通貨ではなく資産
主要暗号資産価格【日本時間6時】
ビットコイン:20684.9ドル(+5.16%)
イーサリアム:1194.10ドル(+10.94%)
リップル:0.32971ドル(+3.66%)
ビットコインキャッシュ:103.3ドル(+4.13%)
【概況】
昨日の暗号資産取引は、ビットコインが続伸しての推移です。その他のコインも上昇しており、暗号資産市場全体的に底堅い動きが展開されています。イーサリアムは10%を超える上昇となっています。米株は引けにかけて持ち直したものの、ダウは140ドル安水準で、一時600ドルを超える下落となっており、その一方でドルが上昇する流れとなっています。暗号資産市場にとっては逆風となってもおかしくないところですが、20000ドルを割り込む水準での値ごろ感からの買い戻しや米大リーグのニューヨーク・ヤンキースが職員のビットコイン給与受け取り制度を導入といった報道などが好感される状況となっています。ただ、セルシウス・ネットワークがチャプター11を申請するなど先行きに対する警戒感は依然として根強く、予断を許さない局面であることは事実でしょう。
さて、今回の表題である『通貨ではなく資産』という考えは以前から私がここで書いていることではありますが、南アフリカでも中央銀行(SARB)が暗号資産は通貨ではなく金融資産であるという認識のもと、規制を来年にも導入するようです。
これまでSARBは規制監督の必要性はないと考えていましたが、現状では金融資産として定義することで規制の必要性があると変化したようです。現状の暗号資産は日常的なリテール利用が困難であり、さらにボラティリティの高さを考えると通貨としてみなすことはできない、といった認識を示しています。
南アフリカのように暗号資産は通貨ではないといった見方がこれから広がっていくと、エルサルバドルのようにビットコインを法定通貨として利用するといった国にとっては痛手となることが考えられるでしょう。また、法定通貨として採用を考えている国にとっても躊躇する要因となるのではないでしょうか。個人的には通貨ではないとの見方に賛成しているので、こういった考えが広がっていくことに期待していますが、今のところはエルサルバドルの状況を注意深く見守るといったところも多いのではないでしょうか。
経済規模の小さい国であればビットコインなどを法定通貨として導入しても世界的な影響は小さいものと思われますが、ボラティリティの高さを考えると、そういった国で導入することはやはりリスクが大きいと言わざるを得ません。エルサルバドルではビットコインの急落は経済への影響が小さいとゼラヤ財務相は発言していますが、債務不履行に陥る可能性も指摘されており、そうなった場合はビットコイン法が修正される可能性もあるでしょう。もちろん、エルサルバドルの経済的な問題のすべてがビットコインの法定通貨化というわけではありませんが、IMFからの支援を考えると、エルサルバドルは難しい立場に追い込まれることも考えられるでしょう。SARBの認識が拡大した場合、エルサルバドルは金融資産に賭けたことになるわけで、やはり問題視されることになりそうです。
【ビットコイン節目】
ビットコインは日足のボリンジャーバンドの+2σである21960ドル前後と-2σである18870ドル前後の水準で挟まれたレンジを動いており、目先は中心線である20410ドル前後の水準が意識されています。20000ドルも依然として節目として意識されており、狭いレンジでの動きが継続する中で上記4つの価格が中もされる展開となっています。
【ビットコインチャート分析】
ビットコインの日足のボリンジャーバンドを見ると、バンドの-2σを意識しての動きから持ち直す動きとなっており、バンドの中心線を挟んでの動きとなっています。このまま+2σまで上昇するのか、それとも抑えられて再度-2σを目指すのかに注目ですが、いずれにせよ狭いレンジでの動きであり、様子見ムードが強まりそうです。ただ、バンド幅は狭く、市場にはエネルギーが蓄積されています。動き出したら大きなものとなる可能性が高まっているだけに、バンドの+2σもしくは-2σでの動きには注意が必要でしょう。
またストキャスティクスを見ると、%K、%Dが下落基調から一転して持ち直しています。%Dも下値圏に入らずに上昇に転じており、このまま上昇基調を維持することができるかに注目です。目先はしっかりとした動きが意識されていることから、このまま上昇基調を維持し、バンドの+2σまで上昇といった動きとなる可能性が高そうです。
ビットコインの4時間足のボリンジャーバンドを見ると、バンドの中心線を挟んでの動きから上昇基調を強め、+2σまで上昇しての動きとなっています。このままバンドブレイクからバンドウォークとなるかどうかに注目です。バンドの-2σはじり安基調となっており、バンド幅は緩やかに拡大しています。このまま拡大基調を維持するかどうかに中おm句ですが、バンド幅はそれなりに広く、市場にはあまりエネルギーが蓄積されていない状況です。積極的に上値を拡大するより一時的に調整の動きが入る可能性のほうが高いように思われます。
ストキャスティクスで見ると%K、%Dは上昇して高値圏での水です。上値余地はあまりありませんがしっかりとした動きとなっており、このまま高値圏での動きを維持すれば、バンドブレイクからバンドウォークとなって上値拡大といった動きも視野に入るでしょう。%Kが下落して高値圏から転落となれば、一時的には調整の動きが強まるでしょう。
【ビットコイン価格の注目ポイント】
68990ドル:史上最高値
48200ドル:2022年1-6月の高値
30000ドル:心理的な節目
21960ドル:ボリンジャーバンド日足の+2σ水準
20860ドル:昨日の高値
20680ドル:現在値
20410ドル:ボリンジャーバンド日足の中心線
20000ドル:心理的な節目
19660ドル:昨日の安値
18870ドル:ボリンジャーバンド日足の-2σ水準
17630ドル:2022年1-6月の安値
(注)上記の暗号資産の価格に関しましては注釈がない限りInvesting.com社のデータを参照しております。
- 関連通貨:
関連記事
-
暗号資産(仮想通貨)情報
Edited by:照葉 栗太
2023.09.23
ビットコイン分析『日米金融政策イベント通過に伴うアク抜け感から上昇トレンド再開に期待』(9/23朝)
今週は週央にかけて406.2万円(8/29以来、約3週間ぶり高値圏)まで持ち直すなど、ビットコイン円相場に復調の兆しが見えつつあります
-
暗号資産(仮想通貨)情報
Edited by:山中 康司
2023.09.22
暗号資産週報「短期高値を見てやや下押ししやすい流れに」(9月第4週)
株式市場のリスクオフの動きがビットコインにも影響し、上げる前のもみあい水準に押しての週末となりました。
-
-
暗号資産(仮想通貨)情報
Edited by:山中 康司
2022.07.15
暗号資産週報「来週も最近のレンジ内でもみあい継続」(7月第3週)
3月末高値から高値を切り下げているレジスタンスラインと6月安値の水平線とで挟まれたウェッジの中での動きです。
-
暗号資産(仮想通貨)情報
Edited by:照葉 栗太
2022.07.15
ビットコイン円、重要イベントを控えて持ち直す展開。但しリスクは依然ダウンサイドか(7/15朝)
14日(木)のビットコイン円相場は安値圏から持ち直す動き。