FTXへのハッキング　(22/11/17)

主要暗号資産価格【日本時間6時】

ビットコイン：16590.9ドル（-1.36％）
イーサリアム：1212.69ドル（-3.23％）
リップル：0.37286ドル（-2.46％）
ビットコインキャッシュ：103.9ドル（+0.39％）

【概況】

昨日の暗号資産取引は、ビットコインが下落しての推移となっています。FTXのチャプター11申請を受け、一部の暗号資産企業が資金を引き出せなくなるなどといった事態が発生しており、他の企業にも影響が波及する展開となっています。企業の倒産が連鎖する可能性が指摘される中で警戒感が強まる状況となっています。その他のコインはビットコインキャッシュが小幅に上昇していますが、全体的には上値の重さが意識される状況となっています。米株が軟調地合いとなったことも警戒される状況です。

さて、FTXがチャプター11を申請した1日後に大量の暗号資産が流出したとのニュースが流れています。その額は7億ドル弱で、そのうち5億ドル弱がハッキングされ、その大部分がイーサリアムに交換されたとみられています。それにより攻撃者は35番目に大きなイーサリアム保有者、いわゆるクジラとなったと報じられています。

この件に関しては内部の人間の犯行ではないかといった指摘もあり、今後の調査が待たれるところです。現状においてFTXの債権者は100万人以上いるのではないかとも言われており、仮にこの資金が戻らないなどということになれば、問題が拡大することとなるでしょう。金融当局も早急に対処すべき問題との認識が強まってきており、近いうちに大きな動きがあるかもしれません。

先日、実体経済に与える影響は少ないのではないか、と書きましたが、今のところはその考えに変わりはありません。もちろん、FTXに投資をしていたファンドなどがその他の資産の現金化を急ぐといったことが起こる可能性もないわけではありませんが、それが実体経済にどの程度の影響を与えるかといえば、そこまで大きなものにはならないのではないかとみています。問題としては暗号資産市場がさらなる大幅下落に見舞われた場合は警戒すべきところかと思いますが、現状においては比較的冷静な動きとなっているようにも見えます。オプション市場や先物市場の存在が衝撃を和らげている可能性もあるでしょう。

ただ、暗号資産市場にとっては大きな挫折となったことは事実であり、投資家からの資金流入がさらに減少する契機となる可能性はあるでしょう。今回の下落は長期的に見れば買い場となるかもしれませんが、仮にそうであっても上昇には時間がかかりそうです。

【ビットコイン節目】

ビットコインは日足のボリンジャーバンドの-2σである15100ドル前後の水準からは持ち直しての動きで、中心線である18980ドル前後を目指す動きが展開されています。目先は中心線と-2σで挟まれたレンジを動きそうで、節目として意識されそうです。

ビットコインの4時間足のボリンジャーバンドを見ると、バンドの+2σと-2σで挟まれたレンジでの動きを継続しており、方向感の見えにくい状況となっています。目先は中心線を挟んでの動きであり、様子見ムードが強まっています。バンドの±2σはほぼ横ばいであり、バンド幅も狭い状況です。市場にはエネルギーが蓄積されており、動き出したら大きくなる可能性がありそうで、方向感を見極めながらの対応となりそうです。

ストキャスティクスで見ると%K、%Dがデッドクロスからの下落となっています。ただ、%Kが持ち直し基調となっており、やや方向感の見えにくい状況です。%Kが上昇基調を維持することができるかどうかに注目ですが、%Dの下落基調を見る限り、上値の重さが意識されるのではないかとみています。

【ビットコイン価格の注目ポイント】

68990ドル：史上最高値
48200ドル：2022年1-6月の高値
22860ドル：ボリンジャーバンド日足の+2σ水準
20000ドル：心理的な節目
18980ドル：ボリンジャーバンド日足の中心線
17630ドル：2022年1-6月の安値
16990ドル：昨日の高値

16590ドル：現在値

16410ドル：昨日の安値
15100ドル：ボリンジャーバンド日足の-2σ水準
15000ドル：心理的な節目

(注)上記の暗号資産の価格に関しましては注釈がない限りInvesting.com社のデータを参照しております。