LPS法改正で企業の資金調達の選択肢に暗号資産も加わる、Web3に向けて一歩前進(週報9/19)

先週末、「Web3」を成長戦略の柱として掲げる政府から、暗号資産を用いた資金調達に関して一歩前進の話が出た。

関連通貨:

LPS法改正で企業の資金調達の選択肢に暗号資産も加わる、Web3に向けて一歩前進(週報9/19)

LPS法改正で企業の資金調達の選択肢に暗号資産も加わる、Web3に向けて一歩前進

先週末、「Web3」を成長戦略の柱として掲げる政府から、暗号資産を用いた資金調達に関して一歩前進の話が出た。スタートアップ企業が、暗号資産での出資を受ける際の規制を緩和する新制度を来年あたりにスタートさせる。
新制度の対象となるのは、投資事業有限責任組合(LPS)と呼ばれるファンドで、スタートアップ企業が発行する有価証券への投資を目的に複数のベンチャーキャピタルなどが資金を出し合って組成する。そもそもLPSは投資事業組合の一種で、投資事業有限責任組合契約に関する法律に基づいて組成される。つまりこの法律を改正するわけだ。
LPSによる投資対象は、株式や株式購入の権利(ストックオプション)に限定していたが、今年4月、経済産業省は、金融商品取引法で規定するセキュリティートークンへの投資も対象とした。着実に間口が広がりつつあるなか、この対象に暗号資産も加えるとの話がようやくでてきた。

IEOによる資金調達件数は伸び悩む

日本では、これまで4社がIEO(Initial Coin Offering)によって資金調達して、国内暗号資産交換所で取引を開始した。2021年から2年ほど経過しているが、いまだ4社と寂しい限りだ。IEOが増えない背景として、暗号資産市場及び業界全体が下火となっているうえ、IEOの申請がそれなりに面倒な点があるのだろう。東京証券取引所に新規で株式を上場させるIPOよりは時間がかからない(IPOは財務諸表、経営計画等の確認があるので最低でも2年はかかる)と思うが、IEOも自主規制団体などが管理・監督している以上、それなりの体制構築が求められるので決して楽ではない。IEOの話は別の機会とするので、LPS法の話に戻る。
来年実施される見通しのLPS法改正は、スタートアップ企業の資金調達の選択肢が増える事を意味する。日本は、資金決済法という明確な法令を整備し、世界に先だって暗号資産の法制化を進めた。一方、企業投資や出資、税制に関する暗号資産の規制緩和では世界に後れを取っていた。

日本は投資家保護を先に整備し、企業投資や税制の規制緩和は後回し

これは、2014年に発生したMt.Gox事件でダメージを追った個人投資家が多かったことから、投資家保護を目的に法制化を最優先とした事情があった。まずは投資家保護に着手したあたりは、とても日本らしい。
そんな日本も、政府が「Web3」というテーマを掲げている以上、制度設計の見直しを進めている。国税庁が今年6月に暗号資産の期末時価評価課税の見直しを通達したことも第一歩だ。自社で発行した暗号資産やトークンの価値が上がれば上がるほど、売却していないのに課税される不可思議な制度がようやく見直された。まだ、自社が発行した暗号資産やトークンに限定されており、ビットコインなど既存の多くの暗号資産に適用されるわけではないのでまだまだ道半ばだが、一歩一歩着実に進んでいることは間違いない。

LPS法の改正を意味あるものとするためには、税制の見直しもマストと考える。追加の税制の見直しが行われたタイミングで、改正されたLPS法を活用するスタートアップ企業が増加するだろう。資金決済法や金商法などの法解釈の整備やレバレッジ規制など投資家保護は十分にできているので、政府は、後れを取った企業投資や出資、税制に関する規制緩和、制度見直しを是非とも進めてほしい。

関連記事

「暗号資産羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトは暗号資産およびブロックチェーンに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の暗号資産、金融商品等の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
暗号資産に関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各暗号資産交換業者等に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社は暗号資産取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各暗号資産交換業者等のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各暗号資産交換業者等との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、暗号資産取引等に伴うトラブル等の利用者・各暗号資産交換業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。また情報提供者自身が当該商品の自己ポジションを持って売買している場合があります。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、暗号資産羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る