今週の暗号資産レンジ
時価総額が大きい3つの暗号資産の週間レンジを示しています。始値は日曜東京午前9時、高値・安値は始値から金曜始値までのレンジのため、それ以降日曜午前9時までのレンジは含まれていません。なお、各レートとも特定業者のレートは示さず対ドルでの気配値となっていることにご留意ください。
Crypto Index=暗号資産インデックスの詳細は、トップページのサイト右側メニューの「暗号資産分析情報」から「暗号資産インデックス」をクリックしてご覧ください。算出の基準日は2017年9月1日です。また「到達確率チャート」も併せてご利用いただけます。
今週の振り返りと来週の見通し
今週もドル建てビットコイン(BTC/USD)について、前回執筆時点以降の値動きを振り返りつつ、今後の見通しについて純粋にテクニカルな観点から分析を加えます。使用チャートは、ドル円とユーロの週報で使っているものと同じものです。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の振り返り(日足)
先週と大きなピクチャーは変わっていません。3月末高値から高値を切り下げているレジスタンスライン(ピンク)と6月安値の水平線(ピンク)とで挟まれたウェッジの中での動きです。その中でより短期のもみあいは若干形を変え、今週の青のラインで示したペナント状のもみあいはやや細長い形状となりました。このペナントも上下の値幅が狭く、どちらかに抜けていく動きは考えられますが、その場合でもピンクのウェッジ型の中での動きは続きそうです。4時間足チャートで拡大して見てみましょう。
ここからの見通し(4時間足)
日足チャートと同色のラインを引いてありますが、ここ数週間の動きからすると青のペナントではやや狭い感じはするもののレジスタンス側は来週にはピンクのウェッジのレジスタンスと重なるため、上側はこの水準を参考にして良さそうです。いっぽうで下側は依然として下げ方向に動きやすい地合いにあることから先々週の安値18643を参考にしたいと思います。
来週はこれら2つの水準を参考に18700ドルをサポートに、21700ドルをレジスタンスとする流れを考えておきます。
今週の主なトピックス
今週の暗号資産関連のニュースの中から、筆者が気になった内容をコメントともに「主なトピックス」として毎週2本取り上げていきます。
取り上げた元記事を確認できるように、ピックアップするソースを日経新聞に絞っています。日経新聞の朝刊と電子版の別と日時を併記してありますので、ご自身の目でお読みいただくと良いと思います。
*筆者コメント
中央銀行関係者は以前から暗号資産に対して批判的でしたが、ブレイナードFRB副議長も昨年高値からの大幅な下げや今年に入ってからの悪材料で急落が続いていることから今こそ規制を確立し、金融システムへの波及を十分に抑止すべきだとしました。
特に米国の利上げペースが加速する思惑が広がる中で株式市場とともに大きな下げを演じたことで脆弱性を露呈したと批判し、影響が大きくなる前に規制の枠組みを作りたいとしています。いっぽうでCBDCであるデジタルドルについては前向きなわけで、今後実際にデジタルドルが登場する際に果たして暗号資産市場が今以上に低迷するリスクも感じさせる発言と言えます。
伝統的なアセットクラスである株式や債券には価値の裏付けがありますし、法定通貨は国家が保証しているのに対して、暗号資産には基本的に何を基準に価格が決まっているのかというと、単に市場参加者のその時点での合意以外に何も説明できるようなものはありません。現時点で当局がそこまで否定的とも思いませんが、将来的には全否定も十分にありうる話だとは思います。
*筆者コメント
連日のように暗号資産関連ビジネスの業者が破綻というニュースばかりで、2週前にはヘッジファンドのスリーアローズ、先週はボイジャー・デジタルが破綻したことを書きましたが、これまでも何度か取り上げたセルシウスも米連邦破産法の適用を申請しました。
手元に残った資産1億6700万ドルで再建計画を立てるとのことですが、同様のビジネスを行うのであれば暗号資産市場が再び右肩上がりの相場にならないと難しいでしょうし、当局から債務超過に陥っている可能性も指摘される中で10万人を超えると言われる債権者を納得させる計画となると相当に困難と思われます。
現時点でも暗号資産相場が低迷していることから、今後も破綻する業者が出てくる可能性は高く、暗号資産市場の好材料が出てくること自体が当面難しい状況としか言えません。
今週のコラム「暗号資産インデックス週足」
暗号資産インデックスの週足チャートもたまに見て長期的な動きを再確認しておきましょう。
週足チャートを見るとイーサリアムのチャートとかなり似通っていて、リップルは他の2つとかなり異なる形をしているのですが、合成するとこうなるようです。為替のドルインデックスなどとは異なり主要3暗号資産の単純合成なのですが、ちょっと確認する時にはイーサリアムチャートだけを見ても方向性の判断は出来るかなと思われます。
インデックスのチャートは緑のラインマーカーで示したヘッド&ショルダー型で水色のネックラインを割り込んで以降は明確に下降トレンドを継続という動きです。最近は安値圏でのもみあいが続いているため、純粋にテクニカルには反転の期待も持てなくは無いのですが、材料的にはまだ時間がかかりそうですね。
ディスクレーマー
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