暗号資産市場に漂っていた暗雲に光が差す、過度な警戒感が徐々に後退(22/7/19)

5月以降、暗号資産価格の下落基調が続いていたが、ようやく暗雲が晴れつつある。

暗号資産市場に漂っていた暗雲に光が差す、過度な警戒感が徐々に後退(22/7/19)

暗号資産市場に漂っていた暗雲に光が差す、過度な警戒感が徐々に後退

暗号資産市場では、ビットコインが300万円台、イーサリアムが20万円台をそれぞれ回復しており、暗号資産全体の時価総額は、6月13日以来となる1兆ドル台を回復した(CoinMarketCap)。5月以降、暗号資産価格の下落基調が続いていたが、ようやく暗雲が晴れつつある。米国の金利引き上げ加速懸念と暗号資産関連企業に対する不透明感がともに後退したことが材料と考える。

米国のインフレはピークを過ぎる

前者の米国の金利引き上げ加速懸念は、6月の米小売売上高(CPI)と米生産者物価(PPI)の発表でインフレピーク感が市場に伝わり沈静化。その後、米連邦準備制度理事会(FRB)のウォーラー理事と、セントルイス連銀のブラード総裁が、7月も75ベーシスポイント(bp)の金利引き上げを支持したことが安心材料につながった。一方、ウォーラーFRB理事は、7月の75bp利上げ維持は、今後の小売売上と住宅市場の需要の状況によって柔軟に考える必要があるとも指摘していることから、CMEのFedWatch(CMEグループが金利先物市場のデータを基に市場の利上げ織り込み度を算出したデータ)での75bp、100bPでの支持率の変化次第では、米国金利引き上げ懸念が再燃する可能性はある。

3ACの債務額は35億ドル

一方、後者の暗号資産関連企業に対する不透明感は、5月以降の暗号資産価格の急落に伴う暗号資産関連企業の財務状況の悪化がベースにあった。具体的には、シンガポールの暗号資産ファンドThree Arrows Capital(3AC)の損失拡大懸念、暗号資産レンディングサービス大手のCelsius、Genesis、Voyager Capitalなどの出金停止発表などが、暗号資産関連企業への信用収縮を引き起こした。こうした懸念は、「どの法人がどのような債権、債務を有しているかわからない」時によく発生する。つまり、具体的な金額がはっきりすると霧は晴れるわけだ。

3ACは米連邦破産法15条(チャプター15、米国外の企業による米国内での破産処理)を申請し、公開された裁判資料において、債務額が35億ドルであることが判明した。最大の債権者は、Genesisで約23億ドル、続いてチャプター11申請済のVoyager Capitalが約7億ドル。チャプター11(米国企業による米国内での破産処理)申請済のCelsiusは、わずか7500万ドルの貸付を行っていただけだが、同社の赤字額は約12億ドルとも伝わっており、これまで見えてこなかった債権・債務の数字が見え始めてきた。数字が見えてきたことで市場の警戒感はピークアウトしたと考える。仮に警戒感が再燃する材料を挙げるとするならば、「大手暗号資産交換所のFTX、バイナンス、コインベースが経営難に陥っている」クラスの話が必要だろう。

更なる急落は強力なネガティブニュースが必要

5月以降の暗号資産市場に漂っている暗雲は薄くなり、うっすらと光が差してき始めたと考える。ニュース次第でまだまだ暗雲が濃くなる可能性はあるが、上記の通り、これまで発生したインパクトを超える必要があるだろう。こうした要因も考慮し、ここ数日の暗号資産はじりじりとした買戻し優勢の地合いを想定しておきたい。

なお、1ドル139円台と円安ドル高が加速したことから、日本円ベースで暗号資産の価格を見ていると世界の暗号資産情勢を正しく読み取れない。やはり暗号資産はドルベースで見るべきだ。

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