デジタル円の議論が進む、先進国では欧州が28年発行を目指す(月報24/1)

中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)を巡り、政府と日銀は1月26日、制度設計の大枠の整理に向けた連絡会議を設置し、財務省内で初めての会合を開いた。

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デジタル円の議論が進む、先進国では欧州が28年発行を目指す(月報24/1)

デジタル円の議論が進む、先進国では欧州が28年発行を目指す

「現時点で発行する計画はない」という枕詞が毎回ついているが、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)を巡り、政府と日銀は1月26日、制度設計の大枠の整理に向けた連絡会議を設置し、財務省内で初めての会合を開いた。

導入する場合に備えて、必要となる法整備など課題(日銀法や個人情報保護法、民法など)を話し合い、今年の春をめどにその時点での検討結果をまとめるとのことだ。

財務省の有識者会議では、2023年12月にプライバシー保護やセキュリティー対策などに関する制度設計の論点を既にまとめており、導入時に求められる実務的な事項に関して検討作業を進める方針だ。

政府・日銀は常に「発行する計画はない」というスタンスだが、それなりに時間とコストをかけている以上、「法整備上さほど問題はない」という結論に至れば、試験的なCBDC発行に動く可能性は十分にある。

〇世界ではCBDCに対する動きはまちまち

主要7カ国(G7)の中央銀行の間では、米連邦準備制度理事会(FRB)やイングランド銀行、カナダ銀行などはいずれもCBDCについて慎重姿勢を維持している。

一方、デジタル人民元の実証実験を続けている中国のほか、欧州では、欧州中央銀行(ECB)が2028年頃の発行を目指しており、既に23年6月にはデジタルユーロに関する法案をまとめている。

2023年11月から2年間の準備フェーズでは、ルールブックの最終決定や、プラットフォームやインフラを開発するプロバイダーの選択が行われる予定だ。デジタルユーロはオンライン決済とオフライン決済の両方で利用可能であり、オフライン決済機能においては、現金と同等レベルのプライバシーを実現するものとされている。

また、EUで2023年11月に暫定合意に至った「欧州デジタルID規則案(eIDAS II)」では、市民が様々な官民サービスを簡便に利用できる欧州デジタルIDウォレットの提供を EU各国に義務付けているが、デジタルユーロの機能もこのウォレットに統合される計画で、ウォレットとCBDCの相乗効果が期待される。

今後デジタルユーロが発行されることとなった場合の運営コストは「Eurosystem (ECBとユーロ圏の中央銀行から構成される組織)がデジタルユーロ制度の管理や決済処理に関連するコストを含め、自らのコストを負担する」とされており、着々と発行に向けた準備が進んでいる。

〇金融包摂が急務なカリブ諸国などはCBDCが必要

現在、世界では、バハマがCBDC「サンドダラー」を発行し、東カリブ通貨同盟8か国(セントルシア、ドミニカ、アンギラなど)では、CBDC「Dキャッシュ」が使用されている。こういった国々は、銀行口座を持たない国民への金融包摂を進める必要があったほか、ドル依存の経済状態を変える必要があったなど先進国とは事情が大きく異なる。

島国である日本は、カリブ諸国同様、現金を補充するコストはあるが、金融包摂を進める必要は特になく、そもそもドル依存でもない。デジタル円の議論は進むなか、「コストかけて法整備を行い、本当に発行するの?」という議論に至った際、「日本は必要ないんじゃない?」という答えは出そうだ。実際、今も出ていると思われる。

デジタル円の誕生でイノベーションは起きる可能性はあるが、日本全体で進めるよりも、民間主導で限られた箇所での実証実験としてスタートするのが現実的か。さすがに予算を考えている政府・日銀は大風呂敷を広げないはずだ。

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