金融システム不安
主要暗号資産価格【日本時間6時】
ビットコイン:24325.3ドル(-1.05%)
イーサリアム:1647.48ドル(-3.16%)
リップル:0.36083ドル(-3.53%)
ビットコインキャッシュ:123.7ドル(-5.57%)
【概況】
昨日の暗号資産市場は、ビットコインが下落しての推移となっています。ダウの軟調地合いなどを眺めて売りの流れが意識されており、上値の重い展開となりました。ただ、米株の下げ渋りなどを背景に持ち直す動きを見せています。一方、その他のコインは軟調地合いで下げ幅を拡大する展開となっています。
さて、昨日はクレディ・スイス銀行の株価が急落したことが嫌気される展開となり、ダウが朝方から下落する流れとなりました。ダウは一時720ドル安水準まで下落するなど市場にはリスク回避的な動きが強まりました。暗号資産市場にとっても急激な下落が意識される流れとなりました。
しかし、スイス中銀が『必要ならクレディ・スイス銀行に流動性を供給』といった声明を出したことで過度な警戒感が和らぎ、急激なリスク回避的な動きが巻き戻される流れとなりました。ダウは結局マイナス圏での引けとなりましたが、引けにかけて下げ幅を縮小して日中高値圏での引けとなっています。
その一方で米国債利回りが短期債を中心に大幅に低下しており、金融引き締めに対する思惑が再度後退する状況となっています。米2年債利回りなどはここ数日間乱高下しており、市場が動揺する展開となっています。異常な動きと言っても過言ではないところであり、今後の動向にも注意したいところです。
そして、米国債利回りが急落したものの、ドルは急騰しています。これはECBの利上げに対する思惑が大きく後退したことに起因しています。ECBは7月にも利下げに転じるといった見方まで浮上するなど、世界的な引き締めの動きが急速に巻き戻される状況となっています。原油価格の大幅下落もインフレに対する警戒感を和らげる状況となっています。エネルギー価格が下落基調を維持するかどうかははっきりしないところもありますが、現状では金融システム不安への対処を優先したいとの思惑が当局からうかがえる状況ということができるでしょう。
そうした中で暗号資産市場にとっても方向感を見定めにくい状況となる可能性は高まっています。急激に押し戻す動きは目先一服していますが、米国債利回りの上値が抑えられる中でドルが下値を拡大する可能性がくすぶる状況です。昨日に関してはユーロが大きく売られたことで相対的にドルインデックスが上昇しましたが、FEDの金融政策次第ではドル売りの流れが強まる可能性は十分にあるでしょう。そうなれば暗号資産市場にとっては下値を支える要因となるでしょう。しかし、金融システム不安が強まればリスク回避的な動きが強まり、上値を抑えることとなるでしょう。このあたりの動きは乱高下する可能性も高いために判断が難しいところではあり、中銀の動向などに注意を払いつつの対応となりそうです。
【ビットコイン節目】
ビットコインは日足のボリンジャーバンドの-2σである20240ドル前後の水準から持ち直しての動きとなり、バンドの中心線である22620ドル前後の水準を一気にブレイクし、そのままバンドの+2σである24990ドル前後の水準を抜けて上昇したものの、上値は重い展開となっています。目先はバンドの±2σと中心線が節目として意識されるレンジ圏での動きとなるのではないでしょうか。
【ビットコインチャート分析】
ビットコインの日足のボリンジャーバンドを見ると、バンドの+2σをブレイクする動きから調整の動きが入って上値を抑えられています。このままバンドの中心線を目指しての下落となるのかに注目です。バンドの±2σはほぼ横ばいであり、レンジ圏での動きが意識されやすい形です。目先は調整売りの流れが継続するのではないかとみています。
またストキャスティクスを見ると、%Kが天井打ちから下落する一方、%Dは上昇基調を維持しています。%Dはそろそろ高値圏に入りそうで、底堅い動きが意識されるところです。ただ、%Kは下落基調を維持しており、このまま下落ということになれば、短期的には売り優勢の流れとなりそうです。
ビットコインの4時間足のボリンジャーバンドを見ると、バンドの+2σを意識しての動きから調整の動きが入っており、バンドの中心線を目指す形となっています。そろそろ中心線に到着しそうですが、中心線で支えられるかどうかに注目です。バンド幅は縮小傾向を強めており、市場には徐々にエネルギーが蓄積されていく状況です。ただ、まだ縮小の余地はありそうで、大きな動きにはなりにくいところではないかとみています。現状は下値の堅さは意識されそうで、バンドの中心線では支えられるのではないかとみています。
ストキャスティクスで見ると%K、%Dがデッドクロスからの下落となり、そろそろ下値圏に入っていきそうです。売り優勢の流れが強まっており、上値を抑えられるでしょう。%Kが持ち直すかどうかがまずは注目であり、下値圏での推移を継続した場合はバンドの中心線をブレイクする可能性が高まるでしょう。
【ビットコイン価格の注目ポイント】
68990ドル:史上最高値
25210ドル:2022年7-12月の高値
25160ドル:ボリンジャーバンド日足の+2σ水準
25110ドル:昨日の高値
24330ドル:現在値
23930ドル:昨日の安値
22660ドル:ボリンジャーバンド日足の中心線
20170ドル:ボリンジャーバンド日足の-2σ水準
20000ドル:心理的な節目
15500ドル:2022年7-12月の安値
(注)上記の暗号資産の価格に関しましては注釈がない限りInvesting.com社のデータを参照しております。
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