ビットコインの価格分析:『FTXショックをトリガーに中長期下落トレンド入りの恐れも』(11/19)

暗号資産交換業大手FTXトレーディングのサプライズ経営破綻を背景に、11/14に、約2年ぶり安値となる221.0万円まで急落しました。

関連通貨:

ビットコインの価格分析:『FTXショックをトリガーに中長期下落トレンド入りの恐れも』(11/19)

『FTXショックをトリガーに中長期下落トレンド入りの恐れも』

『FTXショックをトリガーに中長期下落トレンド入りの恐れも』

今週のビットコイン円相場は、週初227.7万円で寄り付いた後、(1)暗号資産交換業大手FTXトレーディングの米連邦破産法11条適用申請や、(2)FTX社を巡る数億ドル規模の不正流出疑惑、(3)FTX社とビジネス上の関係性の深かった企業・投資家・ベンチャーキャピタル・ヘッジファンド・取引所などの連鎖倒産懸念、(4)米ブルームバーグ社による「機関投資家が暗号資産と永久に決別する可能性がある」とのネガティブ報道、(5)暗号資産業界への更なる規制強化観測(イエレン米財務長官による「FTX社の破綻は暗号資産の弱さが露呈」「暗号資産に非常に慎重な規制が必要」との発言や、黒田日銀総裁による「暗号資産のリスク・規制対応について作業進める必要がある」との発言)などが重石となり、週明け日本時間午前11時過ぎに、2020年12月以来、約2年ぶり安値となる221.0万円まで急落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(6)世界最大の暗号資産交換業者であるバイナンス社のCEOのCZ氏が「流動性危機に直面している強力なプロジェクトを助けるために業界支援基金を設立する」とツイート発信したことや、(7)短期間で下落したことに伴う反動買い(短期筋のショートカバー)が支援材料となり、同日米国時間には、一時241.8万円まで持ち直す場面も見られました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(8)暗号資産交換業大手FTX社の経営破綻に端を発した市場心理の著しい悪化や、(9)ブロックファイ、ジェネシス、ジェミニアーン等の相次ぐ出金停止報道(倒産ドミノ開始への警戒感)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間11/19午前11時00分現在)では、233.4万円前後で推移しております。

尚、今週は予想外に狭いレンジ内での小動きが続きましたが、その背景には、多くの市場参加者がFTXショックに巻き込まれたことで戦意喪失状態(多額の損失を被ってポジションを取れない状態)に陥っていることが挙げられます。従って、来週も投機マネー主導でマーケットが動く可能性は乏しく、仮に動意が出てくるとすれば、関連事業者の連鎖倒産報道がトリガーになりそうです。

以下、テクニカル分析の観点でビットコイン円相場の先行きを考察いたします。

2. 移動平均線(テクニカル分析)

2.	移動平均線(テクニカル分析)

ビットコイン円相場の急落を受けて、21日移動平均線と90日移動平均線のデッドクロスが実現しました。SMA(単純移動平均線)ベース、EMA(指数平滑移動平均線)ベース共に、強い売りシグナルを示唆する弱気のパーフェクトオーダー(下から順番に21日移動平均線、90日移動平均線、200日移動平均線が並ぶ状態)が成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化(中長期下落トレンドの開始)が警戒されます。

3. ボリンジャーバンド(テクニカル分析)

3.	ボリンジャーバンド(テクニカル分析)

ビットコイン円相場の急落を受けて、ローソク足はボリンジャーミッドバンドを下抜けしました。ミッドバンドの傾きも右肩下がりに転じている為、テクニカル的に見て、地合いは弱い(中長期下落トレンドの開始)と判断できます。また、バンド幅もスクィーズ状態から大きく上放れ(エクスパンション)しており、来週はボラティリティ拡大に伴う急落リスクに注意が必要でしょう。

4. 一目均衡表(テクニカル分析)

4.	一目均衡表(テクニカル分析)

ビットコイン円相場の急落を受けて、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表・三役逆転(ローソク足の一目均衡表雲下限下抜け+一目均衡表転換線と基準線のデッドクロス+遅行線の26日前のローソク足下抜けの組み合わせ)が成立しました。週を通して一目均衡表転換線がレジスタンスとして機能しており、テクニカル的に見て、地合いは弱い(中長期下落トレンドの開始)と判断できます。

5. RSI(テクニカル分析)

5.	RSI(テクニカル分析)

ビットコイン円相場の急落を受けて、オシレータ系インジケータのRSI(Relative Strength Index)は、過熱感(売られ過ぎ感)を示唆する30%付近へ低下しました。但し、ファンダメンタルズ的にもテクニカル的にも、本格的な下落トレンド入りが意識されているため、オシレータ系インジケータのみを信用した安易な逆張り(ロングメイク)には注意が必要でしょう(トレンド発生の初期段階は「逆張り」より「順張り」が有効)。

6. まとめ

6.	まとめ

ビットコイン円相場は11/5に記録した約1カ月半ぶり高値314.8万円をトップに反落に転じると、暗号資産交換業大手FTXトレーディングのサプライズ経営破綻を背景に、11/14に、約2年ぶり安値となる221.0万円(2020年12月17日以来の安値圏)まで急落しました。この間、ローソク足が主要テクニカルポイントを軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役逆転」「ダウ理論の下落トレンド」も成立するなど、テクニカル的に見て、下落トレンドの再開が確認されます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)暗号資産交換業大手FTXトレーディング経営破綻や、(2)上記に伴う連鎖破綻への警戒感(連鎖破綻が起こり得る対象者は主に「エンジェル投資家やベンチャーキャピタルなどFTXグループへの出資者」「暗号資産レンディング業者などFTXグループへの貸付者」「ヘッジファンドや個人投資家など暗号資産の預け入れ者」の3形態。現在は暗号資産レンディング業者のブロックファイやジェネシスの連鎖破綻に要警戒)、

(3)暗号資産ビジネスに関する信用力の失墜(FTXトレーディングの経営破綻後に新CEOに就任したジョン・レイ氏は「今回ほどの企業統治の完全な失敗 “complete failure” は見たことがない」と痛烈にサムバンクフリード氏をはじめとした旧経営陣を批判。市場ではこうした杜撰な経営はFTXトレーディングだけではなく、バイナンスなど本社登記をタックスヘイブンに逃がす企業の実態も同様なのではないかとの疑念が浮上)、(4)上記を背景とした世界的な規制強化の思惑(イエレン米財務長官は11/16に声明文を公表し、「(今回の事件は)暗号資産市場に、より効果的な監視が必要であることを明確に示した」と指摘)、(5)暗号資産関連事業者の撤退加速懸念(規制コストの増大とそれに伴う採算性悪化を見越して関連事業者のビジネス撤退が相次ぐ恐れ)、(6)機関投資家による暗号資産離れの加速懸念(米ブルームバーグ社は11/14に機関投資家が暗号資産と永久に決別する恐れがあるとの記事を掲載)、

(7)個人投資家による暗号資産離れの加速懸念(今回の一件で損失を被った個人投資家による見限りが強まる恐れ)、(8)暗号資産を巡る相次ぐセキュリティインシデント(2022年10月の不正流出額が過去最多を記録)など、ビットコイン円相場の更なる下落を連想させる材料が増えつつあります。今週は予想外に「静かな値動き」が続きましたが、嵐の前の静けさであることは間違いなく、FTXトレーディング破綻の影響(2次被害)の全貌が見えるにつれ、ビットコインには再び強い下押し圧力が加わるものと推察されます。来週は週を通してダウンサイドリスクに警戒が必要でしょう(事実今週は、ソフトバンクグループがFTX社への出資分の1億ドル弱をゼロとして損失計上することを発表した他、カナダのオンタリオ州教員向け年金基金もFTX社に投じた9500万ドルの評価額をゼロにすると発表。また、シンガポールの政府系投資会社であるテマセク・ホールディングスもFTXグループに出資した2億7500万米ドルを減損処理すると発表するなど、各界への被害が徐々に明らかに)。

来週の予想レンジ(BTCJPY): 195.0万円−265.0万円

関連記事

ページトップへ戻る