テキサス州でのマイニング
主要暗号資産価格【日本時間6時】
ビットコイン:25850.0ドル(-0.05%)
イーサリアム:1622.33ドル(-0.70%)
リップル:0.50041ドル(-0.60%)
ビットコインキャッシュ:188.9ドル(-2.63%)
【概況】
先週末の暗号資産市場は、上値の重い展開となって推移しています。大きな動きにはなっていませんが、木曜日の上昇を埋め、行って来いの流れとなっています。金曜日は米株がプラス圏での引けとなる一方、米国債利回りが短期債利回りを中心に上昇し、ドルインデックスの下値を支えたことなどが嫌気されました。全体的には手掛かり材料難からポジション調整が意識される流れであり、方向感の見えにくい流れとなりました。その他のコインも大きな動きにはなっておらず、様子見ムードが強まりました。
さて、中国での表立ったマイニングは禁止されたことで、ハッシュパワーは米国がトップに躍り出たわけですが、その中でもテキサス州は安い電力を背景にマイニングが盛んにおこなわれています。テキサス州のテッド・クルーズ共和党上院議員は以前から暗号資産を支持する発言をしていますが、現在もその姿勢を変えていません。
テキサス州は天然資源に恵まれており、マイニングにフレアガスを使用することが人気トレンドになっているようです。フレアガスとは石油採掘や天然ガスの生産プロセス中に発生する天然ガスの一部であり、通常は石油や天然ガスの生産施設からの副産物です。フレアガスには有毒な化学物質が含まれていることあるため、燃焼させてある程度無害化させて大気中に放出しています。しかし、エネルギーの有効利用と二酸化炭素排出量削減の観点から再利用に向けた動きが進んでいます。フレアガスは余剰エネルギーであり、それを暗号資産マイニング業界が利用するといった構図となっています。
こうした動きはテキサス州で特にみられる動きとなっているようです。クルーズ上院議員は『必要なインフラが無いため、米国のフレアガスの半分が西テキサスで燃焼している』とし、一部のビットコインマイニングプロジェクトがこの余剰エネルギーを利用してフレアガス排出を大幅に削減できるとしました。マイニングに関しては多くのエネルギー使用が批判されていますが、こうした動きはその批判を和らげる要因となるでしょう。
その一方でマイナーにとってはテキサスでのマイニングには問題が無いわけではありません。ナスダック上場の米大手暗号資産マイニング企業であるマラソン・デジタル・ホールディングスは8月のビットコイン生産量を発表しましたが、7月から9%減少しています。これは記録的な高温によりテキサス州でのマイニングを控えたことが要因であるとフレッド・ティールCEOが説明しています。
クルーズ上院議員は『ビットコインマイニングの魅力は、テキサスで頻繁に起こる猛暑や極寒といった異常気象時に、ビットコインのマイニングを一瞬で停止し、その電力をすぐに送電網に供給し、家庭の暖房や冷房、ビジネスの運営に役立てることができることだ』と述べています。確かにこういったことが出来れば批判をさらに和らげる要因となるわけですが、マイナーからすれば異常気象時にマイニングが出来ないというのは大きなリスクと言えるでしょう。とはいえ、エネルギー問題がクローズアップされる中でマイナーもある程度の妥協は必要なのかもしれません。
異常気象によってマイニングが控えられるということが頻発すれば、ハッシュレートの上昇基調も抑えられることとなるでしょう。それはビットコインのセキュリティからすれば良くない事ではありますが、これもまたある程度は仕方のない事と言えるでしょう。
【ビットコイン節目】
ビットコインは日足のボリンジャーバンドの中心線である26140ドル前後の水準で抑えられて下落する流れとなっています。-2σである25160ドル前後の水準には届いていませんが、目先はこの2つの価格で挟まれたレンジを動きそうです。また、26000ドル前後の水準が上値抵抗帯として意識されているところでもあり、この3つの価格が節目として意識されそうです。
【ビットコインチャート分析】
ビットコインの日足のボリンジャーバンドを見ると、バンドの中心線と-2σで挟まれたレンジを動いています。一時的にバンドの中心線まで上昇しましたが、そこで抑えられています。上値の重い展開が継続していますが、バンドの-2σにも届いておらず、下値の堅さも意識されています。バンドの±2σが横ばいとなっており、レンジ圏での動きが意識されやすい状況ですが、バンド幅も比較的狭くなっていることから、動き出したら大きくなる可能性が高まっています。まずは方向感を見極めながらの対応となりそうです。
またストキャスティクスを見ると、%K、%Dが一時持ち直す動きを見せましたが、再度下落して下値圏での推移です。このまま下値圏での動きを維持すれば、売り圧力が強まりやすく、バンドの-2σまで下落する可能性も高まるでしょう。上値の重さが意識されるところですが、%Kが持ち直すかどうかが目先のポイントとなりそうです。
今日は週初ですので、週足分析をやっていきます。
ビットコインの週足のボリンジャーバンドを見ると、バンドの中心線と-2σで挟まれたレンジを動いており、目先は-1σを意識しての動きとなっています。ほぼ横ばいでの動きが継続しており、様子見ムードが強まっています。バンド幅は若干拡大していますが、依然として狭い状況が続いており、動き出したら大きくなる可能性が残っています。やや上値の重さが意識される状況であり、バンドの-2σをブレイクする可能性もありそうです。
ストキャスティクスで見ると%Kと%Dがデッドクロスからの下落となって下値圏に入っています。下落の勢いは落ちていますが、下値圏での動きであり売り優勢の局面となっています。このまま下値圏での動きを継続した場合はバンドの-2σを目指しての下落となりそうです。
【ビットコイン価格の注目ポイント】
68990ドル:史上最高値
31400ドル:2023年1-6月の高値
30000ドル:心理的な節目
27120ドル:ボリンジャーバンド日足の+2σ水準
26140ドル:ボリンジャーバンド日足の中心線
25900ドル:昨日の高値
25850ドル:現在値
25710ドル:昨日の安値
25160ドル:ボリンジャーバンド日足の-2σ水準
16500ドル:2023年1-6月の安値
(注)上記の暗号資産の価格に関しましては注釈がない限りInvesting.com社のデータを参照しております。
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