暗号資産持ち直すが、18日の日銀会合通過後は利益確定か
年明け以降、ビットコインを筆頭に主要な暗号資産の価格がやや持ち直している。ドルベースでは、ビットコインが21000ドル台、イーサリアムは1500ドル台と昨年11月のFTX破綻前の水準まで回復している。ともに2022年1月以来となる200日移動平均線突破となっており、久しぶりの変動を見せている。関係者は「日銀会合前で為替市場でのドル安円高が材料視されている」とか「世界銀行が2023年の世界経済の成長率見通しを引き下げたため、緩和期待が再燃」などとそれっぽい話は聞こえるが、私は、日銀会合前の為替変動に伴うアンワインド(ポジションの反対売買)に過ぎないと今のところは考える。
2会合連続での政策変更は非常に稀
昨年12月の想定外の黒田総裁在任中の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の運用見直し(変動許容幅を±0.5%程度)を受けて、市場は18日(水)昼過ぎに発表される1月の金融政策決定会合の結果内容に目を光らせている。12月のサプライズ見直しで、市場関係者の免疫はある程度ある一方、足元の長期金利は、日銀が上限としている0.5%を上回っていることから、連続サプライズを織り込むような前のめりの地合いとも言えよう。イベントドリブン的な売買のため、明日の決定会合の結果発表でノーサプライズであれば、長期金利上昇、ドル安円高は一服となろう。では2回連続のサプライズの可能性はどれぐらいあるのか。私はその可能性はほぼ0に近いと見ている。
2013年4月に黒田日銀総裁が誕生して以降、日銀が2会合連続で何かしらの政策変更を行ったのは2015年12月の「量的・質的緩和補完措置」、2016年1月29日の「マイナス金利の導入(黒田バズーカ第三弾)」の1回だけである。日銀会合は年14回開催されることから、13年4月以降、昨年12月までに137回開催され、今回が138回目である。これだけの開催数で2会合連続での何かしらの政策変更は一度きりというわけだ。正確な割合の算出は割愛するが、非常に稀だということは十分伝わるはずだ。市場はそれだけ稀なことにベットしているとも言えるが、ある意味、これこそイベントドリブンというものか。可能性は非常に低いが、株式、債券、暗号資産市場全ての市場の緊張感がこれだけ高まるのは久しぶりである。
つまり、今の暗号資産価格の持ち直しの背景には、こうした投資家の思惑先行が存在すると私は考える。そして、具体的な思惑の背景として、足元のバイナンスのデリバティブ取引が昨年11月レベルまで膨らんでいることから、FTX破綻前後に積み上がっていた売りポジションのアンワインドに過ぎないと想定する。
ドルインデックスは昨年9月をピークに低下傾向
結論として、足元の暗号資産の上昇は、日銀会合に対するイベントドリブンに伴う売りポジションのアンワインドのため、上昇は明日一服すると考える。とはいえ、ドルインデックス(主要通貨に対する米ドルの強さを表した指数)が昨年9月の114.778(Bloomberg参照)をピークに足元102台まで低下していることから、ドル独歩高に伴う暗号資産価格の下落は一巡しただろう。後は、大手暗号資産交換所のバイナンスやコインベースなどからネガティブなニュースが出てこなければ、明日いったん利益確定売りが入っても、じりじりと暗号資産価格は持ち直すのではないかと期待している。
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