ビットコインの価格分析:『不整合な動きが継続中。ブルトラップ発生リスクに要警戒』(7/16)

ビットコイン円相場は6月中旬頃に一時237.9万円まで下げ幅を広げるも、その後は250.0−300.0万円をコアレンジに方向感に欠ける上下動が続いております。

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ビットコインの価格分析:『不整合な動きが継続中。ブルトラップ発生リスクに要警戒』(7/16)

1. 直近1週間のBTC相場

1.	直近1週間のBTC相場

今週(7/10−7/16)のビットコイン円相場(BTCJPY)は、週初293.7万円で寄り付いた後、①米FRBによるタカ派傾斜観測(7/8に発表された米6月雇用統計が力強い結果を示したことで、米FRBが躊躇なく連続大幅利上げに踏み切るとの見方が浮上)や、②上記①を背景とした対主要通貨でのドル買い圧力(米ドルと逆相関性の強いビットコインに下押し圧力)、③米テスラのイーロン・マスクCEOによるツイッター社に対する総額440億ドルの買収合意撤回報道、④ブレイナードFRB副議長による規制強化を滲ませる発言、⑤金融安定理事会(FSB)による、「暗号資産のグローバル規制を10月に提案する」とのサプライズ発表、⑥株式市場の冴えない動き(世界的な金融引き締め→世界経済のリセッション入り懸念→株式市場下落→市場心理悪化→リスクアセット下落)、⑦米投資情報会社シトロン・リサーチ社のアンドリュー・レフト氏による「暗号資産は詐欺」との悲観的な発言、⑧シンガポール金融管理局のスタンス変化(シンガポールの暗号資産ヘッジファンド大手スリー・アローズ・キャピタル社の破綻を受けて、これまで暗号資産ビジネスにポジティブだったシンガポール金融管理局が規制強化へ180度方針転換するのではないかとの思惑)、

⑨DEX大手UniswapV3に対するフィッシング攻撃(イーサリアムの大型ハッキング)、⑩米6月消費者物価指数の伸び率加速(1981年11月以来、約40年7ヵ月ぶり高水準へ上昇)、⑪米財務省による規制強化の思惑(米財務省は暗号資産のリスクや利点に関する報告書をバイデン米大統領に提出することを目的としたパブリックコメントを募集)、⑫米バーモント州金融規制局による「セルシウス・ネットワーク社が大幅な債務超過に陥っており、顧客など債権者に対する義務を履行する資産と流動性を保有していない」とのネガティブ発表が重石となり、週央にかけて、週間安値260.5万円(7/4以来の安値圏)まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、⑬週末に予定されているG20財務相・中央銀行総裁会議を控えたポジション調整や、⑭悪材料出尽くしに伴う買い戻し(米セルシウス・ネットワーク社が懸念されていた通り米連邦破産法11条の適用申請を発表→悪材料出尽くし)、⑮対ドルの節目20000ドル回復に伴う短期筋のショートカバーが支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間7/16午前7時00分現在)では、290.3万円前後まで持ち直す動きとなっております。

以下、テクニカル分析の観点でビットコイン円相場の先行きを考察いたします。

2. 移動平均線(テクニカル分析)

2.	移動平均線(テクニカル分析)

ビットコイン円相場の持ち直しを受けて、ローソク足は再び短期移動平均線(21日線)を上抜けしました。但し、SMAベース(単純移動平均線)、EMAベース(指数平滑移動委平均線)共に、強い売りシグナルを示唆する弱気のパーフェクトオーダー(下から順番に短期線・中期線・長期線が並ぶ状態)が継続しており、テクニカル的に見て、トレンド転換は生じていないと判断できます(あくまで下落トレンドの過程で見られる一時的な反発局面と整理。一巡後の反落リスクに要警戒)。

3. ボリンジャーバンド(テクニカル分析)

3.	ボリンジャーバンド(テクニカル分析)

ローソク足はボリンジャーミッドバンドを挟んでの上下動が続いております(方向感を見出しづらい展開)。トレンドの方向性を示唆するボリンジャーミッドバンドの傾きも横ばいに転じるなど、市場参加者の気迷いムードが確認できます。但し、バンド幅が縮小して既に2週間が経過しているため、これまでの傾向に鑑みれば、来週早々にボラティリティ・ブレイクの発生が警戒されます(レンジ相場が崩れ、ボラティリティの上昇と共にトレンドが発生するシナリオ)。

4. 一目均衡表(テクニカル分析)

4.	一目均衡表(テクニカル分析)

ビットコイン円相場の持ち直しを受けて、強い売りシグナルを示唆する三役逆転(①遅行線の26日前のローソク足下抜け、②ローソク足の一目均衡表雲上下限下抜け、③一目均衡表転換線の基準線下抜けが全て揃う状態)が消滅したため、テクニカル的に見て、地合いは幾分改善したと判断できます。但し、上方から垂れ下がってくる一目均衡表の分厚い雲が目先のレジスタンスとして機能する可能性が高く、ここからの更なる上昇は容易では無いと考えられます(徐々に上値が重くなるシナリオを想定)。

5. RSI(テクニカル分析)

5.	RSI(テクニカル分析)

オシレータ系インジケータのRSIはニュートラルゾーン(30%−70%)での推移が続いております。買われ過ぎ感・売られ過ぎ感共に過熱感は見られず、またダイバージェンス(実勢相場のトレンドとRSIのトレンドが逆行する現象)も発生していないため、現在はRSIから相場の方向性に対する示唆を得ることが出来ない状態となっています。

6. まとめ

6.	まとめ

ビットコイン円相場は6月中旬頃に発生した値崩れの過程で一時237.9万円(2020年12月以来、約1年6ヵ月ぶり安値圏)まで下げ幅を広げるも、その後は250.0−300.0万円をコアレンジに方向感に欠ける上下動が続いております。テクニカル的に見ても、強い売りシグナルを示唆する3つのチャートパターンの内、2つが消失するなど(弱気のパーフェクトオーダー、弱気のバンドウォーク、一目均衡表三役逆転の内、後者2つが消失済み)、これまで売り一辺倒だった総悲観ムードからの脱却が期待されます。但し、一目均衡表の分厚い雲が上方から垂れ下がってきているため、ここからの上昇は容易では無いと考えられます(対円の節目300.0万円より上側のゾーンは、レジスタンスポイントが密集している他、売りそびれた塩漬けロング勢のやれやれ売りが大量に待ち構えているため、想像以上に上値が重くなり易い)。

ファンダメンタルズ的に見ても、①米FRBによるタカ派傾斜観測の一段の高まり(米CPIや米PPIが市場予想を大幅に上回ったことで7月FOMCでの100bp利上げ観測が急浮上)や、②上記①を背景とした過剰流動性相場の逆流リスク(資産現金化需要のドル買い圧力→ビットコイン下落)、③世界的な規制強化の方向性(テラUSDショックや3ACショック、ボイジャー・デジタルショックやセルシウスショックなど、暗号資産業界の不安定化を背景に、世界的に規制強化の動きが進むとの思惑。5/20に開催されたG7財務相・中央銀行総裁会議での「暗号資産は他の金融システムと同じ基準を適用すべき」との厳しい声明に追随する形で、米国や欧州、シンガポールや英国などで規制強化を滲ませる見解が相次ぎ発表)、④クリプト関連事業者の撤退リスク(暗号市産業界に吹き荒れる逆風を背景にマイニングファームやクリプトヘッジファンド、暗号資産交換業者などによる事業撤退・事業縮小が相次ぐ恐れ。コインベースなどクリプト関連の有名企業でリストラ発表が相次いでいる他、連鎖倒産に繋がる可能性もあり)、⑤環境問題に端を発したPOW通貨への批判集中懸念(ECBは7/13に暗号資産が気候変動目標に与える影響を分析するレポートを発表→POW通貨に対する締め付けが今後世界的に広がる恐れ)など、ビットコイン円相場の下落を連想させる材料が揃っています。

今週は悪材料噴出にも係わらず、ビットコイン円相場はやや不整合な形で持ち直す動きとなりましたが、「世界的な金融引き締め」「ドル高」「規制強化」「ビジネス縮小」「環境問題」など、あらゆる角度で押し寄せる逆風に鑑みれば、今回の上昇はブルトラップ(騙し上げ)の可能性が高いと判断できます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ビットコイン円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(一巡後の急反落リスクに要警戒)。尚、オプション市場で取引されている1週間物インプライドボラティリティ65.5%(スポット前提290.3万円)で計算した向こう1週間のビットコイン円想定レンジは264.0万円−316.7万円となっております。

来週の予想レンジ(BTCJPY): 250.0万円−320.0万円

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