ビットコインの価格分析:『膠着相場が継続も、来週はレンジ上方ブレイクに要警戒』(5/27朝)

ビットコイン円相場は、約2週間に亘って360.0−380.0万円レンジが続いています

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ビットコインの価格分析:『膠着相場が継続も、来週はレンジ上方ブレイクに要警戒』(5/27朝)

1. 直近1週間のBTC相場

1.	直近1週間のBTC相場

今週(5/21−5/27)のビットコイン円相場は、週初374.2万円で寄り付いた後、(1)バイデン米大統領による「マッカーシー下院議長との電話会談はうまくいった」との楽観的な発言(米債務上限問題を巡る過度な警戒感の後退)や、(2)株式市場の堅調推移(市場心理改善→リスクアセット上昇→ビットコイン上昇)、(3)Bitcoin Pizza Dayに絡むご祝儀買い(毎年5/22はビットコインが2010年に初めてピザの支払いに使われた記念すべき日)、(4)対主要通貨での円売り圧力(ドル円・クロス円上昇→ビットコイン円連れ高)、(5)香港証券先物委員会(SFC)による「6/1より個人投資家に暗号資産取引を認める計画」の公表が支援材料となり、週前半にかけて、週間高値380.4万円まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(6)米経済指標の力強い結果や、(7)当局者による相次ぐタカ派発言、(8)米金利上昇に伴うドル買い圧力(米ドルと逆相関性の強いビットコインに下押し圧力)、(9)米債務上限問題に関する警戒感(イエレン米財務長官による「財務省は6/1にも現金使い切る可能性がある」との発言→大手格付け会社フィッチ・レーティングス社も「米国の信用格付け見通しをネガティブに指定する」と発表)、

(10)株式市場の急反落(アジア株・欧米株の急反落→リスクオフ再開→VIX上昇→市場心理悪化→リスクアセット下落→ビットコイン下落)、(11)暗号資産オプション市場のダウンサイドを織り込む動き(BTCもETHもリスクリバーサルが全ての期間でPUTオーバーに転換)、(12)ステーブルコインの時価総額の14カ月連続減少が重石となり、週後半にかけて、週間安値361.3万円まで下落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(13)ここ数週間続いているレンジ(360.0ー380.0万円)下限を背にした押し目買い圧力や、(14)暗号資産フレンドリーな政治家として人気のある米フロリダ州知事のロン・デサンティス氏による2024年の大統領選への出馬意向の正式発表(同氏はビットコインなどの暗号資産を支持する一方、中央銀行デジタル通貨の発行に反対)、(15)対主要通貨での円売り圧力(ドル円が心理的節目140円の大台を突破→ビットコイン円連れ高)、(16)米主要株価指数の急反発(リスク選好ムード再開→市場心理改善)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間5/27午前10時00分現在)では、374.3万円前後で推移しております。

2. 移動平均線(テクニカル分析)

2.	移動平均線(テクニカル分析)

日足チャートは21日移動平均線を挟んだ上下動が続いていますが(トレンドレスな状態が続いていますが)、90日移動平均線に確りとサポートされている点を考慮すると、下値は堅いと考えられます(90日移動平均線が市場参加者に意識されていることを示唆)。この為、来週は21日移動平均線や50日移動平均線をクリアに上抜けられるか否かに注目が集まりそうです(底固め後の反発期待)。仮に21日移動平均線や50日移動平均線を上抜けることが出来れば、地合いが一気に好転に向かう可能性もあるため、来週はボラティリティの回復に警戒が必要でしょう(ここ数週間続いてきた360.0ー380.0万円レンジのブレイクを想定)。

3. ボリンジャーバンド(テクニカル分析)

3.	ボリンジャーバンド(テクニカル分析)

相場の方向性を示唆するボリンジャーミッドバンドは右肩下がりの形状を描いていますが、ローソク足が、週末にかけて、ミッドバンドを上抜けした点は好材料と考えられます。バンド幅も十分縮小したため、来週はスクィーズからのエクスパンション(狭いバンド幅に挟まれて膠着する状態から、値動きが上下に大きく振れるエクスパンション)への移行に警戒が必要でしょう(ボラティリティの拡大に要注意)。

4. 一目均衡表(テクニカル分析)

4.	一目均衡表(テクニカル分析)

ビットコイン円相場は、一目均衡表の「雲の中」でもがく状態が続いていますが、日足ローソク足が週末にかけて一目均衡表転換線を上抜けた点は好材料と判断できます。この調子でいけば、来週早々には、一目均衡表基準線の突破も実現するため、地合いの好転に期待が集まります(一目均衡表雲下限が急ピッチに切り上がってくることもビットコインを下支えする公算大)。

5. RSI(テクニカル分析)

5.	RSI(テクニカル分析)

オシレータ系インジケータのRSI(Relative Strength Index)は40−50%近辺での横ばい推移が続いています。中立圏内(30−70%)に留まっている他、ローソク足とRSIの方向性が逆行するダイバージェンスも発生しておらず、現在はRSIから相場の方向性を読み解くことが難しい状況となっています。

6. まとめ

6.	まとめ

ビットコイン円相場は、約2週間に亘って360.0−380.0万円レンジが続いていますが、90日移動平均線で底固め出来ていることや、ボリンジャーミッドバンドを上抜けしたこと、スクィーズからのエクスパンションが期待されていること、一目均衡表の雲下限がダウンサイドから切り上がってくること等を踏まえると、タイミング的に来週後半あたりのレンジ上方ブレイク(380.0万円の突破)が意識されます。

こうした中、市場の関心は米債務上限問題の行方となっています(イエレン米財務長官はXデーを従来の6/1から6/5に後ろ倒し)。米債務上限問題が合意に至り解決される場合は、「米株高→市場心理回復→リスクオン再開→リスクアセット上昇→ビットコイン上昇」の波及経路が想定されます。一方、合意がなされずデフォルトに陥る場合は、初期反応として、「米株安→市場心理悪化→リスクオフ再開→リスクアセット下落→ビットコイン下落」の波及経路が見込まれますが、一巡後は、「米ドルに対する信用失墜→世界的なドル放れ加速→中央集権に対するアンチテーゼの流れの再開→金やビットコインへの資金流入」の波及経路でビットコインが反発に転じるシナリオが想定されます。

つまり、いずれのケースにおいても、最終的にビットコイン市場への資金流入に繋がることが見込まれることから、当方では、ビットコイン円相場の上昇を来週のメインシナリオとして予想いたします(他市場がクローズしている週末の間に進展が見られる場合には、ビットコインへの資金流入が通常時より増幅する可能性あり)。

来週の予想レンジ(BTCJPY): 340.0万円−410.0万円

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