ビットコイン:『安値圏で下げ渋るも悪材料出尽くしには程遠くリスクは依然ダウンサイド』(11/26)

ビットコイン円相場は直近1週間に亘って膠着相場が続いていますが、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます

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ビットコイン:『安値圏で下げ渋るも悪材料出尽くしには程遠くリスクは依然ダウンサイド』(11/26)

1. 直近1週間のBTC相場

1.	直近1週間のBTC相場

今週のビットコイン円相場(11/20−11/26)は、週初234.3万円で寄り付いた後、(1)暗号資産交換業大手FTXトレーディング社の破綻に伴う余波の継続(同社が11/19に米東部デラウェア州の連邦破産裁判所に提出した資料の中で、同社グループが大口債権者上位50名に対して負っている無担保債務の総額が約31億ドルに上ることが判明)や、(2)約2億8800万ドル相当のETHを保有するFTXハッカーによるETHの売却観測(暗号資産マーケット全体に広がる悲観ムード)、(3)FTX破綻の煽りを受けた関連事業者の破綻ドミノ発生への警戒感(米ブルームバーグ社は「米ジェネシス社が新規資金調達に失敗すれば破産法適用申請の可能性あり」と破綻ドミノ開始を連想させるヘッドラインを発信)、(4)対主要通貨でのドル買い圧力(米当局者による相次ぐタカ派的な発言を材料に米ドル指数が11/11以来の高値圏へ急反発→米ドルと逆相関性の強いビットコインに下押し圧力)が重石となり、翌11/21に年初来安値220.0万円(2020年12月16日以来、約2年ぶり安値圏)まで下落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(5)ジェネシス社による「直ちに破産法の適用申請を行う計画はない」との上記3に対する否定発言や、(6)暗号資産交換業最大手のバイナンス社によるFTX社の経営破綻の煽りで苦境に陥っている関連事業者を支援するための基金設立への期待感(バイナンス社は当初10億ドルを拠出すると共に必要に応じ20億ドルまで引き上げる計画を発表)、(7)米金利低下に伴うドル売り圧力(米ドルと逆相関性の強いビットコインに上昇圧力)、(8)株式市場の堅調推移(市場心理回復→リスク選好ムード再開)、(9)日銀がデジタル円の発行に向けて3メガバンクや地銀と実証実験を行う調整に入ったとの一部報道が支援材料となり、週央にかけて、週間高値235.5万円まで反発しました。

もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(10)FTXショックの余波に対する警戒感や、(11)証券監督者国際機構(IOSCO)のジャン・ポール・セルベ議長による「FTXの破綻を受けて緊急に暗号資産業界を規制する必要性がある」「来年の焦点はFTXのようなコングロマリット・プラットフォームを標的にすること」との早期規制強化を滲ませる発言、(12)ダブルボトム失敗に伴う見切り売りが重石となり、本稿執筆時点(日本時間11/26午後1時40分現在)では、232.0万円前後で推移しております。

以下、テクニカル分析の観点でビットコイン円相場の先行きを考察いたします。

2. 移動平均線(テクニカル分析)

2.	移動平均線(テクニカル分析)

21日移動平均線と90日移動平均線のデッドクロスが実現したことで、SMA(単純移動平均線)ベース、EMA(指数平滑移動平均線)ベース共に、強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー(下から順番に21日移動平均線、90日移動平均線、200日移動平均線が並ぶ状態)」が続いています。ローソク足が全ての移動平均線の下側に位置していることや、全ての移動平均線が急ピッチに垂れ下がってくることを踏まえれば、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。

3. ボリンジャーバンド(テクニカル分析)

3.	ボリンジャーバンド(テクニカル分析)

ビットコイン円相場は直近1週間に亘って膠着相場が続いていますが、ローソク足がボリンジャーミッドバンドの下側に位置していることや、ボリンジャーミッドバンドの傾きが強い右肩下がりの傾斜を維持していること等を踏まえれば、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。また、ここ数日でバンド幅が急速に縮小していることも、米感謝祭明けのボラティリティブレイクアウト(膠着相場から大相場への転換)を意識させます。

4. 一目均衡表(テクニカル分析)

4.	一目均衡表(テクニカル分析)

ビットコイン円相場は直近1週間に亘って膠着相場が続いていますが、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転(ローソク足の一目均衡表雲下限下抜け+一目均衡表転換線と基準線のデッドクロス+遅行線の26日前のローソク足下抜けの組み合わせ)」が続いているため、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます(一巡後の下落トレンド再開に要注意)。

5. RSI(テクニカル分析)

5.	RSI(テクニカル分析)

ビットコイン円相場の膠着商状が続いていることで、オシレータ系インジケータのRSIは、過熱感(売られ過ぎ感)を示唆する30%以下の状態から、中立状態を示唆する30%超の水準へと浮上しました。過熱感が解消されたことで値頃感に伴う押し目買い意欲は幾分後退するものと推察されます。ローソク足の方向性とRSIの方向性が逆行するダイバージェンスが発生しているものの、ファンダメンタルズ主導の本格下落トレンド入りが意識される中にあって、オシレータ系インジケータのみを信用した安易な逆張り(ロングメイク)には引き続き注意が必要でしょう(一時的に上昇したとしても、騙し上げに繋がる可能性が高いことから高値圏での突っ込み買いは避けたいところ)。

6. まとめ

6.	まとめ

ビットコイン円相場は11/5に記録した約1カ月半ぶり高値314.8万円をトップに反落に転じると、暗号資産交換業大手FTXトレーディング社の経営破綻に端を発した市場心理の急速な悪化を背景に、今週前半(11/21)に年初来安値220.0万円(2020年12月16日以来、約2年ぶり安値圏)まで急落しました。その後は220.0−235.0万円をコアレンジとした膠着商状が続いているもの、反発力は極めて弱く(大幅下落後の自律反発力が弱い状態)、また、チャートフォーメーション的にも強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役逆転」「ダウ理論の下落トレンド」が成立しているため、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます(足元の膠着相場は嵐の前の静けさであると整理。米感謝祭明けの下落再開を想定)。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)暗号資産交換業大手FTXトレーディング社の経営破綻や、(2)上記1に伴う関連事業者の連鎖破綻リスク(業界最大手の一角の経営破綻であるため、その影響は「FTXに対する出資者」「FTXへの債務者」「FTXとのビジネス上の協業者」「FTXからの出資先」など広範囲)、(3)FTX社の杜撰な経営体制に端を発した暗号資産業界そのものに対する信用力の失墜(FTXの杜撰な体制は氷山の一角であるとの見方が急増)、(4)世界的な規制強化の思惑(今回の事件を教訓に今後は暗号資産関連事業者に対して伝統的な金融機関と同等水準の厳しい規制がかけられる恐れあり)、(5)上記4を背景とした暗号資産関連事業者のビジネス撤退加速懸念(規制コストの増大とそれに伴う採算性悪化を背景にビジネス撤退が相次ぐ恐れ)、(6)機関投資家や個人投資家の暗号資産離れ(米利上げペース鈍化期待→株高の流れが到来しつつあるため、投資家の関心が暗号資産から株式市場に移る可能性大)、

(7)電力消費を伴うPOW通貨への強い逆風(米東部ニューヨーク州のホークル知事は11/22に暗号資産取引が化石燃料の消費により環境に悪影響を与えるとして一部の暗号資産のマイニングを制限する法案に署名)など、ビットコイン円相場の更なる下落を連想させる材料が増えつつあります。先週・今週と2週続けて予想外に「静かな値動き」が続いていますが、悪材料出尽くしには至っておらず、現在の相場環境が「嵐の前の静けさ」であることはほぼ間違いないと考えられます(米金利急低下・米ドル急落→株式市場急反発の流れが到来しているにも係わらずビットコイン相場は無反応→地合いの弱さの表れ)。FTXトレーディング経営破綻の全貌と、それに伴う影響範囲が特定されるにつれ、ビットコインには再び強い下押し圧力(ボラティリティを伴う下落圧力)が加わると見られ、当方では引き続き、年末に向けてのビットコイン円相場急落をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(BTCJPY): 190.0万円−260.0万円

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