ビットコイン円、FTXショックからやや落ち着きを取り戻すも、リスクは依然ダウンサイド
〇ビットコイン円、230万円台で方向感に欠ける展開
〇米金利低下とリスク選好回復がサポート、FTX社破綻の余波、ポーランドの地政学リスクは重石に
〇弱気のパーフェクトオーダー、一目均衡表三役逆転、ダウ理論の下落トレンドが成立、地合い弱い
〇ファンダメンタルズもこれまでの売り材料に加えFTX社破綻で当局者からの規制強化発言相次ぐ
〇引き続き、ビットコイン円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇本日、ポーランドへのミサイル着弾に絡む続報に要注意
〇本日の予想レンジ:210.0万円ー245.0万円
昨日の概況
15日(火)のビットコイン円相場は狭いレンジ内で方向感に欠ける展開。(1)米10月生産者物価指数および、米10月生産者物価コア指数の市場予想を下回る結果や、(2)上記を背景とした米長期金利の急低下(米10年債利回りは10/6以来、約1ヵ月半ぶり低水準となる3.77%へ急低下→米ドル急落→米ドルと逆相関性の強いビットコインに上昇圧力)、(3)株式市場の堅調推移(リスク選好ムード)が支援材料となり、日本時間早朝2時過ぎに、高値238.2万円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)暗号資産交換業大手FTX社の経営破綻に端を発した先行き不透明感の高まり(暗号資産業界を巻き込む破綻ドミノへの警戒感)や、(5)世界的な規制強化の思惑、(6)ロシアが放ったミサイルがNATO加盟国の一つであるポーランドに着弾し死者が出たとのヘッドライン(対ユーロでのドル買い再開→ビットコイン下落)、(7)リスクオフ再燃に伴う株式市場の冴えない動き(市場心理悪化)が重石となり、日本時間早朝3時過ぎに、安値232.0万円まで反落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、引けにかけて持ち直し、本稿執筆時点(日本時間11/16午前5時20分現在)では、234.2万円前後で推移しております。
本日の見通し
ビットコイン円相場は、前日11/14に約2年ぶり安値221.0万円(2020年12月以来の安値圏)まで下げ幅を広げましたが、昨日は230万円台でのレンジ相場に終始しました(1日の値幅が6.2万円に留まるなどボラティリティがやや抑制)。但し、強い売りシグナルを示唆する弱気のパーフェクトオーダーや一目均衡表三役逆転、ダウ理論の下落トレンドが成立している点を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱い(一巡後に下落リスクが大きい)と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)大手暗号資産取引所FTX社の経営破綻に伴う不確実性(問題収束に長い年月がかかるとのネガティブな見方)や、(2)FTX社とビジネス上の関係性が深かった取引所やヘッジファンド、ベンチャーキャピタル、個人投資家、マイニングファームなどの連鎖倒産・連鎖破産リスク、(3)機関投資家や個人投資家の暗号資産離れ(ビットコイン市場への新規流入フローが長期に亘って先細るリスク→米ブルームバーグ社は11/14に機関投資家が暗号資産と永久に決別する恐れがあるとの記事を掲載→米投資・保険会社大手バークシャー・ハサウェイのチャーリー・マンガー副会長が暗号資産を改めて痛烈に批判)、
(4)世界的な規制強化の思惑(イエレン米財務長官が「暗号資産には非常に慎重な規制が必要」と発言した他、黒田日銀総裁も「暗号資産のリスク・規制対応について作業進める必要」と発言。更にバーFRB副議長も「暗号資産企業が他の金融サービス業者と同様の規制対象となるようセーフガードを含む効果的な監督が必要だ」と相次いで規制強化を滲ませる発言を実施)など、ビットコイン円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ビットコイン円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(尚、本日はロシアによるポーランドへのミサイル着弾に絡む続報に注意が必要。ポーランドはNATO加盟国であるため、世界情勢の不安定化を通じて株式市場が大きく値崩れする場合は、ビットコインにも下押し圧力が加わる可能性あり)。
本日の予想レンジ:210.0万円ー245.0万円
注:ポイント要約は編集部
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