FOMCと市場の思惑 (23/02/02)

昨日の暗号資産取引は、ビットコインが上昇しての推移となっています。

関連通貨:

FOMCと市場の思惑 (23/02/02)

FOMCと市場の思惑

主要暗号資産価格【日本時間6時】

ビットコイン:23547.5ドル(+1.93%)
イーサリアム:1635.00ドル(+2.94%)
リップル:0.41221ドル(+1.20%)
ビットコインキャッシュ:135.2ドル(+0.67%)

【概況】

昨日の暗号資産取引は、ビットコインが上昇しての推移となっています。FOMCを控えて様子見ムードが意識されましたが、FOMCやパウエルFRB議長の会見を受けてリスク志向の動きが強まり、上値を拡大する展開となりました。米株も朝方504ドル安と下値を拡大したダウが6ドル高で引けるなど買い戻されています。一方で米国債利回りは大幅低下となり、ドルも売り圧力が強まる展開となっています。こうした動きを受けてビットコインもその他のコインも買われやすい地合いとなりました。

さて、今日はFOMCとパウエルFRB議長の会見についてみていこうと思います。FOMCにおいては全会一致で25bpの利上げが決定されています。市場の予想通りであり、利上げペースの減速が好感される状況です。そして、その後のパウエルFRB議長の会見において『ディスインフレのプロセスが始まった』などと述べており、これが好感されています。米短期金融市場において、6月のピークから年末までの50bpの利下げを織り込む流れとなっており、市場はかなり楽観的な見方を強めているということができるでしょう。

しかし、その一方でパウエルFRB議長は『予想通りの経済動向であるなら今年中の利下げを想定していない』と述べており、市場の思惑との乖離が伺えるところです。この乖離に関しては今回のFOMC前から意識されていましたが、さらに拡大しているようにも思われるところです。パウエルFRB議長は『市場がFOMCの引き締めを反映することが重要』とも述べていますが、市場との対話はうまくいっていないと言わざるを得ません。

市場の関係者の中でも意見が分かれており、ルネサンス・マクロ・リサーチの米経済調査責任者のニール・ダッチ氏は『早すぎる勝利宣言を行う可能性が高まった』と指摘しています。また、ラザードのチーフ市場ストラテジストであるロナルド・テンプル氏は『市場はなおハト派に行き過ぎている』と述べています。一方、ウォーレン米上院議員はパウエルFRB議長に利上げ停止を促しており、アリアンツ・インベストメント・マネージメントのシニア投資ストラテジストであるチャーリー・リプシー氏は引き締めのサイクル終了が近いと述べています。

個人的にはパウエルFRB議長が慎重になりすぎているのではないかと思うところではあります。先日も書きましたが、過去のFRB議長の対応を参考にしながら、それを超える成果を出したいといった思惑があるのではないかと考えています。そして、それがインフレを収束させつつソフトランディングを成し遂げるという方向に向かわせており、どちらもやや中途半端になってしまっているのではないかと思われるところです。それがタカ派的な発言をしているにもかかわらず、ハト派的といった見方を市場がしている要因となっているのではないかと思います。

いずれにせよ、市場との乖離が大きくなる中で、先行きに関しては警戒感が高まるところではあります。それは下向きだけでなく、上向きにも言えることで、急激な動きが起こってもおかしくない局面ということになるでしょう。それは暗号資産市場においても言えることであり、慎重に方向感を見極める必要がありそうです。

【ビットコイン節目】

ビットコインは日足のボリンジャーバンドの+2σである24440ドル前後の水準を目指す展開となっており、下値の堅い動きです。バンドの中心線である22250ドルと+2σで挟まれたレンジを動いており、現状においてはまだこのレンジでの動きが意識されそうです。

【ビットコインチャート分析】

【ビットコインチャート分析】

ビットコインの日足のボリンジャーバンドを見ると、バンドの+2σと中心線で挟まれたレンジを動いており、狭いレンジでの動きが展開されています。ただ、目先は底堅い動きでバンドの+2σを目指しており、このまま上昇する可能性も高そうです。問題はバンドの+2σをブレイクするかどうかといったところとなりそうです。バンド幅は縮小傾向であり、市場には徐々にエネルギーが蓄積されてきており動き出したら大きくなる可能性はありそうです。ただ、まだ縮小傾向が維持されているので、バンドの+2σで抑えられる動きも頭に入れておく必要がありそうです。バンドの-2σの方向感を探りながらの展開となりそうです。

またストキャスティクスを見ると、%Kが持ち直して再度高値圏に入っています。一方、%Dはじり安基調で高値圏から外れる動きとなっています。%K、%Dの方向感に注意が必要ですが、%Kが高値圏での動きを維持したら%Dも持ち直して買い意欲が強まる展開となりそうです。

ビットコインの4時間足のボリンジャーバンドを見ると、バンドの中心線で抑えられての動きから上昇基調を強め、目先はバンドの中心線を抜け、バンドの+2σを目指しての動きとなっています。バンドの±2σは横ばいとなっており、レンジ圏での動きが意識されやすい状況です。バンド幅はそこまで狭くないため、バンドブレイクからバンドウォークといった大きな動きになるかは不透明ですが、一応警戒しておいたほうが良いでしょう。

ストキャスティクスで見ると%K、%Dがゴールデンクロスからの上昇となっています。%Kが高値圏に入っており、この水準を維持することが出来るかに注目です。一方、%Dは上昇基調を強めており、そろそろ高値圏に入りそうです。買い優勢の局面であり、バンドの+2σを目指しての動きとなりそうです。

【ビットコイン価格の注目ポイント】

68990ドル:史上最高値
25210ドル:2022年7-12月の高値
24440ドル:ボリンジャーバンド日足の+2σ水準
23640ドル:昨日の高値

23550ドル:現在値

22810ドル:昨日の安値
22250ドル:ボリンジャーバンド日足の中心線
20060ドル:ボリンジャーバンド日足の-2σ水準
20000ドル:心理的な節目
15500ドル:2022年7-12月の安値

(注)上記の暗号資産の価格に関しましては注釈がない限りInvesting.com社のデータを参照しております。

関連記事

ページトップへ戻る