ビットコイン円、パウエルFRB議長記者会見後に反落。楽観ムード後退に警戒
〇ビットコイン円、FOMC後一旦304.0万円まで上昇後297.4万円まで下落、300万円割れ
〇節目割り込み、最近高まっていた上昇トレンド再開に対する期待感剥落
〇FOMC声明ではこれまでの利上げ金融政策のタイムラグ、情勢変化の影響を考慮するとの文言追加
〇パウエル議長は米経済減速と次回利上げ減速の可能性に言及するも、利上げ停止は時期尚早とも
〇一夜明けた本日のアジア時間・欧米時間のマーケットの動き要注視
〇本日の予想レンジ:285.0万円ー305.0万円
昨日の概況
2日(水)のビットコイン円相場は米FOMCおよびパウエル議長記者会見後に下落。注目された米FOMC声明文にて、「将来の利上げペース決定にあたっては、これまでの金融引き締めの累積的な影響や、金融政策が経済活動やインフレに影響を与えるまでのタイムラグ、経済・金融情勢の変化を考慮する」との文言が新たに付け加えられたことや、パウエルFRB議長による「しばらくの間、制限的な政策スタンスが必要になるだろう」「米経済は昨年から大きく減速している」「利上げ減速の時期は早ければ次回会合となる可能性がある」とのハト派的な発言、これらに伴う米金利の急低下(米ドル売り)が支援材料となり、日本時間3時30分過ぎに、高値304.0万円まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、パウエルFRB議長による「利上げ停止を考えるのは非常に時期尚早」とのタカ派的な発言(同氏は利上げペース鈍化の可能性を滲ませつつも、利上げ停止の可能性を完全否定→より小規模な利上げが来年以降も長期化する恐れあり→米金利上昇・米ドル買いの流れを通じて米主要株価指数が急反落→リスクアセット下落→ビットコイン下落の波及経路)が重石となり、米国時間午後にかけて、心理的節目300.0万円を割り込み、安値297.4万円まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/3午前5時45分現在)では、298.5万円前後で推移しております。
本日の見通し
ビットコイン円相場は、約1カ月半に亘って継続した「260.0万円ー300.0万円」レンジの上方ブレイクに成功すると、10/29に一時310.6万円まで上値を伸ばしましたが、米FOMCおよびパウエル議長記者会見を経て、心理的節目300.0万円を再び割り込み、ここ最近高まっていた上昇トレンド再開に対する期待感が剥落する形となりました。上述の通り、声明文に新たな文言が付け加えられたことで利上げペース鈍化の可能性は示唆されましたが、パウエル氏が利上げ停止の可能性を否定したため、ターミナルレート引き上げ議論が再燃し、結果として、米金利上昇→米ドル買い→リスクオフ再開→株安・ビットコイン安の動きに逆戻りした格好です。
まだまだ見極めが必要となりますが、ここ数日広がっていた「世界的な利上げペース鈍化期待→世界的な長期金利低下→年末に向けたリスクオン再開」といった楽観ムードが完全剥落する恐れもあるため、FOMCから一夜明けた本日のアジア時間・欧米時間のマーケットの動きにより注目が集まりそうです。仮に米金利上昇・米ドル買い→米株安→リスクオフ再開の流れが止まらず、ビットコインの対ドル相場が節目20000ドルを割り込むような状況となれば、ビットコインに対する市場の見通しが再びベアに転じ、悲観的な見方が一気に広がる恐れもあるため、気持ちの切り替えをすぐに出来る準備をしておきたいと考えております。
本日の予想レンジ:285.0万円ー305.0万円
注:ポイント要約は編集部
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