ビットコイン円、上値の重い展開が継続。米金利上昇・米ドル高がBTCの重石に
〇ビットコイン円、自律反発主導で欧州勢参入後に高値301.4万円まで持ち直す
〇その後は米長期金利上昇に300万円前後での推移
〇テクニカルには節目の300万円がロールリバーサルとして機能せず地合いの悪化印象づけるチャート形状
〇ここからはブルからベアへの未練なき見通し転換が重要か
〇本日の予想レンジ:290.0万円ー310.0万円
昨日の概況
3日(木)のビットコイン円相場は上値の重い展開。パウエルFRB議長による「最終的な金利水準は従来の想定よりも高くなった」「利上げ停止を考えるのは非常に時期尚早」との発言や、それに伴う米長期金利急上昇・米ドル高の流れ、上記を背景とした楽観ムードの急速な後退(パウエルFRB議長発言を受けて米利上げペース鈍化に伴うリスクオン再開期待が剥落→株安・リスクオフ再開が意識される中、心理的節目300.0万円をも割り込む展開)が重石となり、アジア時間朝方にかけて、安値296.7万円まで下落しました。その後は自律反発主導で、欧州勢参入後に高値301.4万円まで持ち直すも、米10年債利回りが10/25以来となる4.21%へ急上昇すると、米ドル指数の急上昇(10/21以来となる113.00の大台回復)も相俟って下落に転じ、本稿執筆時点(日本時間11/4午前3時05分現在)では、299.9万円前後での上値の重い展開が続いております。
本日の見通し
ビットコイン円相場は、10/29に記録した約1ヵ月半ぶり高値310.6万円をトップに反落に転じると、昨日は心理的節目300.0万円を下方ブレイクし、一時296.7万円まで下落しました。パウエルFRB議長によるサプライズ的なタカ派発言が、市場で広がっていた楽観ムードに水を差す格好となっております(パウエル氏FRB議長はターミナルレート引き上げの可能性を認めると共に利上げ停止の可能性を否定→米金利上昇・米ドル買いの流れが再開する中、市場では株安・ビットコイン売りの流れが再開)。テクニカル的にも、ロールリバーサルとしてサポートとしての役割が期待されていた300.0万円の支持帯があっけなく崩壊するなど、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります(上方より対ドルの一目均衡表雲上限が垂れ下がってくることも上値の重さを意識させる展開に)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、上述の通り、米FOMCを経て楽観ムードが急速に剥落しつつある他、米長期金利上昇・米ドル高の流れを通じたリスクオフ再開懸念、相次ぐセキュリティインシデントに端を発した世界的な規制強化の思惑(2022年10月に暗号資産不正流出額が過去最多を更新)など、ビットコイン円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。
10月後半以降、楽観ムードを支えてきた「世界的な利上げペース鈍化期待→米長期金利低下→ビットコイン上昇」のストーリーは、パウエル氏の発言を経て、「ターミナルレート上昇懸念→米長期金利再上昇→ビットコイン下落」の波及経路にシフトしつつあるため、ここから先は、ビットコイン円相場に対する気持ちの切り替え(ブルからベアへの未練なき見通し転換)が重要となりそうです(私を含めて多くの市場参加者がFOMC通過後のビットコイン上昇を期待していたため、パウエル氏のサプライズ発言や、それに伴う米金利上昇・米ドル高の流れを目の当たりにしても尚、気持ちの整理が追い付かず、ずるずるとロングポジションをカットできないままアゲインスト方向に相場が進んでいく嫌な展開に陥る恐れあり)。
本日の予想レンジ:290.0万円ー310.0万円
注:ポイント要約は編集部
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