今週の暗号資産レンジ
時価総額が大きい3つの暗号資産の週間レンジを示しています。始値は日曜東京午前9時、高値・安値は始値から金曜始値までのレンジのため、それ以降日曜午前9時までのレンジは含まれていません。なお、各レートとも特定業者のレートは示さず対ドルでの気配値となっていることにご留意ください。
Crypto Index=暗号資産インデックスの詳細は、トップページのサイト右側メニューの「暗号資産分析情報」から「暗号資産インデックス」をクリックしてご覧ください。算出の基準日は2017年9月1日です。また「到達確率チャート」も併せてご利用いただけます。
今週の振り返りと来週の見通し
今週もドル建てビットコイン(BTC/USD)について、前回執筆時点以降の値動きを振り返りつつ、今後の見通しについて純粋にテクニカルな観点から分析を加えます。使用チャートは、ドル円とユーロの週報で使っているものと同じものです。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の振り返り(日足)
今週のビットコインは、先週末のWSJ記事で12月以降の引き締め速度のペースダウンを来週のFOMCで検討するとの観測を株式市場が好感し上昇する動きとともに、大きく上昇する一週間となりました。テクニカルにも8月高値からのレジスタンスライン(ピンク)を上抜け、18000ドル台で底固めする動きとなっています。
来週のFOMCを前に株式市場で調整の売りが入るようであれば、ビットコインにも調整が入ると見られますが、WSJのフェドウォッチャーの記事は、FRBの代弁者的な意味合いもあり、おそらくは実際に12月は0.5%の利上げへと引き締めペースをスローダウンすると見られます。
そうであれば、引き続き押し目では買いという流れが続きそうです。4時間足チャートで拡大して見てみましょう。
ここからの見通し(4時間足)
4時間足チャートでは9月高値と10月安値のフィボナッチ・リトレースメントを示してありますが、今週の高値が61.8%戻しの20993ドルをほぼ重なっていて、これで終わったと見ることも出来そうですが、FOMCまでまだリスクオンの動きが続きやすいであろうことから、次のターゲットとなる78.6%(61.8%の平方根)戻しの21772ドルをターゲットとしやすいと考えられます。
いっぽうで下値は先々週高値19948ドル、先週高値19698ドルがサポートとなりやすく、特に後者が参考になりそうです。上値目途にはやや距離があることを考えて、来週は19700ドルをサポートに、21500ドルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週の主なトピックス
今週の暗号資産関連のニュースの中から、筆者が気になった内容をコメントともに「主なトピックス」として毎週2本取り上げていきます。記事によっては前回執筆日前のトピックスを取り上げることもあります。
取り上げた元記事を確認できるように、ピックアップするソースを日経新聞に絞っています。日経新聞の朝刊と電子版の別と日時を併記してありますので、ご自身の目でお読みいただくと良いと思います。
*筆者コメント
主要先進国では暗号資産そのものや取り扱う業者の規制が米国を中心に強化されていますが、シンガポールでも26日MAS(シンガポール金融通貨庁)が規制強化案として、クレジットカードでの購入受付、無料トークン付与、顧客の暗号資産の貸出などを禁止しするとともに、顧客のリスク理解度把握、顧客資産の分別管理、苦情処理、システム障害への迅速な対応などを義務付けるとしました。
日本では当たり前のようなことも含まれていますが、これまで海外業者は規制が緩いという印象が強かっただけにシンガポールでも主要国に足並みを揃えてきたことがわかります。そうは言ってもFX業者同様に租税回避地で営業を行ったりする怪しげな業者もあり、規制が強化されれば規制の無い国に行くという動きは暗号資産でも繰り返されるはずです。
個人投資家はそうした怪しげな業者に騙されないためにも、日頃からリテラシーを高め、自身で防御することはこれからも必要です。
*筆者コメント
デジタル金融の実相というサブタイトルでの連載2回目ですが、何回続くのかはわかりませんが、もてはやされているデジタル金融を一歩離れて大学教授が客観的に見てみるといった内容です。
前日の記事ではキャッシュレス化が進んでも現金需要は増大する、暗号資産は投機目的主体といったこと京大教授の意見が示されていました。本日の記事はシンガポール国立大教授の意見ですが、トークン化というのは結局のところ帳簿記帳のしゃれた言い方だとし、現実にある資産の代用品として使われるものとして、トークン化の概要についてわかりやすく説明されています。
さらに問題点として、不正があっても訂正できないこと、取引の匿名性を挙げています。他にも透明性についてもオンチェーンでの取引のみであることなど、実際に起きている問題にも触れています。メリットのみが強調されがちな分野ですが、こうした一歩離れた見方も併せて読んでおくと良いと思う記事です。
今週のコラム「ナスダック100との相関」
米金利低下、株高、ビットコイン高とリスクオンの流れとなっていますので、株価指数の中でももっともビットコインと動きが似ているナスダック100との最近の相関を確認しておきましょう。
モノクロのローソク足がビットコイン、カラーのローソク足がナスダック100です。サブチャートが相関係数となります。10月上旬の一時期は株価が下げている中でビットコインがほとんど動かず相関係数がほぼゼロになっていましたが、振り返ると比較的正の相関が高い流れが続いていることがわかります。
来週はFOMC前後で株式市場も動きが出そうですが、特にリスクオンで動く時にはビットコインの買いが出やすいのではという見方をしています。
ディスクレーマー
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