ビットコインの価格分析:『米大幅利上げ観測再浮上でビットコインの下落リスク再燃』(8/6)

ビットコイン円相場は、7/20に一時335.4万円まで上値を伸ばしましたが、その後はレンジ内での方向感に欠ける値動きが続いております。

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ビットコインの価格分析:『米大幅利上げ観測再浮上でビットコインの下落リスク再燃』(8/6)

1. 直近1週間のBTC相場

1.	直近1週間のBTC相場

直近1週間(7/30−8/5)のビットコイン円相場(BTCJPY)は317.1万円で寄り付いた後、①先週開催された米FOMCが75bpの利上げに留まったこと(一部で燻っていた100bp利上げが回避されたことに対する安堵感)や、②パウエルFRB議長より利上げペース鈍化を示唆する発言が見られたこと、③上記①②を背景に米長期金利が急低下したこと(米長期金利低下→米ドル安→米ドルと逆相関性の強いビットコインに上昇圧力)、④株式市場の堅調推移(リスク選好ムード)を支援材料に、7/30に、約10日ぶり高値となる328.2万円(7/20以来の高値圏)まで上昇しました。しかし、一目均衡表雲上限328.7万円や、7/20高値335.4万円をバックに伸び悩むと、⑤上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売りや、⑥アルトコインの冴えない動き、⑦ペロシ米下院議長の台湾訪問に端を発した米中対立激化懸念(地政学的リスク)、

⑧世界的に広がるリスク回避ムード(市場心理悪化→リスクアセット下落)、⑨米ノマド社の盗難被害報告(約1.9億万米ドル)が重石となり、8/2にかけて、週間安値296.6万円(7/27以来、約1週間ぶり安値圏)まで下落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、⑩米中対立激化懸念の後退(中国による対抗措置が懸念されたほど過激なものにならなかったことに対する安堵感)や、⑪米経済指標の力強い結果(株式市場の堅調推移→リスク選好ムード)、⑫短期筋のショートカバーが支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間8/6午前7時20分現在)では、313.1万円前後まで持ち直す動きとなっております。

尚、週後半にかけては、米当局者によるタカ派的な発言や、それに伴う米長期金利の急上昇、暗号資産に係る相次ぐセキュリティインシデントや、それに伴う規制強化の思惑など、悪材料も多く見られましたが、ビットコイン円相場の反応は違和感を覚えるほど限定的となりました(夏枯れ相場で市場参加者が少ないことも一因)。

以下、テクニカル分析の観点でビットコイン円相場の先行きを考察いたします。

2. 移動平均線(テクニカル分析)

2.	移動平均線(テクニカル分析)

ビットコイン円相場は、週を通して短期移動平均線(21日線)を挟んでの上下動が続きました。但し、中期移動平均線(90日線)の急ピッチな低下を踏まえると、上値は次第に重くなることが想定されます。また、SMAベース(単純移動平均線)、EMAベース(指数平滑移動委平均線)共に、強い売りシグナルを示唆する弱気のパーフェクトオーダーが継続している他、21日EMAと21日SMAのデッドクロスも実現するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化が警戒されます(6/18をボトムに始まった短期上昇トレンドの終焉を示唆)。

3. ボリンジャーバンド(テクニカル分析)

3.	ボリンジャーバンド(テクニカル分析)

ビットコイン円相場は、トレンドの方向性を示唆する中心線(ボリンジャー・ミッドバンド)を挟んでの上下動が続いております。中心線の傾斜も緩く、また、バンド幅も縮小傾向が続いているため、上下共方向感を見出しづらい地合いとなっています。但し、バンド幅が約2ヵ月ぶり水準へと急縮小している点には留意が必要でしょう。今年に限って言えば、バンド幅急縮小後にボラティリティブレイクアウトが発生し、ビットコイン円相場が急落に転じる傾向が複数確認できます(リスクは依然ダウンサイド)。

4. 一目均衡表(テクニカル分析)

4.	一目均衡表(テクニカル分析)

ビットコイン円相場は、一目均衡表の雲の中(雲上限と雲下限に挟まれている領域内)での上下動が続いております。但し、ここまでの推移をみる限り、一目均衡表雲上限できっちりキャップされる傾向が強いため、上値余地は乏しいと判断できます(先週以降、幾度となく雲上限突破のチャンスがあったにも係わらず、同水準の突破に至らず。上限突破に時間をかけすぎると上値の重さを嫌気した見切り売り誘発に繋がる恐れあり)。

5. RSI(テクニカル分析)

5.	RSI(テクニカル分析)

オシレータ系インジケータのRSI(Relative Strength Index)は中立状態を示唆する30%−70%ゾーンでの横ばい推移が続いています。ローソク足のトレンドとRSIのトレンドが逆行するダイバージェンスも発生しておらず、RSIからトレードのヒントを得ることは現在出来ない状態となっています。但し、日足ベースでの中立状態(無過熱状態)が1ヵ月半(47日間)に亘り続いている点には留意が必要でしょう。今年の中立状態・平均継続期間が43日間であることに鑑みれば、そろそろ均衡状態が破れ、上下どちらにかに大きく動きだす危険性を孕んでいます。

6. まとめ

6.	まとめ

ビットコイン円相場は6/18に記録した安値237.9万円をボトムに反発に転じると、7/20に一時335.4万円まで上値を伸ばしましたが、その後はレンジ内での方向感に欠ける値動きが続いております。6/18安値を起点に始まった短期上昇トレンド(ダウ理論)は、7/30の上値トライ失敗を経て、既に崩壊しているため、ここから先は、「中立→下落」へのトレンド転換が警戒されます。市場参加者は7/20高値335.4万円と7/30高値328.2万円を起点としたダブルトップ完成を狙っているため、目先はネックラインが位置する7/26安値283.5万円を試すシナリオが想定されます。同水準を下方ブレイクできれば、6/18安値237.9万円に向けた二番底形成が視野に入るため、ここから先はダウンサイドリスクに警戒が必要でしょう。

ファンダメンタルズ的に見ても、①今週は米当局者よりタカ派的な発言が相次いだ他(次回9月FOMCでの75bp利上げを70%織り込む展開)や、②上記①を背景とした過剰流動性相場逆流懸念(リスクアセットに下押し圧力→資産現金化需要のドル買い圧力→米ドルと逆相関性の強いビットコインに下押し圧力)、③度重なる暗号資産に関するセキュリティインシデント、④上記③を背景とした世界的な規制強化機運(投資家保護の観点で世界的に規制が強まる恐れ→暗号資産関連業者によるレギュレーションコスト増大→採算性悪化を背景とした暗号資産関連事業者のビジネス撤退懸念)など、ビットコイン円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。「米国による大幅利上げ観測再浮上」「ドル高再開」「規制強化」「ビジネス縮小」など、暗号資産業界を取り巻く逆風が吹き荒れる中、当方では引き続き、ビットコイン円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、オプション市場で取引されている1週間物インプライドボラティリティ66.5%(スポット前提313.1万円)で計算した向こう1週間のビットコイン円想定レンジは284.2万円−341.9万円となっております。

来週の予想レンジ(BTCJPY): 280.0万円−340.0万円

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