暗号資産週報「三角もちあい下抜けで続落の可能性」(5月第2週)

4月から三角もちあいが続いていましたが、昨日の米地銀経営不安によるリスクオフの動きからビットコインも下げ、サポートラインを割り込む動きとなりました。

暗号資産週報「三角もちあい下抜けで続落の可能性」(5月第2週)

今週の暗号資産レンジ

時価総額が大きい3つの暗号資産の週間レンジを示しています。始値は日曜東京午前9時、高値・安値は始値から金曜始値までのレンジのため、それ以降日曜午前9時までのレンジは含まれていません。なお、各レートとも特定業者のレートは示さず対ドルでの気配値となっていることにご留意ください。

今週の暗号資産レンジ

Crypto Index=暗号資産インデックスの詳細は、トップページのサイト右側メニューの「暗号資産分析情報」から「暗号資産インデックス」をクリックしてご覧ください。算出の基準日は2017年9月1日です。また「到達確率チャート」も併せてご利用いただけます。

今週の暗号資産レンジ 2枚目の画像

チャート(上段から上記表の順番)は、到達確率チャートと同じ1時間足・週7日のチャートです。上記レンジに含まれていない前週金曜9時~日曜午前9時の2日間もチャートには表示されています。

今週の振り返りと来週の見通し

今週もドル建てビットコイン(BTC/USD)について、前回執筆時点以降の値動きを振り返りつつ、今後の見通しについて純粋にテクニカルな観点から分析を加えます。使用チャートは、ドル円とユーロの週報で使っているものと同じものです。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の振り返り(日足)

今週の振り返り(日足)

4月から三角もちあい(ピンク)が続いていましたが、昨日の米地銀経営不安によるリスクオフの動きからビットコインも下げ、サポートラインを割り込む動きとなりました。しかし、その下には3月安値と4月高値の38.2%押し26628が3月後半以降の安値圏と一致しているため、続落するにはこの26628を明確に下抜ける必要があります。4時間足チャートで拡大して見てみましょう。

ここからの見通し(4時間足)

ここからの見通し(4時間足)

テクニカルにはもみあいを下抜けたことから続落する可能性は高く、38.2%押し26628を下抜ければ日足チャートに示されている半値押し25291を視野に入れる展開となっていきそうです。材料的にも米地銀の経営不安や財務上限問題などリスクオフに動きやすいものが多く、来週には26628を下抜け半値押しの水準に近づく展開が予想されます。上値は今週の戻り高値28310の水準を考えます
来週は25300ドルをサポートに、28300ドルをレジスタンスとする流れを考えておきます。

今週の主なトピックス

今週の暗号資産関連のニュースの中から、筆者が気になった内容をコメントともに「主なトピックス」として毎週2本取り上げていきます。記事によっては前回執筆日前のトピックスを取り上げることもあります。

取り上げた元記事を確認できるように、ピックアップするソースを日経新聞に絞っています。日経新聞の朝刊と電子版の別と日時を併記してありますので、ご自身の目でお読みいただくと良いと思います。

今週の主なトピックス

*筆者コメント
米国の暗号資産取引所ビットトレックスが8日に破産申請を行った(海外事業は継続)というニュースにはもはや驚きもありませんが、同社破綻のきっかけのひとつがSECからの訴追でした。米国内での暗号資産事業は規制が不明確な点も多く、SECを中心に規制強化が行われている印象です。
こうした制度的な問題もあり、暗号資産業者の脱米国が進んでいて、取引額の拡大規模が大きい業者にバイナンス(ケイマン)、アップビット(韓国)、OKX(セーシェル)など、タックスヘイブンやアジアでの成長が大きいとのこと。
ただ、そうなってくるとまた米国は海外業者に対する規制を強化するといった動きも考えられますが、結果として暗号資産業者の脱米国が進む可能性が指摘されています。

今週の主なトピックス 2枚目の画像

*筆者コメント
これまで暗号資産取引の規制対象は取引所での取引のみとなっていますが、個人間取引がマネーロンダリングの抜け穴となるため監視強化策を探るとのこと。
個人間でも法定通貨の送金は一定の金額を超えれば監視下にあると言えるのですが、暗号資産の場合その匿名性ゆえに個人間で巨額の送金を行っても、記録に残るため大口取引があったんだなというところまでしか行きません。
そこでG7ではマネーロンダリング対策の監視を行っているFATF(金融活動作業部)を通して必要な対策の検証を求めるとのこと。本当に実効性がある対策が出来るのかなど、色々と課題は多そうですが、G7が登場するということは対中国、対ロシアという側面も大きいでしょうから、早めに動いてきそうな気はします。

今週のコラム「NYダウとビットコイン、ザラバの相関」

先週はNYダウとビットコインの相関を日足で確認しましたので、ザラバベースでも同じような動きになっているのか、週末を除くため今週月曜から執筆時点までの1時間足を比較してみましょう。

今週のコラム「NYダウとビットコイン、ザラバの相関」

モノクロのローソク足がNYダウ1時間足で1日を四角で囲っています。カラーのローソク足がBTCUSDの1時間足です。

こうして見ると大局的な動きは似ているものの、細かな動きは似ている時もあれば似ていない時もあるという感じで、このあたりは暗号資産には本来的なファンダメンタルが存在しないため、その時々の需給の影響が大きいということが影響していると考えられます。

ただ1日単位で見た場合の方向性はやはり同じことが多いという点は気にしておくべきかと思います。個人的にもデジタルゴールドという意味合いよりも、リスクオフではリスク資産として見られるというスタンスです。

ディスクレーマー

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