ビットコイン円、ポジション調整主導で下落するもクレディ・スイス危機への影響は限定的か
〇ビットコイン円、欧州勢参入後に高値337.2万円まで上昇
〇その後は金融市場のリスクオフや、上値の重さを嫌気した見切り売りに安値318.0万円まで反落
〇テクニカルには主要テクニカルポイントの上での推移、強気のパーフェクトオーダーの継続等地合い強い
〇ファンダメンタルズも世界的な金融引き締め休止観測等がビットコインをサポート
〇引き続き、ビットコイン円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:310.0万円ー350.0万円
昨日の概況
15日(水)のビットコイン円相場は冴えない動き。(1)世界的な金融不安の拡大(米シルバーゲート銀行→米シリコンバレー銀行→米シグネチャーバンクの経営破綻・事業停止に続いて、昨日はスイスの大手銀行であるクレディ・スイスにシステミックリスクが飛び火)や、(2)上記1を背景とした中央集権的金融機関に対するアンチテーゼの意味合いを込めた非中央集権通貨ビットコインの再評価、(3)世界的な金融引き締め休止観測(来週開催される米FOMCでの「50bp利上げ観測」は完全消滅。現在は「据え置き」の織り込み度合が47.6%、25bp利上げの織り込み度合が52.4%→米長期金利急低下→米ドル売り→米ドルと逆相関性の強いビットコインに上昇圧力)が支援材料となり、欧州勢参入後に、高値337.2万円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)伝統的金融市場のリスクオフ(欧米株急落→ビットコイン連れ安)や、(5)上値の重さを嫌気したロング勢の見切り売りが重石となり、米国時間午後にかけて、安値318.0万円まで反落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間3/16午前5時30分現在)では、325.0万円前後で推移しております。
本日の見通し
ビットコイン円相場は3/10に記録した約2ヵ月ぶり安値266.0万円をボトムに反発に転じると、3/14に一時年初来高値353.8万円(昨年6/13以来、約9ヵ月ぶり高値圏)まで急伸しましたが、その後は急ピッチな上昇に対する反動も相俟って、現在は325.0万円前後で推移しております。但し、日足・ローソク足が主要テクニカルポイントの上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」が継続していること、数日以内に「一目均衡表三役好転」の点灯が見込まれていること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます(ポジション調整一巡後に上昇基調が再開するシナリオを想定)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、前項で示した通り、米銀の連鎖破綻やクレディ・スイス危機発生に端を発した中央集権型金融機関に対するアンチテーゼ思想の強まり(リーマンショックを経てビットコインが生まれたように、米銀やクレディ・スイス危機を経てビットコインが再評価されるとの期待感)や、世界的な金融引き締め休止観測(グローバルなシステミックリスクの飛び火を防ぐ目的で各国中央銀行が金融引き締めスタンスを緩めるとの思惑→世界的な長期金利低下→ビットコインなどリスクアセットの下支え要因)など、ビットコイン円相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。事実、暗号資産オプション市場では、短期物から中長期物に至る全てのテナーで、リスクリバーサルがBTCコールオーバーに転じるなど、アップサイドを織り込む動きが続いております。以上を踏まえ、当方では引き続き、ビットコイン円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(オプション勢はアップサイドに依然として大きなショートガンマを抱えているため、ビットコイン相場がひとたび上がり始めると、オプション勢のショートガンマに伴うストップBUY操作を通じて、相場が予想以上に加速する恐れがある点に留意が必要)。
本日の予想レンジ:310.0万円ー350.0万円
注:ポイント要約は編集部
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