討議・審議内容…1
日時:平成30年10月3日(水)16時00分~18時00分 / 議事次第
・前回までは、有識者や関係者の説明により、メンバーの幅広い観点から意見があった。
・9月20日に、仮想通貨交換業者による顧客資産の流出が発覚した。
・今回から、仮想通貨をめぐる諸課題について具体的な制度的対応の方向性を含めて、討議・審議を行う。
まず最初に、福田メンバーより「伝統的な金融リスク」と「仮想通貨のリスク」について意見が述べられました。
仮想通貨取引は投資家の自己責任であり「利用者保護の優先度は低い」という意見は非常に共感できました。
メンバー:福田慎一 東京大学大学院経済学研究科教授
・金融の分野は『利用者保護』が非常に大事である。
・どの程度の『利用者保護』が必要かは、金融商品の種類によって大分違う。
・一番利用者保護が手厚く必要なのは銀行の『預金』である。
・『預金』は日常生活を営む上で「なくなると大きな問題」であり「取りつけ騒ぎ・システミック・リスク※」を起こしやすい。
※参考資料:預金保険機構「日本におけるシステミック・リスクと破綻処理」
・『預金』にはペイオフという仕組みがあり、全てを保護する必要はないという感覚がある。
・預金ほどではないが一般の『資産』にも、それなりの保護が必要である。
・小口投資家の『資産』は、ある程度の保護が必要な感覚がある。
・仮想通貨を持たなくても、日常生活や人生設計に大きな障害があるとは考えにくい。
・仮想通貨の利用者保護の優先度は、本来は低いという観点が成り立つ。
・もう一つ必要は「リスクにも色々ある」という観点。
①信用リスク=(例)銀行が貸し出したお金が返ってこない
➁市場リスク=(例)投機的な行為で価格が大きく変動する
・仮想通貨は非常に市場リスクが大きいため、大きく儲けた人や損した人がいる。
・その人たちに対して「保護しなければいけない」という議論はそんなにない。
・仮想通貨の大きなリスクは③オペレーション・管理リスクである。
例1)金融機関・銀行のシステム障害
例2)金融商品の説明不十分で訴訟となり賠償金を支払う
・これまでは金融機関の経営を大きく揺るがすことはなく、総体的な位置づけは小さかった。
・仮想通貨交換業者が直面する倒産リスクはハッキングなどによるオペレーションリスクである。
・それを利用者はどこまで理解しているのかという問題がある。
・今起こっているオペレーションリスクによる問題を、利用者がどこまで負担するのかが大きな論点である。
・市場リスクによる事務局の原案は伝統的な金融リスク・問題に馴染み、リーズナブルである。
・セキュリティに関するオペレーションリスクは、一つの別の大きな論点になる。
・ブロックチェーン・仮想通貨は、大きな技術革新が起こっていると同時に、何が起こるかわからない。
・経済学者が経済学で言う「確率分布がわかるリスク」との対比で「確率分布すらわからないない不確実性」と呼んでいる問題である。
・確率分布がわかるリスクは「起こったときにどう対処するか」「確率に応じて負担をしてもらう」という観点が可能である。
・今起きている「システム障害」「セキュリティ」のリスクは、確率分布がわからない不確実性で、いい制度設計を考えるのは難しい。
・私(福田メンバー)自身も答えを持っていないが、そういう大きな問題点があるという印象を持っている。
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