Binanceが日本に襲来、日本法人トップは誰?
暗号資産交換業界の暴れん坊のBinanceが、日本再上陸を目指しているようだ。日本の監督官庁である金融庁から過去2回「警告」を受けた暗号資産関連企業が、コンプライアンス強化を経て、世界で最も難しいといわれる日本の暗号資産交換業登録に挑むとのことだ。なかなか豪気な話である。
過去2回、当局警告を受けたBinance
国内では、Binanceと当局による「いたちごっこ」が2018年頃から繰り広げられていた。最初の警告は2018年3月23日、「無登録で仮想通貨交換業を行う者について(Binance)」というタイトルで、「インターネットを通じて、日本居住者を相手方として、仮想通貨交換業を行っていたもの」とある。この警告後、Binanceは、日本語サービスを停止したが、2年後の2020年6月に日本語サービスは復活した。それから1年後の2021年6月末、「無登録で暗号資産交換業を行う者の名称等について」というタイトルで、Binance Holdings Limitedに対して、1回目と同じような文言の警告を行っている。2回目の警告で俊逸だったのは、一回目は香港だった「所在地又は住所」が、「不明」となっていた点だ。所在地が不明な交換業者が、日本で暗号資産交換業を無登録で行っていることに対して、金融庁は怒り心頭だったことだろう。当時、知り合いの自主規制団体関係者が、Binanceのことを「お行儀が悪い業者」と表現していたのを覚えている。
そんなBinanceも、2021年頃から急速に厳しくなった各国の規制強化の流れに抗えず、デリバティブ取引の取りやめなど各国でサービス縮小もしくは停止を進め、規制当局に対して恭順の姿勢をとった。少なくても、この1年は、日本におけるSNSなどの広告動画でBinanceのCMは目にしていない。
現物、デリバティブで世界トップ
Coin Market Capを見ると、現物及びデリバティブの取引所ランキングでトップはBinanceで、メジャーリーガー大谷翔平選手をイメージキャラクターに用いているFTXを抑え込んでいる。ただ、FTXやCoinbase、Krakenは既に日本で暗号資産交換業登録は済んでおり正々堂々とビジネスを行っている。つまり、Binanceの一歩先を走っているわけだ。
日本の暗号資産交換業登録は、世界で唯一法律(資金決済法)に明記していることから、世界で最も登録が難しいと言われている。要件は下記の4つだ。
(1)株式会社または外国暗号資産交換業者であること
(2)財産的基礎を有すること
(3)事業を適正・確実に遂行する体制が整備されていること
(4)法令順守のために必要な体制が整備されていること
(1)に関して、外国暗号資産交換業者であるBinanceは、国内に営業所を設けて、国内に住所がある代表者を置けばいいだけなのでさほどハードルは高くない。(2)の財産的基礎も、資本金が1000万円以上及び純資産額がマイナスでなければ事足りる。
重いのは、(3)と(4)だ。(3)は利用者保護のための措置や分別管理、システムリスク管理などが求められる。(4)はそのままで、法令順守(コンプライアンス)態勢が問われている。(3)(4)ともに、これまで国内暗号資産交換業者の多くが、業務改善命令を受けた項目で、交換業を行う上で最も重要視される項目である。
Binanceが越えなくてはならない壁は非常に高い。もしかしたら、既存の暗号資産交換業者の買収を検討しているのかもしれないが、当局は間違いなく2回の「警告」という事実をベースにBinanceの実態を見るだろう。本気で登録を目指すのであれば、国内暗号資産交換業に精通した人物を日本法人の代表に据えなくてはならない。今のところ、ネット上ではBinance日本法人の情報は出てこないので、誰が日本法人トップにつくのか(既に就任済?)、続報が楽しみである。
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