯定していることから、今後各国の規制が一段と強化される中で、今までのようなバブル相場はまた数年待ちということになりそうです。ただ、その頃にはCBDCも一定の普及を見せているでしょうから、今よりも暗号資産に対する投機的な動きは少なくなっている可能性も高そうです。

今週の主なトピックス 2枚目の画像

*筆者コメント
暗号資産市場の急落とともに周辺ビジネスも風雲急を告げ、実際にDeFi(分散型金融)関連のビジネスでは大規模な見直しを迫られる状況に陥るところも出て来ています。
DeFi関連の市場は昨年11月のピーク1100億ドルに迫る規模から直近では400億ドルを割り込むなど6割以上の資金が流出しているようです。多くがヘッジファンドなどによる投機でかなりのレバレッジがかかっていたため、いったん市場が縮小を始めるとスパイラル状に縮小していくという、これまでも多くの市場で見てきたことが繰り返された流れです。
懸念を示しつつも大きくは動けなかった規制当局が今後規制を強化する口実を作ってしまった感もしますが、どのような市場も多くの波を乗り越えて完成形へと進化してきたことを考えると起こるべくして起きたが、後から振り返ると良かったという流れになるような気もしてきます。

今週のコラム「アストロチャート」

今回の下げがアストロチャートではどうなっていたのかを見ておきたいと思います。

今週のコラム「アストロチャート」

各ライン(水色、青、茶色)がサポート・レジスタンスとなりやすい水準ですが、大きなサポート(太い線)は44000ドル水準とかなり上の水準で下抜けていたため、現状では各ラインのうち上値は24000ドル水準に集中しているあたりがレジスタンス、下値は18000ドル水準、そして次は12000ドル水準というあたりがサポートです。

サポート側は18000ドルよりも12000ドル水準に集中が見られるため、長期的に続落が発生する場合、数値的に14400ドル、アストロ的に12000ドルといった水準が気になる水準と言えます。

ディスクレーマー

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