ビットコイン円、重要イベントを控えて持ち直す展開。但しリスクは依然ダウンサイドか
○ビットコイン円、米FRBによるタカ派傾斜観測等で前日海外時間に260.5万円まで下落
○その後、重要イベントを控えたポジション調整等を支援材料に米国時間午後289.6万円まで反発
○ビットコイン円、テクニカル的に見て上値余地は乏しいと判断
○ファンダメンタルズも、ビットコイン円相場の更なる下落を連想させる材料が揃う
○ビットコイン円相場反落をメインシナリオとして予想、本日の予想レンジ:250.0万円ー300.0万円
○米経済指標の結果や、G20で暗号資産規制議論がある場合等のダウンサイドリスクに注意
昨日の概況
14日(木)のビットコイン円相場は安値圏から持ち直す動き。①米FRBによるタカ派傾斜観測(前日発表された米6月消費者物価指数が約40年7ヵ月ぶり高水準を記録→7月FOMCでの100bp利上げを織り込む動き→米長期金利急上昇→米ドル買い→米ドルと逆相関性の強いビットコインに下押し圧力)や、②株式市場の冴えない動き(米FRBによるタカ派傾斜観測→米景気への下押し圧力→米2年債と米10年債の逆イールド深化→市場心理悪化→ビットコイン下落)、③米政府・当局による暗号資産規制強化への警戒感(米財務省によるパブリックコメント募集など)が重石となり、前日海外時間には、一時260.5万円まで下げ幅を拡大させる場面が見られました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、④週末の重要イベントを控えたポジション調整(本日予定されている米6月小売売上高や、米7月ニューヨーク連銀製造業景況指数、米7月ミシガン大学消費者信頼感指数、G20財務相・中央銀行総裁会議など)や、⑤悪材料出尽くしに伴う買い戻し(米セルシウス・ネットワーク社が懸念されていた通り米連邦破産法11条の適用申請を発表→悪材料出尽くし)、⑥対ドルの節目20000ドル突破に伴うショートカバーが支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値289.6万円まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間7/15午前6時30分現在)では、285.8万円前後で推移しております。
本日の見通し
ビットコイン円相場は前日(7/13)海外時間に記録した安値260.5万円をボトムに反発に転じると、昨日(7/14)は一時289.6万円まで持ち直す動きとなりました。但し、上方より一目均衡表の分厚い雲が垂れ下がってきていることや、強い売りシグナルを示唆する弱気のパーフェクトオーダーが成立していること、心理的節目300.0万円upperにロング勢のやれやれ売りが待ち構えていること等を踏まえると、テクニカル的に見て、上値余地は乏しい(ここからの更なる上昇は容易では無い)と判断できます。
ファンダメンタルズ的に見ても、①米FRBによるタカ派傾斜観測(米CPIや米PPIが急上昇→米7月FOMCでの大幅利上げ観測が再浮上)や、②上記①を背景とした過剰流動性相場の逆流リスク(資産現金化需要のドル買い圧力→ビットコイン下落)、③世界的な規制強化の方向性(暗号資産に関する規制強化が世界的に一段と加速する恐れ。本日より開幕するG20財務相・中央銀行総裁会議でも議論される可能性あり)、④クリプト関連ビジネスの縮小リスク(暗号資産業界に逆風が吹き荒れる中、マイニングファームやヘッジファンド、暗号資産交換業者などによる事業撤退・事業縮小が相次ぐ恐れ。最悪の場合、スリー・アローズ・キャピタル、Voyager Digital、セルシウス・ネットワークに続く連鎖倒産に波及する可能性あり)、⑤環境問題に端を発したPOW型暗号資産への逆風(ECBは7/13に暗号資産が気候変動目標に与える影響を分析するレポートを発表→POW通貨に対する締め付けが世界的に広がる恐れ)など、ビットコイン円相場の更なる下落を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ビットコイン円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(本日発表される米経済指標を通じて米FRBによる大幅利上げが一段と織り込まれる場合や、本日より開幕するG20財務相・中央銀行総裁会議で暗号資産に関する規制強化が議論される場合などには、ビットコイン円相場が週末にかけて急落に転じる恐れがあるため、ダウンサイドリスクに引き続き細心の注意が必要)。
本日の予想レンジ:250.0万円ー300.0万円
注:ポイント要約は編集部
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