暗号資産週報「ビットコインは一段安の動きへ」(8月第4週)

6月安値からの平行上昇チャンネルの中での動きに変調を来してきました。

暗号資産週報「ビットコインは一段安の動きへ」(8月第4週)

今週の暗号資産レンジ

時価総額が大きい3つの暗号資産の週間レンジを示しています。始値は日曜東京午前9時、高値・安値は始値から金曜始値までのレンジのため、それ以降日曜午前9時までのレンジは含まれていません。なお、各レートとも特定業者のレートは示さず対ドルでの気配値となっていることにご留意ください。

今週の暗号資産レンジ

Crypto Index=暗号資産インデックスの詳細は、トップページのサイト右側メニューの「暗号資産分析情報」から「暗号資産インデックス」をクリックしてご覧ください。算出の基準日は2017年9月1日です。また「到達確率チャート」も併せてご利用いただけます。

今週の暗号資産レンジ 2枚目の画像

チャート(上段から上記表の順番)は、到達確率チャートと同じ1時間足・週7日のチャートです。上記レンジに含まれていない前週金曜9時~日曜午前9時の2日間もチャートには表示されています。

今週の振り返りと来週の見通し

今週もドル建てビットコイン(BTC/USD)について、前回執筆時点以降の値動きを振り返りつつ、今後の見通しについて純粋にテクニカルな観点から分析を加えます。使用チャートは、ドル円とユーロの週報で使っているものと同じものです。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の振り返り(日足)

今週の振り返り(日足)

これまで約2か月にわたって続いた6月安値からの平行上昇チャンネルの中での動きに変調を来してきました。先週金曜からビットコインだけでなく株式市場などリスク資産に対しての売りが目立っていますが、背景には本日のジャクソンホールでパウエルFRB議長がタカ派な見解を示すのではないかという思惑があります。
実際にこの2週間ほどは地区連銀総裁の講演でもタカ派な意見が目立ち、9月FOMCの利上げ織り込み度では0.75%の利上げが6割で0.5%利上げを上回っています。おそらくは本日の議長講演以降もリスク資産に対する調整が続きやすいと見られ、現状かろうじてサポートラインの上での取引が今後サポートラインを割り込む展開へと変化していきそうです。4時間足チャートで拡大して見てみましょう。

ここからの見通し(4時間足)

ここからの見通し(4時間足)

日足チャートの平行上昇チャンネル(ピンク)のサポートラインを割り込んだり戻したりの流れが続いていて明確に下抜けたとは言えないものの、材料的にはリスクオフとなりやすい流れの中で、テクニカルにも現在の水準から反発するよりはいったん下抜ける可能性の方が高いように思います。上昇チャンネルの起点である6月安値と8月高値とのフィボナッチ・リトレースメントを赤のターゲットで示してありますが、半値押しは既に下抜け現在は61.8%押しの20475ドル、そして大台20000ドルを視野に入れた動きであると考えています。動き次第では78.6%(61.8%の平方根)押しの19196ドルも考えるべきでしょうが、今夜のジャクソンホール後の株式市場次第というところでしょうか。
今週のレンジがあまりにも狭いことも考慮し、来週は19500ドルをサポートに、22500ドルをレジスタンスとする流れを考えておきます。

今週の主なトピックス

今週の暗号資産関連のニュースの中から、筆者が気になった内容をコメントともに「主なトピックス」として毎週2本取り上げていきます。

取り上げた元記事を確認できるように、ピックアップするソースを日経新聞に絞っています。日経新聞の朝刊と電子版の別と日時を併記してありますので、ご自身の目でお読みいただくと良いと思います。

今週の主なトピックス

*筆者コメント
コロナショック以降の急激な資金投入が終わりインフレ懸念から主要国が引き締めに転換する中で世界の通貨供給量が3月をピークに減少に転じていることをグラフとともに示した記事です。その中でコロナ前(2017~2019年末)とコロナ後(2019~2021年末)のリスク資産の騰落率が気になります。
コロナ前は騰落ミックスしている状況でしたが、コロナ後は軒並み上昇となっていて、特に目立つのがビットコインのコロナ前の-50%とコロナ後の+547%です。先進国株の上昇がコロナ後に37%であることから考えるとバブルと言ってもよいでしょう。
最近は米国を中心に金融引き締めが加速する中で株価はだいぶ健闘していると思いますが、株価が改めて下げる動きが出てくる際には、ビットコインはもっと下げる可能性がありそうです。本日のジャクソンホールから9月21日FOMCまでの約1か月が正念場となってくるでしょう。

今週の主なトピックス 2枚目の画像

*筆者コメント
なんでもかんでもブロックチェーン(分散型台帳)という発想が変化し始めている記事ですが、JCBが持つ決済と認証のインフラに富士通が持つデジタル署名技術を組み合わせることでブロックチェーンを使わずにデジタルデータの安全な流通・販売を可能にするそうです。
今後1年かけて実証実験を行うとのことですが、安全性が確保できたとしても最終的にはコストがどうなのかという点が気になりますが、デジタル署名技術自体は既存の一般的な技術を使うと書かれていますので、コスト的にもメリットがあるようであれば、ブロックチェーンから距離を置く企業や、ブロックチェーンとは異なる別の技術といった動きも出てくる可能性がありそうです。

今週のコラム「ビットコインとS&P500の相関」

先週はビットコインとナスダック100指数との動きを比較しましたが、今週はビットコインとS&P500の値動きを比較した上で相関がどのようになっているのかも見てみましょう。

今週のコラム「ビットコインとS&P500の相関」

オレンジ色のラインがS&P500、青のラインがビットコインです。今週のトピックスでもコロナ後のビットコインの騰勢について書きましたので、地合いが悪い時の戻りは弱くなりがちという点は納得できますが、先週のナスダック同様に上昇局面での戻りは株に遅れ、下げる時の動きは株よりも大きいという傾向が見えます。

サブチャートに示した相関係数も波はありますが、比較的相関が高い期間が多くこうした点からも株式市場が弱くなるとビットコインも一段安という流れが見えてきそうです。

ディスクレーマー

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