ビットコイン円、上値の重い展開が継続。米FRBによるタカ派傾斜観測が重石
〇ビットコイン円、米CPI発表後の米株軟調地合いを受け米国時間に260.5万円まで下落
〇引けにかけては持ち直し270万円前後で推移
〇ビットコイン円、テクニカル、ファンダメンタルズとも地合いの弱さに変化なし
〇ビットコイン円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:245.0万円ー285.0万円
昨日の概況
13日(水)のビットコイン円相場は上値の重い展開。欧州時間午後にかけて、高値275.3万円まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、①米6月消費者物価指数の伸び率加速(1981年11月以来、約40年7ヵ月ぶり高水準へ上昇)や、②上記①を背景とした米FRBのタカ派傾斜観測(7月FOMCにおける100bp利上げを織り込む動き)、③米長期金利の急上昇(米10年債利回りは一時3.05%へ急上昇→米ドル高→米ドルと逆相関性の強いビットコインに下押し圧力)、④株式市場の冴えない動き(米FRBによるタカ派傾斜観測→過剰流動性相場逆流リスク→市場心理悪化→リスクアセット下落)、⑤米財務省による規制強化の思惑(米財務省は暗号資産のリスクや利点に関する報告書をバイデン米大統領に提出することを目的とした意見を募集。期限は8/8)、⑥米バーモント州金融規制局による「セルシウス・ネットワーク社が大幅な債務超過に陥っており、顧客など債権者に対する義務を履行する資産と流動性を保有していない」との発表などが重石となり、米国時間朝方にかけて、安値260.5万円(7/4以来の安値圏)まで下落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間7/14午前6時00分現在)では、270.2万円前後で推移しております。
本日の見通し
ビットコイン円相場は7/8に記録した直近高値305.1万円をトップに反落に転じると、昨日は一時260.5万円(7/4以来の安値圏)まで下落しました。この間、ローソク足が主要サポートポイントを軒並み下抜けした他、対円の節目300.0万円や対ドルの節目20000ドルも下方ブレイクするなど、テクニカル的に見て、地合いの弱さを印象付けるチャート形状となっております(アップサイドより垂れ下がってくる一目均衡表の分厚い雲や、強い売りシグナルを示唆する弱気のパーフェクトオーダーなどもビットコインの下落材料。目先は一目均衡表三役逆転再点灯→ビットコイン急落の波及経路に要警戒)。
ファンダメンタルズ的に見ても、①米FRBによるタカ派傾斜観測(注目された米CPIが約40年7ヵ月ぶり高水準を記録→7月FOMCでの大幅利上げ観測が再浮上→アトランタ連銀ボスティック総裁は「7月FOMCでの100bp利上げの可能性」を指摘)や、②上記①を背景とした過剰流動性相場の逆流リスク(資産現金化需要のドル買い圧力→ビットコイン下落)、③世界的な規制強化の方向性(テラUSDショックや、セルシウスショック、3ACショックなどを背景に、世界的に暗号資産に関する規制強化が進む恐れ。特にこれまでクリプト業界に寛容なスタンスを見せていたシンガポールなどの国々のスタンス変化に要警戒。米財務省も暗号資産のリスク・利点に関する意見を8/8までに募ると発表)、④クリプト関連ビジネスの縮小リスク(採算性低下でマイニングファームやヘッジファンド、暗号資産交換業者などがビジネスを縮小させる恐れ。状況次第では連鎖倒産に繋がるリスクあり)など、ビットコイン円相場の更なる下落を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ビットコイン円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(テクニカル的な地合いの弱さに加え、①米FRBによるタカ派傾斜リスク、②資産現金化需要のドル買いリスク、③規制強化リスク、④ビジネス縮小リスクの4つが下落要因。目先は7/3安値254.3万円や、6/30安値253.2万円を試す動きを想定。同水準を下抜けできれば、6/18安値237.9万円が射程圏内に)。
本日の予想レンジ:245.0万円ー285.0万円
注:ポイント要約は編集部
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