上値の重い展開が継続中。FTXに端を発した総悲観ムードが相場の重石
〇ビットコイン円、FTXショックの余波続き、レンディング大手の連鎖倒産懸念等に228.9万円まで下落
〇直近2日間は市場参加者が戦意喪失状態、流動性の急低下に、安値圏での静かな動き続く
〇テクニカルには主要テクニカルポイントが急ピッチに垂れ下がり、売りシグナルも全て点灯、地合い弱い
〇相次ぐインシデントを背景に機関投資家参入期待は大幅に減退
〇個人も損失を被っているプレイヤーが続出しているためリスク許容度が著しく低下
〇ビットコイン円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:200.0万円ー240.0万円
昨日の概況
16日(水)のビットコイン円相場は上値の重い展開が継続。アジア時間午後に高値238.0万円まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)FTX経営破綻に伴う市場心理の著しい悪化や、(2)暗号資産レンディング大手ブロックファイ社の連鎖倒産懸念、(3)世界的な規制強化の思惑(イエレン米財務長官は「最近の暗号資産交換所の破綻、より効果的な監督の必要性示す」と発言)、(4)DeFiサービスを手掛けるOxygenがトークン供給量の95%を倒産したFTX社に預けていたとの報道、(5)暗号資産レンディング大手ジェネシス社による融資部門における解約と新規のローン組成を一時停止するとの発表、(6)暗号資産取引所ジェミニによる出金一時停止報道などが重石となり、米国時間にかけて、安値228.9万円まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/17午前5時30分現在)では、230.5万円前後で推移しております。
本日の見通し
ビットコイン円相場は、11/5に記録した約2ヵ月ぶり高値314.8万円をトップに反落に転じると、暗号資産取引所大手FTX社の経営破綻に端を発した市場心理の急速な悪化を背景に、11/14に約2年ぶり安値221.0万円(2020年12月以来の安値圏)まで急落しました。但し、直近2日間は市場参加者が戦意喪失状態に陥っていることや、それに伴って流動性が急低下(動意薄)していること等を背景に、安値圏での静かな動きが続いています(先週末から今週初にかけての暴落局面でオプション勢が慌てて短期オプションを買い漁ってガンマ余剰気味に構えていることも足元の膠着相場を作り出している一因)。とは言え、アップサイドから主要テクニカルポイントが急ピッチに垂れ下がってくることや、強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役逆転」「ダウ理論の下落トレンド」の全てが成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱い(小休止後の急落リスクに要警戒)と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)FTX社の経営破綻に端を発した市場への強力で且つ長期的なネガティブインパクト(FTXが米裁判所に提出した書類によると、同社グループの債権者数が100万人を超える可能性があることが判明→影響範囲の大きさはそのまま暗号資産市場に悪影響を及ぼす恐れあり)や、(2)上記を背景とした連鎖倒産への警戒感(米ウォールストリートジャーナル紙は暗号資産レンディング大手の米ブロックファイ社が破産申請に向けた準備を進めていると報道。またハイブ・ブロックチェーン・テクノロジーズ社のフランク・ホームズ氏や、本邦のビットフライヤーホールディングス創業者の加納裕三氏も「多くの関連業者の経営破綻が続く恐れがある」と指摘)、(3)機関投資家や個人投資家の暗号資産離れ(相次ぐインシデントを背景に機関投資家参入期待は大幅に減退。個人投資家も本件で損失を被っているプレイヤーが続出しているためリスク許容度が著しく低下している恐れあり)、
(4)世界的な規制強化の思惑(イエレン米財務長官や黒田日銀総裁、バーFRB副議長などから更なる規制強化を滲ませる発言あり)など、ビットコイン円相場にネガティブに作用し得る材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ビットコイン円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(現在は投資家が戦意喪失状態に陥っているため動意薄の相場環境が続いていますが、第2・第3の連鎖倒産事例が明らかになるに連れてビットコイン円相場にはもう一段強い下押し圧力が加わる恐れあり。直近4年間で見た対円相場のドルコスト平均値が130万円程度、対ドル相場のドルコスト平均値が11500ドル程度となっているため、年末に向けては同水準を試す総悲観シナリオを想定)。
本日の予想レンジ:200.0万円ー240.0万円
注:ポイント要約は編集部
- 関連通貨:
関連記事
-
暗号資産(仮想通貨)情報
Edited by:照葉 栗太
2023.05.27
ビットコインの価格分析:『膠着相場が継続も、来週はレンジ上方ブレイクに要警戒』(5/27朝)
ビットコイン円相場は、約2週間に亘って360.0−380.0万円レンジが続いています
-
暗号資産(仮想通貨)情報
Edited by:山中 康司
2023.05.26
暗号資産週報「地合いは弱く一段安を目指すか」(5月第4週)
5月安値を改めて試す動きとなっていて、ここを下抜けてくると3月安値と4月高値の半値押しとなる25291ドルを視野に入れる展開となって行きそうです。
-
-
-
暗号資産(仮想通貨)情報
Edited by:中島 光牙
2022.11.16
裏切りの暗号資産の神、FTX破綻の代償は凄まじく大きい(22/11/16)
暗号資産が激震に見舞われている。原因は創業3年で数兆円規模の暗号資産交換所FTXを作り上げ、業界関係者から「神様」扱いされていた人物による市場への背信行為だ。