ビットコイン円、安値圏から反発も不確実性が残存し燻る中、上値余地は限定的か
○ビットコイン円、安値223.3万円まで下落後、米国時間朝方にかけて高値229.7万円まで反発
○香港株・中国株の急反発や米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料
○3度下方ブレイク失敗の「220.0万円前後」を下抜けられるか否かに注目
○弱気のパーフェクトオーダーや一目均衡表三役逆転が成立、リスクは依然ダウンサイド
○ファンダメンタルズも、暗号資産ビジネスに対する先行き不透明感など、下落を連想させる材料が揃う
○現状は嵐の前の静けさである可能性が極めて高く、突発的なボラティリティ拡大と急落リスクには要警戒
○本日の予想レンジ:215.0万円ー245.0万円
昨日の概況
29日(火)のビットコイン円相場は底堅い動き。(1)米金利上昇に伴うドル買い圧力や、(2)上記1を背景としたリスクオフ再開(株安→市場心理悪化)、(3)暗号資産レンディング大手BlockFi社による連邦破産法11条の適用申請(SECも同社に対する無担保債権を3000万ドル保有していることが判明)が重石となり、アジア時間朝方にかけて、安値223.3万円まで下落しました。しかし、220.0万円近辺に位置する強力な支持帯に下支えされると、(4)香港株・中国株の急反発(中国のゼロコロナ政策に対する抗議活動の沈静化期待→リスクオン再開)や、(5)米金利低下に伴うドル売り圧力(米10年債利回りが再び低下→対主要通貨でのドル売り再開→米ドルと逆相関性の強いビットコインに上昇圧力)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値229.7万円まで反発しました。
その後一時的に反落する場面も見られましたが、下がったところでは押し目買い意欲も根強く、下げ渋ると引けにかけて再び反発し、本稿執筆時点(日本時間11/30午前5時15分現在)では、229.3万円前後で推移しております。尚、ラガルド総裁は昨日、FTX社の経営破綻を念頭に、「より広範な暗号資産規制(MiCA II)が必要」との見解を示しましたが、市場の反応は限定的となりました。
本日の見通し
ビットコイン円相場はFTXショック発生以降、計3度にわたり「220.0万円前後」を試す動きが見られましたが、いずれも下方ブレイク失敗に終わっております(11/14安値221.0万円、11/22安値220.0万円、11/29安値223.0万円)。同水準が市場参加者に意識されている証左と言えることから、目先は同水準を下抜けられるか否かに注目が集まりそうです(上方より複数のレジスタンスポイントが垂れ下がってくることや、強い売りシグナルを示唆する弱気のパーフェクトオーダーおよび一目均衡表三役逆転が成立していること等を踏まえればリスクは依然ダウンサイド。同水準の下抜けに成功できれば一段安に繋がる恐れあり)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)FTX破綻に端を発した暗号資産ビジネスそのものに対する先行き不透明感(暗号資産ビジネス界隈のプレゼンス急低下)や、(2)FTXとビジネス上の関係性の深かった事業者の破綻ドミノ発生リスク(暗号資産レンディング大手BlockFiによる連邦破産法11条適用申請は世界的な破綻ドミノ大会の幕開けとの見方)、(3)世界的な規制強化の思惑(昨日はラガルドECB総裁からもより広範な暗号資産規制を求める声が明らかに)、(4)レギュレーションコスト増大に伴う関連事業者のビジネス撤退リスク(国内外の暗号資産交換業者やマイニングファーム、レンディング企業などが徹底する恐れ)、(5)投資家による暗号資産離れの動きの活発化(機関投資家や個人投資家が暗号資産に見切りをつけた上で株式や外国為替など伝統的金融市場に戻る動き)など、ビットコイン円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
足元は悪材料山積にも係わらず不自然なほど落ち着いた動きが続いていますが、嵐の前の静けさである可能性が極めて高く、突発的なボラティリティ拡大とそれに伴う急落リスクには常に警戒が必要でしょう。尚、本日は米経済指標や米当局者発言(含むパウエルFRB議長講演)など重要イベントが目白押しであるため、米長期金利や米ドルの動きに振らされる神経質な値動きとなりそうです。
本日の予想レンジ:215.0万円ー245.0万円
注:ポイント要約は編集部
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