ビットコインは炭鉱のカナリア、2023年はムード一変か (月報23/1)

1月1日時点の暗号資産時価総額は8000億ドル水準まで落ち込んでいたが、わずか3週間ほどでFTX破綻前の昨年11月上旬の水準である1兆ドル台を回復した。

ビットコインは炭鉱のカナリア、2023年はムード一変か (月報23/1)

ビットコインは炭鉱のカナリア、2023年はムード一変か

2023年1月の暗号資産市場は上々のスタートとなった。1月1日時点の暗号資産時価総額は2020年12月以来の8000億ドル水準(Coin Market Cap)まで落ち込んでいたが、わずか3週間ほどで、FTX破綻前の昨年11月上旬の水準である1兆ドル台を回復した。3週間で2000億ドルも時価総額が増加する市場、これぞまさに暗号資産と言えよう。何より嬉しい話は、時価総額最大のビットコインが、ドルベースで昨年8月の水準である23000ドル台を回復したことだ。円ベースでは昨年10月以降、ドル高円安の動きが是正されたことからドルベースより回復は遅いが、円ベースも昨年11月の水準は回復している。先進国の株価指数の方向性は乏しいままだが、最上級のリスク資産ともいえる暗号資産価格の回復は一部の投資家がリスクを取り始めたと考えることもでき、非常に喜ばしい。

暗号資産は「炭鉱のカナリア」

さすがにビットコインの回復だけで「リスク選好型の投資家が戻ってくる」とは思わないが、暗号資産を「炭鉱のカナリア」として位置付けるのであれば楽しい想像はできそうだ。米国の急ピッチな金利引き上げが一服するとの見通しや、日本銀行の政策変更などに伴うドル独歩高が一巡している状況下、「ドル高一服に伴い、手始めに暗号資産を買い戻すか」という投資家が多少戻ってきてもおかしくはないだろう。

そのようななか、ビジネス継続が疑問視されていた暗号資産融資大手のジェネシスが1月中旬、ついにチャプター11を申請し破綻した。FTX破綻以降その動向が注目されていただけに、市場関係者の多くはチャプター11申請に動ずることはなかった。昨年5月以降、危険視されていた暗号資産関連企業の多くが破綻したことで、「悪材料出尽くし」というムードが強まったことも足元の暗号資産価格回復の背景にある。今後、FTXクラスのネガティブな破綻が発生すれば、暗号資産価格は多少揺れるかもしれない。ただ、こうしたリスクは、暗号資産市場だけではなく株式市場(クレディ・スイスの経営危機の噂など)にも当然のように存在する。暗号資産最大手のバイナンスやコインベースのネガティブなニュースが出ても、暗号資産価格への影響は限定的と考える。

まだまだ買い戻しに過ぎないか

もっとも、「手始めに暗号資産を買い戻すか」と述べている通り、足元の価格回復は、昨年11月上旬の売りポジションのアンワインド(反対売買)に過ぎないと思っている。その根拠は、出来高がまるで増加していないからである。国内の暗号資産交換所の出来高ではなく、世界的なボリュームが掴めるCoin Market Capの出来高を見ると一目瞭然だ。今年1月の出来高は、昨年11月の大崩れ時と比較するとざっと3分の1or4分の1程度だ。新規の買いが入っているというよりも11月時に売りポジションを作った投資家が、一段安のトレンドに入らなかったことでアンワインドしたと考えるのが需給の定石な気がする。

となれば、ここからの上昇を期待するにはポジティブサプライズが必要となろう。考えられる材料は、

「FTXの取引再開決定」
「ビットコインETFの米国での取扱い決定」
「暗号資産の法定通貨化の加速」
「Web3に活用される暗号資産の規制緩和」

あたりか。正直実現性が低い内容ばかりだが、暗い話ばかりしていてもつまらない。暗いニュースが多かった2022年を払拭するポジティブな雰囲気になればと切に思う。まずは、2月上旬とみられるFTX Japanの入札に注目したい。新たな外資暗号資産交換業者が来るとなれば、日本の停滞した暗号資産業界の刺激材料となるかもしれない。

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