ビットコインと金の相関は「正の相関関係」、やはり「デジタルゴールド」なのか・・・
ビットコインはドルベースで27000ドル水準を推移しており、金融システム不安の状況下、堅調な推移が見られる。27日の海外市場で、世界最大の暗号資産交換業者であるバイナンスとジャオ・チャンポンCEOが、トレーディング及びデリバティブの規則に違反したとして、米商品先物取引委員会(CFTC)が提訴と伝わったが、今のところ価格への影響は限定的となっている。
市場では、「金融システム不安によって、リスク回避でビットコインなど暗号資産や金に資金を移した」といったコメントが見られるが、2017年以降、ビットコインはハイリスク・ハイボラティリティの金融商品との位置付けであることは明確だ。リスク回避で金が上昇するのは金融市場の常識だが、ビットコインが上昇しているというロジックは俄かには信じられない。そこで、ビットコインと金の相関を確認してみると、私のこれまでの発想とは大きく異なる状況が見えてきた。
金との相関は「負の相関関係」・・・ではない
まずは2017年以降、ビットコインと金の相関(ともにドルベース)は下記の通りである。
2017年: 0.35
2018年: 0.61
2019年: 0.70
2020年: 0.51
2021年:-0.43
2022年: 0.75
2023年: 0.38
※2023年は1月1日から3月23日まで
※相関係数の絶対値及び他の指標との相関などは、「2023年の暗号資産三大予想、相関係数で2017年以降のデータを検証(2023年1月30日)」をご覧ください
2017年のビットコインとNYダウとの相関は「0.90」と「強い正の相関関係がある」だったが、金との相関も「0.35」と「やや正の相関関係がある」であった。てっきりリスクオンの地合いだったことから、「強い負の相関関係がある」と思い込んでいたが、実態は異なっていた。一方、ビットコインが過去最高値(68991ドル(11月10日))をつけた2021年は、NYダウとの相関が「0.30」と「やや正の相関関係がある」、金とは「-0.43」と「かなり負の相関関係がある」という状況だった。この相関は私の想像通りでもあるが、「負の相関関係」はこの年だけだ。整理すると
〇2021年以外の金との相関は常に「正の相関関係がある」
〇2019年と2022年は「強い正の相関関係がある」
つまり、「ビットコインが上昇(下落)する際、金もほぼ上昇(下落)する」ということだ。これまで、盲目的に「ビットコインはハイリスク資産なので、金とは「負の相関関係がある」」と信じていたが、真逆の状況であったことは驚きだ。
まさに「デジタルゴールド」
むしろ、この結果は、ビットコインが「デジタルゴールド」と呼ばれるエビデンスとも考えられる。発行上限が設定されているビットコインは、「希少性が高くインフレヘッジとして購入する投資家もいるため、金と非常に類似している」。そして、「資産の逃避先として用いられる」というのが名称の由来だ。
米国で金融システムへの不安が意識され始めた3月8日から23日の2週間だけを切り取ってみると、金との相関は「0.90」と「強い正の相関関係がある」という状況だ。相関だけを考えると、ビットコインは、「ハイリスク・ハイリターンな金融商品で、金融システム不安発生時には、リスク回避目的の資金が向かいやすい」という結論を導くことができる。実に矛盾しているような気はするが、足元のビットコイン上昇は「リスク回避に伴う資産の逃避先」と説明するのが無難なようだ。
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