人民元とビットコイン
年初から人民元が急騰しています。1月3日の人民元安値(ドル高値)は6.9875レベルでしたが、昨日のNY市場では6.7777レベルと2日間で2098ポイント、率にすると3%の人民元高となっています。(全てオフシュア人民元のUSD/CNHにおけるインターバンク相場)
参考までに、60分足チャートをご覧ください。ラインマーカーで塗った日が、4日と5日です。
ドル人民元一時間足
この間、4日に「中国当局が人民元相場の下落や資金の国外流出に歯止めをかける策を練っている」というニュースが出て、それまでのもみあいを下抜ける動きとなり、5日には「人民元が急激にドル安・人民元高方向に振れているのは中国当局の介入のようだ」というニュースも出ました。
人民元安に対する中国当局の対応と考えることも出来ますが、個人的にはビットコインの急騰が影響したのではないかと考えています。次のチャートをご覧ください。上段がビットコイン/米ドル(XBT/USD)、下段が米ドル/オフシュア人民元(USD/CNH)の日足チャートです。
ビットコイン/ドル、ドル/人民元 日足
これを見るとわかりますが、年始からビットコインは1000ドルを一気に上抜け、4日には1155ドル水準へと、昨年末の高値998ドルレベルから考えても16%近い急騰となりました。既に人民元は元高へと転換していたにもかかわらず、その日のビットコインは高値圏でのクローズです。5日には介入が出て、さすがにビットコインも反転、年末の水準へと下押ししました。
ビットコインを取引するほとんどが中国人で、実際にビットコインの取引の内、対人民元での取引が9割以上と言われます。そして、取引しているのも当然のように中国本土の人が中心で、規制もあり信用が低い人民元よりもビットコインンに資金が流れ、更には国外でそのビットコインを外貨に交換しているという事実があります。
当局の対応でいったんは調整が入ったと言えますが、しばらくは中国当局の動きとビットコインの動きを並行して見ていく必要があります。ここで気を付けなくてはいけないのは、ビットコインは仮想通貨という名前はついているものの、米ドルや日本円といった通貨とは大きく異なる点があります。それは「ファンダメンタルズが存在しない」ということです。
つまり、他の通貨ペアでは通貨政策や景気といったファンダメンタルが存在し、通貨当局や中央銀行が価値や流通量をコントロールしていますが、ビットコインの場合には純粋に需給のみでその価値が決定されているということになります。発行上限が決まっている中で、これまでは発行量(供給)よりも中国人を中心とした投機的な買い(需要)が大きかったことで、大きな上昇相場となってきました。
中国当局の規制が無ければ今後もこの上昇相場は続きやすいと言えるのでしょうが、ここ数日の人民元の動きを見ているといったん踊り場を作る時期になってきた可能性があります。人民元相場とビットコイン相場は並行して見るべきだとはよく言われますが、こうして実際の動きと、その背景を見ていくとよりよくわかると思います。
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