金融庁がWeb3のデジタル資産でルール作成、行き過ぎた利用者保護は回避したい

金融庁がWeb3で使用されるデジタル資産に関する取引指針を作成すると伝わっている。

金融庁がWeb3のデジタル資産でルール作成、行き過ぎた利用者保護は回避したい

金融庁がWeb3のデジタル資産でルール作成、行き過ぎた利用者保護は回避したい

金融庁がWeb3で使用されるデジタル資産に関する取引指針を作成すると伝わっている。資金決済法の範疇外となっているNFT(非代替性トークン)など、ブロックチェーン技術を用いた技術を基盤とした市場を整備することが目的である。中央集権型ではない分散型の技術をどのように整備するのか非常に興味深い話だ。

Web3は分散型のネットワーク構築

Web3の根本的な考えは、データの所有権は利用者にあり、中央集権ではない分散型のネットワークを構築することにある。利用者は複数のプラットフォーム間をノーストレスでデータを往き来させることができるわけだ。足元では、自作のデザインなどをNFT化して所有者情報を明確にすることで価値を生み出し、売買が行われている。一方で、そのNFTの価格高騰もしくは乱高下によって、翻弄される投資家(投機家)が存在することも事実だ。今回のガイドラインの目的の一つとして、NFTの取引が金融取引なのかどうなのかの線引きを明確化させることもある。

政府はAster Networkを猛反省か

デジタル庁では、河野太郎デジタル大臣がWeb3に関する政府全体の取組の調整を発表しているほか、自民党はWeb3プロジェクトチームがNFTホワイトペーパーの改訂を年内にも行うとのことだ。政府・与党が急ピッチで対応を進める背景として、有能な人材を日本国内に引き留めようとする考えがある。Astar Networkのファウンダーである渡辺創太氏の件が有名だ。渡辺氏は2年前の10月、暗号資産に関する日本の税制を考慮し、シンガポールに渡った。その結果、渡辺氏はWeb3の世界で戦えるレベルまで事業を拡大することに成功した。

国内の暗号資産自主規制団体である日本暗号資産取引業協会(JVCEA)は、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)と共同で、企業が保有する暗号資産にかかる法人税の課税方法を見直す要望書を金融庁に提出した。今のところ、金融庁も課税方法見直しの路線で動いているとの見方だ。この辺は、世界で伍して戦える渡辺氏が日本でビジネスを展開できなくなったことの猛反省の結果だろう。暗号資産取引に関する税制改正(雑所得扱い)には時間がかかりそうだが、こうした法人税の課税方法見直しは、岸田政権がWeb3を成長戦略の柱として掲げていることを考えると今すぐにでも対応すべき内容だ。

Web3の発展と利用者保護という非常に難しいバランス

しかし、今回のガイドラインは副作用もあると考える。NFTに金融取引の考えが用いられることで、一定のガイドラインが整備された際、これまでの自由度は失われるだろう。自主規制団体、管理監督する当局の立場からすると、事業者は目先の利益に走らず利用者保護を徹底してほしい(すべき)という意見だ。ただ利用者からすると、ガイドライン等で自由な取引が制限されることは決してウェルカムではない。行き過ぎた価格形成はバブルを生み、同時に詐欺的な話も多くなるが、利用者が面白味を失ってしまうほどの厳しい利用者保護はイノベーションすら摘み取ってしまう。金融庁は、Web3の発展と利用者保護という非常に難しい線引きを構築しなくてはならない。

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